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残響

私はそろそろこの世には飽き飽きしてきた頃だ。

コロナだのが蔓延するこの腐れきった世界は私を許す事は無かった。  
それなら私もこの腐れきった世界を許すつもりは無い。  
いつ見ても醜い景色ばかり私の目に映りこませては私を除外しようとしてくる。  
色々と積みに積みに積み重なっていく重みに、もう耐える事は出来ないだろうと確信してきた頃具合でもある。  
どうせ私の様な存在がこの社会から消え失せたとしても、誰の記憶にも焼き付く事なんて無いだろう。  
私が憎んだこの世界はいつも憎いままだ。  
お陰で私はストレスと言う汚物を溜めに溜めてしまい今ではもう爆発寸前の警告状態だ。

これらの爆弾を私の体内に埋め込んだのもこの憎き世界だ。  
息を吸いては吐いてを繰り返しながらも他人の幸を目に映され、挙句の果てには井戸底に突き落としていくこんな世界を私は許す事は恐らく一生無いだろう。

「産まれてきてよかった」 そんな贅沢な言葉等私にとっては桃源郷にある春期楼寄りも薄れて見えない程の木霊だ。

「他人と比較するなんて無駄」 だの 「他人の幸が許せないのは自分に満足できてないから」 なんて巫山戯た言葉を、私に投げ掛けてくる奴らがいるが、それはお前が経験すらした事もなく、その様な状況に置かれても尚自分の事を棚上げして自分を認めずに他人を批判してきたからだ。

他人と比較もしたことも無い贅沢な家庭に産まれて育ってきた奴らが上手いことを鷲掴みにし、自分を棚上げして生み出された言葉ばかりで飽き飽きだ。

利己的な奴らが多過ぎる、私のような都合のいい人間は利用に利用され、終いには目立つことも無い心の傷と言う形で、致命傷を与えられる。

私は他者に利用され、他者に笑われる為に、この世界に生まれてき訳でも無ければ、存在している訳では無い。

私はただ、自分の事を認められたいだけだ。

我儘だ」 何て言葉を投げかけてくる奴らもいるだろう、しかし、私はその位の犠牲と有限な時間を費やしてきたのだ。  
「もうこれ以上は犠牲なんて出せない」 そう心の底から叫びたくもなるほど、多くの事を犠牲にしてきた。

犠牲にはそれ相応の報酬があってもいいでは無いか?

あんたはどれだけ卑怯なんだ?  
私が、どれほどの傷を増やし、傷口も癒えぬまま悪化し、致命傷とも言える段階に達したのにも関わらず、この世界は私に何も与えやしない。  
与えてくるのは傷口が染みる程の塩だけだ。

どれだけ私がこの身を投じて、多くの犠牲を出し、傷口を増やしても、それ嘲笑うかのような他人の幸せが、嫌と言う程目に飛び込んでくるのだ。

他人の幸せを見るのは飽きた。

これがもう口癖になりつつある。  
他人の幸せだけが目の前にあり、私の手元にあるのは冷えきった世界の温度と凍えるように冷たい風だけだった。  
そんな、辛い事があっていいのか?  
こんなにも苦しい事が、頑張った人に与えられる報酬とでも言うのだろうか?

こんな経験ばかりするのなら、私はこの世に生まれなくてよかった。  
ある人は、「あなたはこの星を選んで生まれて来たのですよ」 何て事を言っている占い師の人もいた。

だが、無神論者の私には到底理解のできない事だ。

こんなにも残酷な世界を選んで生まれてきた覚えは私には無い。

ある時を境に私は、自分自身の前世を恨むようになっていた。  
「自分の前世が何らかの罪を犯したから、自分はこんな経験ばかりをしているんだ」 等を考える様になってしまった。  
前世の自分の罰が現世である自分に降り掛かってきているのだと、私は思う様になった。

「願ったり叶ったり」 などと言うが、私にとっては、「願ったり願ったり願ったり願ったり」 だ。

もう願うだけ無駄なのか? とも思う様になってきた。  
願うだけではなく、それ相応の行動を起こしてきた。  

結果は何も変わらなかった。  
変わったのは環境だけだった。

環境だけ変わっても、降り掛かってくるのはなんの代わりもない、私の傷口を悪化させるような塩の大雨だった。

私のとってきた行動は全て無意味だったのか…

私の犠牲は…費やしてきたものは…全て水の泡だったのだろうか。

一度だけでもいい、家族意外の誰かに認められたい。  
必要とされてみたい、生きてもいいんだ と心の底から思おたいのだ。

そんな事を言う私は我儘なのだろうか。  
心の底から、「生きてて良かった」 そんな事を叫んでみたい。

どす黒く穢れた過去ばかりが私を邪魔をする。

何かを手に入れる直前には必ずしも、邪魔者が現れる。  
何かを手に入れる直前には必ずしも、それを引き離そうと力が働く。

それほど、私が憎いのか?

いや、私の方が憎たらしくて仕方がないぞ?  
これ程の犠牲や、傷を負いながらも、ボロボロになりながらも、何度かそう言う疲れで道端で倒れた。  
何度も涙を流した日々が、嬉し涙を流した日よりか多い。

私が一体何をしたと言うのだ?  
答えてみろ!
私が何をやったのかを、黙ってないで答えてくれ。

もう、これ以上の犠牲を払う事は出来ない。

それ程の犠牲を払いに払っては払っての繰り返しだ。  
何かを手に入れるには、犠牲が必要とも言うが、私はその何かを手に入れる為に、数え切れない程の犠牲を払ってきた。もう、犠牲を払うのは無理だ。

頼む、もう私に何も無いと言うのなら、不慮の事故でもいい、それを使って私を殺せ。

もう私は限界だ。  
色々と負荷が多過ぎる。  
それに、過去に置きっぱなしの物ばかりが多くて、それらが私の足枷となり、前に進もうにも、上手く進めずにいる。

私はもう

他人の幸せを見るのは飽きた。

毎回同じ痛みを感じる時に、私の全てを嘲笑うかのように、否定するかのように他人の幸せが私の目に映る。  
もう、そんなもの見たくはない。

私が掴みたいものを他人が掴んでいる。

その現実だけが、私に立ちはだかる。

ふざけるな、私にはいつ手に入るんだ。

そう呼びかけても、世界は私の問に関しての答えは、何も答えてくれずに、嘲笑うかのように、朝を連れてやってくる。


私だけ置いてけぼりなのか。

心の悲痛の叫びは、喉から飛び出る程の血のような声だ。

今日も私は倒れそうになった。  
バイト終わりで、帰っている途中、全てがどうでも良くなった。  
正直、もう死んでもいいか 位の感覚だった。  
帰りの電車の中では、「ベランダから飛び降りれそうだな」 何て恐ろしい事を考えていた位にだ。

最寄り駅のスーパーの駐車場、歩行者信号機音が鳴り響く交差点、赤く点灯する赤信号、私はあまりの痛さに、地面に倒れ込んでしまった。

歩ける程の気力もなく、起き上がろうとしても、手には力が入らず、指先だけが辛うじて動かす事はできたが、体を起こせる程の力では無かった。

砂利と、砂場の独特の匂いが冷たい風と共に、鼻を刺激する。  
地面に付いた、指からは、冷たい風を浴びて冷えきったコンクリートの感触があった。

歩行者信号機音が点滅しているのが微かに見えて、それと共にけたたましく笑い交わる声が聞こえてきた。

まるで私を…嘲笑っているかのような、雑音に混じった笑い声が、嫌と言うほど、耳から入ってきた。

通りすがる人も誰も見えずに、もしあの場で意識を失っていたら…。

私は誰にも気付かれることなく、死んでいたのかもしれない。

誰からも祝福されることもなく、いじめにいじめられ、それが原因で、バイトも上手くいかずに足でまとい、終いには家族意外の誰からも愛される事も、必要とされる事も、生きてて良かった 何て経験もせずに死んでいたのかと思うと、悲しくもあれば、憎くして仕方ない。

私は本当はこの世界に存在していないのかもしれない。

箱の中の猫なのかもしれない。  
私を知っている人が、私を観測する事で、そこに私と言う私が存在するのかもしれない。

どうせ、私が死んだとしても、誰も悲しまないだろう。  
「自殺したら、残された人達が泣き崩れるんだぞ」 なんて言う書き込みをどこかの掲示板で見たが、そんなの都合が良すぎる。

せめて人生が一度と言うのなら、私の願いを叶えてしまえや。

地に足をつき、息をするのですら苦しく、他人の幸せだけを目にし、傷を悪化させる塩の大雨を受けている私に、救いをください。

心の底から、「生きててよかった」 そんな言葉を、明日口にする事が出来ることを心の底から願う。


これは、私の残響。  

そして、私の"存在証明"だ。

私の言葉は、残念にも、色んな音で掻き消されてしまう。  
私の言葉は何故か死んでしまう。  
だから、ここに供養する事にしよう。

私の声が残響としてその場に留まることを、留まり続けて、その場に深く刻み込まれる様に。

それが唯一、私が生きてきた という事を証明してくれるだろう。

哀れな人生に引き金を引け

クソッタレで穢れたこの世界に引き金を引け。

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