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小噺 of the WEEK(2020年2月23日)

とても面白かった前編の後編。面白くないわけがない。

組織における情報共有が切り口になってはいますが、実は語られているのは、複雑な環境下における(複雑とは何かは前編で語られています)組織やリーダーシップのあり方。そして、それをリアルな戦闘に従事する軍隊らしい冷静さ、透徹さを持って組み立て直していく。そんな語りになっています。

さらっと言われていて、マーカーも引かれていない一言にまず魅かれます。

敵を捕まえる手柄ほしさに情報をとどめておく文化を乗り越える必要がありました。

さらりと話つつ、まさにいくつもの常識の壁を乗り越えていく様が語られます。

まず、人間の本性という壁。

誰だって、優れていると見られたい、たとえ仲間の中であっても抜きんでていると思われたい。そのために、自分だけが知っているという状態をつくりたい、そんな欲望にとらわれるのむしろ自然なことです。そして、それを、いたずらな情報共有は仲間や組織を危険に陥れるリスクがあるから、という多くの人が納得しやすい理由で包めるなら尚更。その時に健全で、時に不健全な内部競争という壁を乗り越える仕掛けをする。

そして、内部競争を減らすために、個人や小規模のチームではなく、かかわった全員の貢献を認めるようにしたんです。

そして、今までの思い込みという壁。

情報共有は漏洩のリスクを高めるという思い込みを疑ってみて、共有しないことで生まれているリスクがある、あるいは共有によるメリットがリスク以上にある、という仮説から、新たな新たな現実にたどり着いていく。しかも、情報漏洩が問題になっている状況下で。

特に面白いのは、ある段階では機密であっても、時間が経つと機密ではなくなる情報をオープンにしていくところ。鮮度を失った情報はもはや機密ではないと明確にしているのは、やはり情報の大切さを熟知しているからかもしれない。

ところが、扱う情報の大半は、私たちが思うほど極秘にする必要がなかったのです。状況が刻一刻と変わっていくため、ある情報が今日は極秘だったとしても、2日後に公になったところで、支障はありませんでした。

そして、最後の逆説。

ITの力で、今まで以上に戦闘現場の実状がリアルにわかるようになったからこそ、今まで以上に現場に判断を委ねていく。わかることが増えるということは、わからないことが増える、そういうことかもしれません。

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