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日に出づる国の行事と信仰心、生きていく上で必要なもの

イギリスに住み、西洋かぶれしたと思っていたが、三つ子の魂百まではとは良く言ったもので、仏壇に朝晩とご先祖さまに手を合わせ、神社で願をかけたり、お礼参りに行くこと、暮らしの中で古くから根付く行事は、私にとって、一年のとても重要な基礎だったと気づいたのは最近だった。イギリスに暮らして十年が過ぎ、何か漠然とした不足感を感じていたのだが、健康を追い求め続け、他国での子育てに必死過ぎて、身近にあった祈りや霊性を暮らしの隅っこに置いてきてしまったのだった。

鳥居の前を通るだけでも、ピシッと氣が引き締められる神社、

八百万の神様、

ご先祖さまに捧げる手合わせ、

朝晩、ご先祖さまにお水とお茶、ご飯、線香をお供えする日常、

お墓参りを欠かさなかった春分の日と秋分の日、

お盆のお墓参りと迎え火と送り火、

玄関に飾られたしめ飾り、初日の出参り、初詣、七草粥、

小豆粥に餅花、

目の前で火がメラメラとでかでかと燃えていくどんど祭、

節分の豆まき、

桃の節句に端午の節句、

七夕の笹の葉に飾られた短冊、

花火や夏祭り、

月に捧げる十五夜のススキとお月見団子、

着物を召した幼き子達の神社での七五三、

百八回の除夜の鐘、

祖母が敬虔に祈りを捧げていた釜神様に神棚、

旬な食べ物が食卓を彩り、その時々の食事や食品には意味があり、

春には蓬や蕗の薹、秋には菊の黄色の花弁を摘んでおひたしにして食す習慣、

自然に宿る神々への畏敬の念と共存、

神社での祭事とその心清まる空間、

挙げた全てが懐かしく恋しい。

私がどこから来て、何を大切にするかを思い出す日々の大切な行事である。

日本で暮らしているように、

敬虔新たな気持ちを神社仏閣で得るのは

日本に帰国するまで首を長くして待つことにして、

強く祈ることと

自然を敬うことと

言霊を忘れずに

祝詞の力を借りて

今は異国で日々生きてゆく。

*いただきますの「い」は命を頂くと祖父に教わった幼き頃がなつかしい。

*二千二十一年十一月に書いたものを編集し、加筆しました。

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