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歌うこと 好きですか?

と、訊かれることはあまりない。
そりゃそうなのだ。

でも実は答えに困る質問なのだ。

シンプルに「好き」な訳ではないようで。

学生たちが課題として提出した、
歌う動画をチェックした。

本当に楽しそうに、自由に歌っていた。
アカペラなので、音程や拍が怪しい所はあったりする。
でも、それは小さなことで。
直せば良いことだし。
大事なことは全くそこじゃない。

仰向けになって歌う学生がいる。
これは意図がわかる気がする。
(彼は歌うことに関して、とても関心がある。)
ぬいぐるみを抱えて、横揺れして歌う学生がいる。
これも意図がわかる気がする。
(保育士さんになるんだものね!)
そして、なにより楽しそうなのだ。
だから、自由に声が出ていた。

私にとって、「歌うこと」は尊い?感じがして、
なんだか近寄りがたいところがあるのだ。
でも、歌いたいように歌えるようになりたくて、
もう何十年も経ってしまった。
完璧は遠く、多分、ない。

いろんなことを知れば知るほど、
経験が増えれば増えるほど、
教えれば教えるほど、
歌うことが余りに深く、すごいこと過ぎて、
圧倒されるのだ。

でも、
だから歌い続けようと思ったのではなかったか。

だから本当のことを知りたかったのだ。
人のからだができるすごい技を。


コンサートができなくなり、
コロナに罹り、
それでもまた、歌える日が来るのだ。

そうだった。
歌うことは自由で楽しいことだった。
私は、もっと自由になるために、
勉強を続けていたんだった。

圧倒されてても良いけれど、
はじめの一歩を忘れてたことにびっくりした。

学生が教えてくれた。
ありがとうね。


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