見出し画像

お姉様方の子音発音の美しさについて:生徒さんからの質問1

70代女性の生徒さんからの質問についてです。
まず、この方ご自身が歌うことを長く続けていて、
踊りや笛も嗜み、好奇心旺盛で行動的な方です。

この方のお話は、
「あるグループで小さな合唱をしています。
私よりもちょっとお姉様な方々の子音の発音が美しくて、
憧れています。
小さな声の時にも、ちゃんと聞こえるのです。
口の形などまねしてみるのですが、
うまくいきません。」
とのことでした。

質問内容としては、
1 なぜ私にはまねできないのか?
2 私よりお姉様なのに、
一体どういうことが起きているのか?
でした。

本当に良い質問です!

私の回答です。
1 まねできない理由としては、
子音の発音は口の形だけでは変えられないから、です。
2 一体どういうことが起きているかというと、
お姉様だからこその大人力で美しい子音を発声できている、
と考えられる、です。

以下、解説です。
1 子音の発音は、唇や舌の仕事と思いがちですが、
実は横隔膜がそれを大分手伝います。
滑舌という言葉があるので、
舌のトレーニングが必要かと思うかもしれませんが、
これだけでは、表現者としては足りません。
(ものの本によると、舌と横隔膜は元は1つだそうな。)
日本語は、あまり横隔膜を使わずに発音しても
通じる言語の1つだと感じています。
しかし、ステージの上からだとそれでは弱い。
横隔膜を使って子音を発音する必要性が、
もっと知られても良いように思っています。

2 では、横隔膜を使って発音するということとは?
という疑問が生まれると思います。
ここが人のすごさなのです。

呼吸をコントロールするのも横隔膜です。
声の張りや輝きを付けるのも、横隔膜が良いお仕事をします。
横隔膜が動いての腹式呼吸です。
声は吐く息に乗って発声されます。
息を吐いていくのだから、
普通なら横隔膜は緩んで上に上がってしまいます。
しかし、それでは長いフレーズは歌いきれないし、
声に張りもなく、緩んで息の混じった、
だから、例の雑味のある発声になってしまうでしょう。

そこでコントロールが必要になります。
ここが芸です。
息を吐きつつ上がっていってしまう横隔膜を
バランスを取って引き留めるている筋肉があります。
私のからだの感じでは、筆頭で大腰筋です。
大ざっぱに言えば、この2つの筋肉がバランスを取って、
息をコントロールしています。

横隔膜には、
息を吐きつつも適度な張りを保っていてほしいのです。
そこに適度な張りがあるから、
子音の発音を手伝うことができるのです。

大腰筋など、呼吸に関する大事な筋肉たちは
インナーマッスルであることが多い。
これらは、アウターマッスルの力が抜けないと存分に働けない。

このお姉様方は、大人力に磨きがかかり、
良い感じにアウターマッスルが緩んだのだと思うのです。
で、お姉様になっていっても歌いたいので、
力を節約して使っていくうちに、
うまくインナーマッスルが働き出してくれた。

私はこのように考えました。
ヒントは「小さな声でもはっきりと聞き取れる子音」でした。
これこそ、芸です。
人ができるステキな、すごい芸を、
歌いたいという気持ちが体から見つけ出した芸、
だと思うのです。

かっこいいですよね。

声をコントロールすることは、
息をコントロールすることでもあって、
呼吸している人ならば、誰でも等しくできることです。
今あなたが思っているあなたの声は、
ちょっとしたことで変えることができます。
誰でも、何歳でも、です。
人ってすごいんですよね。。。

今日の写真は、なんとなく見ていたら、
お伝えしたいことが書かれているような感じがしたので選びました。
あ、今日はですます調で書いてみました。
今までの書き方と、実際話している私とは感じが違うのだそうです。
・・・そう?



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?