推しが同じだけではわかり合えない!?
こんにちは!viviONのUXリサーチャー後藤です。
今回はオタクコミュニティについて書こうと思います!
推しの一致 < 幻想の一致
オタクの方々にインタビューする中で気づいたことがありました。
それは、『推しが同じだけではオタクは仲良くならない』ということです。
オタクは気の合う者同士でコミュニティをつくり、推しの話や日々の活動を共有し合うことがあります。オタクコミュニティには大きく2つのパターンがあり、1つは大学や高校が同じでずっと仲が続いているオタク同士のコミュニティ、2つ目はSNSやイベントで繋がってできたコミュニティです。
特に2つ目のコミュニティで『推しを共有し合うことよりも、幻想を承認し合うことで仲を深める』という傾向が見られました。
同じマンガが好きだからといって仲良くなれるわけではなく、同じマンガを読んだ後に各々の幻想をぶちまけあって、「うんうんそうだ!たしかに!」って認め合えることが大切なのではないか、と考えました。
幻想の正体は?
オタク関連の文献を漁っている中で、久保(川合)南海子さんの『異投射・虚投射の発生と共有: 腐女子の妄想と二次創作を通じて』という論文を見つけました。プロジェクション科学という学問を元にした研究論文で、この論文の中に幻想のヒントがありました。
(※プロジェクション…物理世界から情報を受け取り、それを自分の頭で処理して作り出したものを物理世界に映し出すというこころの動きのこと。例:乱雑に置かれたタオルが猫に見えるような現象)
幻想とは「その人の精神や嗜好が映し出された考え」ではないかと考えました。
オタクの方々はDiscordなどでアニメやマンガなどの作品を話のタネ(媒介)にしながら、各々の精神や嗜好というデリケートな内面を打ち明けています。その過程を経て承認し合えたとき、オタク仲間としての連帯感が高まるのだと思います。
下の図は前述の論文にあるものなのですが、b. 異投射は「個人の幻想(論文では妄想と記載)」、c. 共有される異投射は「幻想を承認し合う」の過程に似ています。ご興味のある方は是非読んでみてください。
まとめ
冒頭で『推しが同じだけではオタクは仲良くならない』といいましたが、仲良くなる「きっかけ」としては、推しが同じことは重要だと思います。
推しが同じという壁を超え、さらに推しに対する考えを承認し合えるとお互いの内面を肯定してもらえるように感じ仲良くなれるのだと思います。
こちらは一種のリスクヘッジにもなっていて、内面を肯定してもらえなくても同じ推しが好きという共通点はあるので、一応その場の会話は成り立つという巧みな戦略だと思いました。
ここまで読んでくださりありがとうございました!
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