土曜授業のバイブスを感じろ

私たちの大学は秋学期が春学期より1週間短い。それを補うために土曜日にも授業がある。今日は今学期最初の土曜日の授業。はっきり言って教員も学生も土曜日の授業は好きじゃない。なんで土曜日に授業があるんだ。なんなんだ。ぶつぶつ。

それで今学期の土曜授業は全部オンラインでやることにした。一応そのアナウンスを最初の授業の時にしておいた。

「みんな土曜日の授業嫌いだよね。私も嫌い。だからオンラインでやろう。」

クラスの学生たちが頷く。でも、一人の男子学生が手を挙げた。

「私は好きですよ。土曜日のクラス。」

みんながえー!という。私もなんでー!と言う。

「わかんないけど、土曜日のバイブスが好き。平日の授業とちがう感じが。」

その言葉、すごく気に入った。土曜日のバイブス。

私は小学校で土曜日に授業があった世代だから、この学生の言わんとすることがなんとなくわかる。土曜日の授業は、なんか違う。学校に行くのはめんどくさいはずなのに、いつもと違ってどことなく空気が軽やかで、心地よい。これが土曜授業のバイブスだ。

そんなこんなで今日は土曜授業のバイブスを感じつつ、オンラインで学生たちと楽しく話した。

初級後半クラスは好きな本を一冊持ち寄って、みんなに紹介する。最後はみんなでカメラに持ち寄った本を映しながら記念撮影をした。呆れながらもみんな付き合ってくれた。

子どもの時に読んだ本、一昨日読んだ本、いつ読んだか忘れた本、いろんな本があった。表紙もかわいいのやらかっこいいのやら怪しいのやらいっぱいあって、たぶん私が一番楽しんでしまった。学生は楽しんでくれただろうか。

中級クラスではミニ・ビブリオバトルを開催した。卑弥呼の本から、ホラー小説のリング、シンデレラの秘められたものがたりに、村上春樹が走る本。どれもこれも興味深い。

リングを紹介した学生に「今の子どもはビデオテープになじみがないけど、そんな人が読んでも、怖いと思う?」と質問してみたが、そっけなく「I don't know.」と返されてしまった。せつない。

今度の土曜授業はたしか再来週。土曜授業、次もいいバイブスくれよ。