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平日練習50分でプロ野球選手!?武田高校のデータ革命

さて、今日は高校野球を取り上げていきます。

取り上げたい選手や高校は沢山あるのですが、本日は「広島県私立の武田高校」を取り上げます。この高校の練習法や非常にユニークで、私達の仕事術やパフォーマンスを上げるための即効性あるやり方が詰まっています。
何がユニークかというと、タイトルにもある通りこれです
「平日の全体練習は50分だけ」。

このnoteはVoicyの過去の放送の一部抜粋です。
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夜間にも授業がある進学校でグラウンドも他の部活と兼業なので、平日は50分しか取れないみたいなんですよね。しかも、このような練習の高校から育成ドラフトではあるものの、谷岡楓太選手という最速152キロ出す投手がオリックスに行くことになったんです。プロ入りの選手が生まれたんです。

この高校が具体的にどういう練習方法、育成方法しているのか、その秘密を探っていきます。

掲げる目標→投手は140キロ、野手はホームラン

まず、武田高校ってどんな高校なの?というところを簡単にお伝えします。
広島県私立の進学高校で、東広島駅から車で20分弱のところにあるようです。
野球部は甲子園の出場経験がなく、スポーツ推薦もない。2018年の途中までは全国でも無名の存在でした。そこから冒頭にお話ししたように、最速152キロ出す谷岡楓太選手が誕生しチームは3回線で敗れたものの高校野球界を騒がせます。

なんてったって、平日50分しか練習していない。土日は時間があるので実戦練習をしていますが、そんな中で152キロ出しちゃう人が出てきた。しかもこの谷岡選手、元々球が早かったわけではなく高校入学当時は125キロしか出なかったみたいなんです。
要は、高校で伸びたということです。

では、平日50分で何をやっているのか?を詳しくみていきます。ここに特徴が詰まっているのですが、ポイントをお伝えすると3点です。

①まず平日練習の50分。この間は全体ランニングなし/シートノックなし
②じゃあ何を練習するのかというと、その「練習内容は自分で決める」んです。
③3つめが、練習内容がメニュー化されている。要は、その自分で決めるときは何でも好き勝手やれば良いのではなく、練習コードといって、ファミレスのメニュー表みたいに、トレーニングメニューが表になっていてそこから選べる形になっているんです。前のチャプターにその練習コードが掲載されているURLを添付しておくので見てみてください。

いやー、すごい斬新ですよね。野球部と言えば、みんなで掛け声あげてランニングして、そこからシートノックでグラウンド全体使って守備練習するのが鉄板だと思っていたので、この記事みたときに衝撃を受けました。

でも、私が今日伝えたいのは今話した3つのポイントそのものではなく、この3つのポイントを支えている、ある1つの要素なんです。それは「データによる目標設定」です。データで「フィジカル」と「パフォーマンス」の目標設定をしているんです。これがあるので、50分の練習で、練習内容を自分で決めて強化できる!ということが成り立っているんです。

では、この武田高校は、「データによって何を目標設定しているのか?」2019年1月のNumberによると、投手・野手ともにめっちゃ明確な目標が掲げられています。野手なら「対外試合でチーム年間通算200本塁打」投手なら「球速140キロ超え」。この目標設定が秀逸なのですが、その所以を深掘りしていきす。

まず、投手の目標設定

投手の球速に目標をセットしているのはとても効果的で、この投手が球速を目標設定にするって慶応義塾大学の野球部も取り入れているやり方なんです。

ちょっと専門的な話になってしまうのですが、野球のデータ分析/動作解析の神事先生の動画がとても分かりやすいのでそこから引用します。この動画はチャプターにリンクをを貼っておきます。

その動画で話されているのが、まずピッチャーがボールを投げてから打者に到達するまで約0.45秒なんですね。一方バッターは、バットスイング時間0.16秒+脳から筋肉へ指令を出す時間は0.1秒。つまり、スイング決定からボールに当たるまで0.26秒しかない。

これを神事先生は、「バッターはピッチャーがボールを投げてから「これは振る/振らないを判断し、スイングして、ボールを調整し、さらに芯に当てないといけないという非常に難しいことをしているんです」と言っています。つまり、ピッチャーは速いボールを投げればなげるほど、この打者への到達時間0.45秒は短くなる&スイング決定からボールに当たる時間0.26秒も短くさせることができる。

要は、速いボールを投げられれば投げられるほど、打者が判断/反応できる時間を減らせて空振りを増やすことができます。なので、速いボールを投げられる投手はそれだけで大きな武器になるんです。そういう意味で、球速を目標にしているのはとても理にかなっています。ちょっと分かりにくい話しでしたらごめんなさい。

そして野手の目標設定

こっちのが分かりやすい話しです。
岡嵜監督曰く、野手に本塁打を意識させているのは点数の効率が良いからだそうです。つまり安打を4本打って1点だと、1点取るのに打者が4人必要。本塁打だと1人で1点取れちゃう。

そして、本塁打を打つためにはフィジカル(体重)を重視していることが、岡嵜監督のコメントにも表れています。こんな風に記事で言っています。

「ウチは“フィジカルとデータで高校野球界をひっくり返す”という気持ちでやっています。だから(3合メシなど大量な食事を与えるような)ドカ食いも絶対させません。それでも今のチーム平均体重が74キロくらいですけど、トップ10は84キロくらい。大阪桐蔭さんがこの夏平均が77キロでトップ15でも82キロくらいでした。すでに県内では一番体が大きいですけど、もっと大きくしていきたいです」

細かくデータを見ているのが分かりますよね。
でね、この話しの深掘りがめちゃくちゃ面白いんですよ。本塁打を打つために体重を増やすというのがどれだけ理にかなっているのか、既に証明されているのでお伝えします。

今、野球は打率や防御率のような統計データだけでなく、野手なら打球速度や打球確度のような物理データが扱われ始めておりデータ分析が進化しています。
まず、ホームランのようないわゆる「長打」を打つにはどうしたら良いか、既に答えが出ています。

答えは、最低でも打球速度158キロ以上にしましょう。で、もし、158キロなら打球角度26~30度にしましょう。そうすると打率5割、長打率15割になります。今度は仮に打球速度187キロまでいくと、打球確度は8~50度という広範囲が打率5割、長打率15割のゾーンになる。

この、どういう打球速度とどういう打球角度で打つと長打になるのか、という指標が「ばれるゾーン」という指標なんです。これ、BAseballGeeksというサイトが分かりやすく書いているので、リンクを貼っておきます。

つまり、理論的にはどういう打球速度とどういう打球確度を打てばホームランになる可能性が高いのか見えているということでです。そして、じゃあその最低打球速度158キロ打つにはどうしたら良いのか?これはバットのスイング速度が関係あります。そして、そのスイング速度と相関あるのが徐脂肪体重という筋肉量であることも科学的に研究されているんです。要は、筋肉が多ければ多いほど打球速度は上げられるということ。

話が長くなってしまいましたが、次が一番面白いところです。では、じゃあばれるゾーンの最低打球速度158キロ、スイング速度128キロ出すには最低でも何キロの筋肉量がいるのか?このベースボールギークスでは65キロと算出されています。

でね、この筋肉量65キロを仮に体脂肪15%だとして計算すると体重は約75キロ。
何が良いたいかというと、体重75キロあれば筋肉65キロ作り出せるし、ホームランを打てるバレルゾーンにボールを飛ばせる可能性があるということなんです。

みなさん、プロ野球であればヤクルトの山田哲人ってホームランめちゃくちゃ打ちますよね。彼の体重何キロだと思いますか?76キロなんです。ギリギリばれるゾーンの値をクリアしています。つまり、彼は体が細いかもしれないし、ホームラン量産できるのは勿論凄い技術を持っているからなんですけど、不思議なことではないんです。ちゃんとホームランを量産最低限の体を有しているので。ちなみに、体重75キロは殆どのプロ野球選手がクリアしているので、実は日本のプロ野球選手の殆どは、狙えばもっとホームラン狙える体を持っているんです。MLBでもアストロズのホセ・あるてゅーべという小さい選手がいます。クリーンナップを打って身長168cmなんですけど、ホームランも20本、30本と打つんですよ。彼も76キロあり、ばれるゾーンの最低条件をクリアする体を持っています。

先ほどの武田高校も思い出してください。平均でも77キロと言っていたし、さらに体を大きくしたいと言っていましたね。仮に体脂肪15%以内だったら、武田高校の平均的な選手はホームラン打てる体を持っていることになります。

ちょっと話が長くなってしまいましたが、スポーツ科学とデータを使えば、成果を出すために正しい目標設定を出来るし、その目標設定をクリアすれば成果がデル仕組みになっているんですよね。

ということで今回は、武田高校の練習メニュー50分で競合と渡り合ったポイントを、スポーツ科学とデータで解説しながら「正しい目標設定の重要性」をお伝えしました。
ちょっと話が横に逸れたりして分かりにくかったかもしれないですが、最後にこれを私達が日常どう生かすのかお伝えします。

振り返る時に基準を儲けよう

私としては、データが大事ですよ!というよりも、データをどう使うかが大事!というのをお伝えしたいです。日常生きていれば、色々なデータがあります。自分の毎月の給料もそう。睡眠時間もそう。体重もそう。それ自体はただの事実。それをどう生かすのか?例えば、先ほどのばれるゾーンを給料に当てはめれば、給料をやみくみに増やしていくのを目標にするのではなく、「自分が理想の生活をするために最低でもかかる費用ってどのくらいなのか?その費用を捻出するためにどのくらい収入がないといけないのか、その収入を得るためには、どういう働き方が考えられるのか」など。最低限のラインから考えておくと行動が絞られてくるということです。

先週の本田圭佑選手の回にもお伝えした逆算思考にも似ているかもしれませんが、そこに1つの基準を設けましょう!というのがこんかいのTipsです。ぜひ、自分なりの基準を考えてご自身の生活を振返ってみてください。

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