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テクノロジーによるスポーツの進化と新たな関わり方

本日は、「テクノロジーによるスポーツの進化と新たな関わり方」についてです。
早速ですが、先週25日にフジテレビで放送された巨人対ヤクルトの試合の中継を見た方はいらっしゃいますでしょうか?

この日は「最新技術でプロの凄さを追究!」と銘打って中継中に投手の変化球の曲がり幅や打球の速度・飛距離、スイングスピードの計測を行い、プロの凄さを紹介するという放送内容でした。

実は、アメリカメジャーリーグでは、全試合の全投球をすべて数値化し、チーム強化に使ったり、ファン向けに公開しています。今回は、このメジャーリーグの事例を例に、テクノロジーの進化によって、スポーツはどう変わっていくのか。そして、スポーツへの関わり方の変化を考えていきたいと思います。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。

テクノロジーの進化とスポーツの「見える化」

まずは、アメリカメジャーリーグでの「スタットキャスト」と呼ばれるシステムをBaseball Geeksというサイトの記事から紹介します。

"スタットキャストとは、ボールを追尾するレーダー「トラックマン」と、人の動きをカメラで捉える「映像解析システム」を統合したITシステム。"

と紹介されています。

投球されたボールは球速、回転数、ボールが何cm曲がったかなどがわかり、打ったボールは打球速度、打球角度などがわかります。
また、人の動きでは、ランナーの走った速度や、守備での野手の送球の速度などがわかります。

大谷選手が本塁打を放った時など、「角度が何度でした」といった報道なんかも見たことがある人もいるかもしれません。

今シーズンからは、テニス四大大会の「チャレンジ」などで使われている「ホークアイ」というシステムも導入され、新たなデータの使い方などが注目されています。

また、ここで紹介した野球やテニス以外にも、多くのスポーツでテクノロジーが活用されています。
ラグビー日本代表ではドローンやGPSを活用して練習を行ったり、バレーボール日本代表では試合中にリアルタイムでipadにデータが送られるような仕組みをとっています。

今回は割愛しますが、他にもいろいろな事例がありますので、ぜひ皆さんの好きなスポーツについても調べてみてください。

さて、次のチャプターでは、このようなテクノロジーの進歩により、「どのような効果があるのか」を、「プレーする人たち・支える人たち・観る人たち」に分けて考えていきたいと思います。

新たなスポーツと『する人・支える人・観る人』それぞれの関わり方

スポーツで続々とテクノロジーが活用され始めていることを紹介しましたが、ここでは、「プレーする人たち・支える人たち・観る人たち」にそれぞれどのような効果があるのかを考えていきましょう。

まずは、プレーをする人たち。

プレイヤーにとっては数値化できるようになったことにより、数値で上達目標がたてるようになりました。例えば、先ほど紹介したメジャーリーグでは、ボールの変化がcm単位でわかります。「ダルビッシュのスライダーと自分のボールは変化が20cm違う」と数値で差がわかるため、目指す選手とどれくらい差があるのか、そして近づけているのかどうかを知ることができます。

また、感覚と実際の動きをすり合わせることができます。先週、「スポーツにおける主観と客観」という内容のお話をさせていただきました。
本塁打世界記録をもつ王貞治さんは、最短距離でバットを出す「つもり」で振って実際には17度下からの角度でスイングしていました。
このように「感覚と実際に動き」にはズレがあり、そこの差を知ることは非常に重要です。

ラグビー日本代表では練習での映像を数秒後には確認できるシステムを採用しています。稲垣啓太選手は「すぐフィードバックでき、修正をかけられる。イメージと映像が違うシーンが多々あるので、非常に助かっている」と語る。

このように、感覚でなく客観的な結果を知ることができると目標に対してPDCAを回しやすくなります。

また、支える人はどうでしょう。

支える人の層は少し定義が広いので、一部と思ってお聞きください。

例えば指導者やトレーナー。選手の能力や到達具合が数値でわかると、より指導がしやすくなるでしょう。
また、「主観と客観」の回でも紹介しましたが、客観的な目標が立てられると、指導者の「コツ」がより重要となります。

続いて例えばスポーツの中継を放送する人たち。
MLB.comでデータ担当をしているアドラーさんは、インタビューで以下のように語っています。

ファンは今までもデータを求めていました。スタットキャストは、難しいことを数値化しているわけではありません。ファンはいつも、ホームランの飛距離を知りたがっていたし、打球の強さも知りたがっていました。
 今までは正確に測る方法がなかったんですが、ジャッジが120マイル(約193キロ)の打球を打つと、球場で見ている人も家でテレビを見ている人も強いと認識できるようになったし、大谷が112マイル(約180キロ)で打って、101マイル(約163キロ)で投げるという情報があれば、彼に投打両方の才能があると一目でわかるようになりました。なぜなら、その強さで打ったり、投げたりするのは一部の選手にしかできないことだからです。ファンにこの数値を見てもらって、選手やプレーのすごさを理解してもらい、もっと野球を見たり、もっと野球を好きになってもらえるのではないかと感じています」

試合中のデータや映像によってコンテンツの幅は大きく拡がる。新たなファンの創出も可能になるかもしれません。

最後に観る人。

こちらはもちろんですが、楽しみ方が多様化していくでしょう。
スタジアムに行かず、スマホでデータ片手に試合を楽しむ方も増えるでしょうし、逆に様々なものがスタジアム外でもみれるため、例えば匂いや音といったスタジアムでの「生」の応援にかえって価値を感じるようになるかもしれません。
選手の凄さをより感じるようになれば、「そのスポーツを好きな理由」も増えていくかもしれません。

では、このようにテクノロジーで変わってきているスポーツとどのように付き合っていけば良いのでしょうか?
次のチャプターでは、仕事や日常生活で使えるTipsも併せて考えて行きたいと思います。

AIと同じ?無条件に拒否せずに、"付き合い方"を考えよう

テクノロジーの進歩により、それぞれの立場に違った効果があるよということを紹介してきました。
ただし、もちろん批判もあります。見慣れない数字が増えてくる画面に対して、「観たいのはプレーであって数値でない」という人もいるでしょう。

ピンときた方もいるかもしれませんが、これってAIとビジネスの関係に似ているなと思うところがあります。AIやデータ分析を取り入れようとするも、導入が進まない会社もあるでしょう。

新たなものを無条件に拒否せず付き合いかたを考える

ここで共通しているのは、
「データやテクノロジーそのものが悪ではなく、使い方や付き合いが悪い」
と思います。

本来、ビジネスであればデータ分析によって業績が上がったり、作業を代替できればより新たなビジネスチャンスが拡がるはずです。
スポーツでも、好きなスポーツにファンが増えたり新たなことがわかるようになればきっと楽しいはずです。

野村総合研究所とオックスフォード大学の協同研究レポートによると、AIに奪われにくい仕事として、スポーツライター、スポーツインストラクターが挙げられています。スポーツを支える人の価値はどんどん拡がるでしょう。
受入、新たな楽しみ方が見つかればきっと楽しいと思います。

このnoteはVoicyの過去の放送を文字に起こしたものです。
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