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音読から会読

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音読から会読(リベラルアーツ)まで松永が実践していることをまとめています。音読がどのように実践されているのかを確認したい方はこちらのマガジンをご覧ください。
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記事一覧

リベラルアーツー女忍者参入

春一番。
夕方、茜色の西空に超薄い二日月。1週間前の有明の月の半分ぐらいの大きさに小さく見える。
これは明日朝掲載する予定のものであるが、先ほどリベラルアーツを行った「余韻」から書いている。
最初に「ニホンの教育ここがヘンタイ」小論執筆について問いかけると、全員が「執筆中!」とのこと。中に、「既に3000字以上になってしまいましたが・・・」と言うのがいるのでこれは頼もしい、「ニンマリ」。生徒と作っ

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儒教主義に無自覚なことについて

以前に、日本語が一応ほぼペラペラに話せる若いアメリカ人女性から、日本語を学び始めてから5ヶ月であると聞いて驚いたことがある。
彼女は言う。
「アメリカの大学の日本語特訓コースで4ヶ月間勉強しました。1日4時間の授業があってホームワークもたくさんしました。それに、私の受けたコースでは、日本語の敬語教えません。それは、もし敬語入れると、日本語がとても難しくなるからです。」
そう言えば、彼女の話す日本語

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文章が書けるために必要なことについて

『日本の教育、ここがヘンタイ』でも紹介したが、最近私の生徒たちには文章をバリバリ書く者が多い。
しかも彼らは、作文や日常エッセイの域を超えて、短編小説、長編小説、SF小説と書くようになっている。
彼らは書かねばならぬから書くのではない。書くことが楽しいから、書くことの楽しさを覚えたからこそ書いている。
言語で自在に自分のイメージや考察を記述する。
それほどアタマに良いことはない。
書けば、「進歩」

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上級者『徒然草』会読

昨夜の『ソクラテス』に続き、今日午後は、音読高段者向けの『徒然草』の会読会だった。

教科書では、吉田ならびに卜部兼好と紹介されると思われるが、1400年代において、卜部家は「吉田」とはるかに離れた系譜であり、小川剛生氏の、吉田家の兼倶が自家系譜の盛り上げのために捏造・添付したとの説が正しいと思われる。
兼好は、1283年生れとされる。
1320年前後に出家か。京都東部に庵を編んだと思われる。この

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リベラルアーツについて

リベラルアーツは、第1第3土曜が上級、第2第4土曜日が初級となっている。
「初級」は8日に第1回を行い、『ソクラテスの弁明』を途中まで会読した。第2回で最後まで読み切り続いて『クリトン』に入る予定であるが、どちらも18時に会読開催する。続く次回にソクラテスの決定的言明を読んで議論することになるが、収録する予定がないので、有志者は遠慮なく参加することを期待したい。
1日に行った「上級」は、明15日に

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母親に感謝する子どもたち

近地点過ぎて驟雨春雷。
庭では、スイセン、チューリップと咲き終わって、今はフリージアが満開で本当に美しい。じっと見続けていることができる。
イべリスも続いて咲き誇り、タイツリソウも花穂を伸ばし、茂りに茂ったオランダカイウは、まるで開いたアヒルの口のような奇妙な花を何本も咲かせている。
池では恒例のオタマジャクシがたくさん泳いでいる。
北野某さんがメルマガで紹介してくださったからか、おかげさまで『日

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良い文学書について

人は性格を批判されることよりも、趣味を悪く言われることの方が腹を立てるとは本当だろうか。
趣味と性格の違いは、前者が選択したものであるというところである。
天性ではなくて、自分で選んでいる。
だからこそ腹が立つ。
だがこの逆に、その選んだ趣味が一致した時には、なぜかとても嬉しくなる。
生徒が、鴎外漱石芥川などを読んでいると聞くと、「ふ〜んそう」とか思う。
しかしこれがもし、谷崎潤一郎、梶井基次郎な

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ソクラテス・徒然草ー連続会読

22日夕、リベラル初級は、幸運で幸福な生徒たちと、『ソクラテスの弁明』を最後まで読み切った。
筆者は浪人中に中村元博士訳の『般若心経』を読んでなぜか正体不明の深い感銘を得ていたが、大学入学後に『ソクラテスの弁明』を読んで、「これは受験勉強なぞする前に読んでおくべきものだった」と大きく後悔した覚えがある。
その「仕返し」がこれである。
大学進学を目指して受験勉強をする前に読んでおくべき必須本、これを

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リベラルアーツ上級ー禅問答と左脳と右脳

通常左脳では分析的で論理的な思考が行われ、その結果は言語で記憶される。対して右脳では、直感的、感覚的、総合判断的活動が行われ、それはイメージによって記憶される。
左脳を発達させるには、真面目で几帳面な努力が必要。逆に右脳は、マイペースで自由なアタマの働きが必要であると言う。
奥多摩古民家合宿中の8月2日。夕方生徒たちと山頂東天に浮かび上がった巨大で美しい月を見た。
「すごいな」
「大きいな」
「綺

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音読について

日本語古典を読んで、そのまま理解できる。
そこには不思議な快感がある。
何かアタマが良くなったような気がする。
気がするだけではない。
古典を読んでそれでそのまま理解できるようになれば、普通の文章の読み取りは楽になる。深くなる。
これは実際にアタマが良くなったことを示す。
さらに普通の本だけではなく、教科書やテキストを読んで自分でその内容を把握することができるようになる。
これは本格的な国語力が身

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音読が第一であることについて

カタカムナ音読並びに日本語古典音読を体験した者は、それまでと異なる言語感覚を加味したことになる。
日本語の一音一音の意味とリズムー多くは和歌の音から伝わるものであるが、和歌をもとにした古典散文からも体得できる。
これを体得した者は、相手の言うところをよく聞き取り、自分の思うところを直感的に口にすることが可能になる。テキストもすらすら読めるようになる。
可笑しいのは、皆そもそも自分の国語力が高かった

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リベラルアーツー『旧約聖書』からエミールへ

16日のリベラルアーツは、ブログやメールのメッセージを受け取り損ねた者がいることにより、初級、上級の集う会となった。
テキストは『旧約聖書創世記』(岩波文庫)、アブラハムとイサク、ユダヤ12支族の決定のところを順に音読し読み進めた。
たまたま教室内にレンブラントの画集があったので、これを提示して、この絵が、聖書による、アブラハムのイサクを神への生贄に捧げようとして、天使にそれを阻止されるシーンの正

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リベラルアーツ『旧約聖書創世記』とガザの戦争

昨夕のリベラルアーツ初級は、『旧約聖書創世記』を読み進めたが、現在進行中のパレスチナハマスとイスラエルの戦争について触れないのはあまりに不自然だった。
国際社会は、ガザ地区の「封鎖」を容認し続けてきた。またイスラエルは衛星その他を用いた極めて厳しい監視体制も敷いてきたと思われる。
でもイスラエルの迎撃システムが落とし切れないほどの大量のミサイルを一度に発射できた。
そして、「国境」を超えて武器を持

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『ダンマパダ』ー古代聖者の教え

25日のリベラル初級は、『真理の言葉―ダンマパダ(法句経)』(岩波文庫/中村元訳)を読んだ。

33 心は、動揺し、ざわめき、護り難く、制し難い。英知ある人はこれを直くする。―弓矢職人が矢柄を直くするように。

初めのところでブッダは、心について語るが、どうして2500年以上前の心理学や脳科学が発達する前の時代に、こうした深い考察ができたのか。驚きとしか言いようがない。

116 善をなすのを急げ

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