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3歳の時に「もう3歳なのに」と思ったこと

「もう50歳なのに」何をしてきたのかと、と振り返る。
継続しているコト、誰よりも得意なこと、胸を張って言えることがわたしには何もない。

もう、50歳なのに年を重ねたというだけで、何もやり遂げたこともない。

3歳なのに

生まれて50年以上も経っているのに何も自慢できるものがなくて恥ずかしい。わたしの唯一の功績は3人の娘を産んだこと。

思えば、「〇〇歳なのに」ずっと言ってる気がして、遡って考えてみた。
それで記憶がよみがえったのだけど、3歳のときに「3歳なのに」と思ったエピソードがある。

それは、幼稚園の年少クラスのある日、わたしは教室で「おもらし」をしてしまった。

幼稚園で子供がおもらしすることはよくあるようで、幼稚園に常備してある新品のパンツに着替えさせてもらった。

そしてビニール袋に入ったじぶんの濡れたパンツをお土産を手渡された。
それも妙な気持ちだったことを覚えている。

そこで何を感じたかというと、「3歳にもなっておもらししちゃった」という、とてつもく恥ずかしいという感覚。

そのとき3歳のわたしは、すごい大きいお姉さん、もう立派な3歳なんだ。という謎の自覚があった。

唯一救われたのは、先生たちが床を一生懸命拭いている横で、子供たちが思いのほかポカンとしていることだった。

今考えると、3歳なんてまだ赤ちゃんで失敗など大人たちは1ミリたりとも何も思ってないはず。
むしろ当たり前だと思っていることに大人になってから気が付いた。

そんなだから、人前で泣きわめいたり、ひっくり返ったり、ママ~と探し回ることも記憶にない。泣くんだったらシクシク泣くタイプだった。

「紙芝居をやりますよ~」先生の一声で一斉に必死に猛ダッシュして前を陣取る行為もはずかしくて一度もやったことがない。
大人からみたらたぶん何を考えてるのかわからない3歳児だったかもしれない。

そんな、「もう3歳なのに」エピソードをもう一つ思い出した。

焦ってる自分が恥ずかしいとおもう3歳児

それは、いつものように近所の商店街に母と買い物に行った時のこと。
お店にはお客さんがいっぱいで、ちょっと時間がかかりそうだったので3歳のわたしは少し離れた場所でしゃがんで退屈に待っていた。

どれくらい時間が経過していたのか、ハッと気が付いた時には、店先に並んでるはずの母の姿が消えていた。

普通はここで泣き叫んだりしそうなものだけど、なぜだかわたしは何事もなかったかのように、言ってみれば「待ってるフリ」をし、そこに居座り続けた。

「どこにいっちゃたんだろう」と内心は心臓が飛び出そうなぐらいドキドキしていた。
だけど、「もう3歳だし」探しまわって焦っているじぶんの姿が恥ずかしいと思った。

そのうち不審におもったのか、おばさんが声をかけてくれた。「ママは?」わたしは「あっち」と指さした。なぜかウソを言った。

なんでそんなことを言ったのかは未だに謎だけれど、とにかく置いて行かれたとか迷子になったとか、かわいそうな子供に見られたくない妙なプライドがあったのかもしれない。

そのうちパトカーが来たかと思ったら、母がわたしの姿を見つけた。

びっくりした顔で「どこにいたのよ~」 ホッとした表情だったが、バツが悪いのかおまわりさんに言いわけ的に事情を説明していたのが母の表情からわかった。

わたしは「ずっとここにいたよ」と何事もなかったように冷めた感じで言い放った。そのあとのことは覚えていない。

このできごとは、事実確認をしたら実際の話とは多少食い違う部分もあるかもしれないが、3歳のわたしが思ったり感じたりしたことは事実である。

もしかしたら、小さい時に潜在意識に「いい子」にしなくてはいけない思いを刷り込まれたのかもしれない。ほんとうは、泣いたりわがまま言ったりする子供を羨ましく思ったかもしれないが、じぶんはそうした記憶はほとんどない。

思えば、「もう〇〇歳なのに」という感覚はすでに3歳の時から始まっていたということを思い出した。それを52歳のいまも同じように思い続けている。

子供は、大人が思うよりいろいろ考えている。

小さいうちは、何もわからないと思ったら大間違いで、うまく言語化できないだけだ。子供は大人のふるまいひとつを敏感に感じるほど繊細だ。

当時の気持ちがたとえ一場面だったとしても3歳児の記憶に刻まれた思いは事実だ。
あの時先生に子供だからわからないという前提で、いやな顔で掃除され、イヤミのひとつでも言われていたら悲しい記憶のひとコマとして心の奥にしまわれてたに違いない。

だから、最近思うことがある。孫がじぶんの言葉で「あの時の気持ち」を語れるようになったとき、せめてわたしとのエピソードは、楽しかった気持ちをだけを聞きたいと思っている。




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