毒親ではないけれど 〈1〉
アキは窓を開けた。
ふわっと舞い込んでくる春の匂い。
この匂いはあの時と一緒だな、とアキはふふっと笑った。
看護学校を卒業してこの家に引っ越してきた日、荷物の少ないガランとした部屋を見ながらアキは思い切りベッドにダイブした。
「あぁ……自由だ……!」
何から自由になったのか、アキにははっきりとは分からなかった。
だが、心の底から湧き上がる幸福感が心地よかった。
間違いの積み重ね
「どうしてそんなこと言ったの?もうやめてよ、恥ずかしい」
美容室から帰ってきた母親の一言で背筋