見出し画像

島津、中国で医療用検査機

要約

島津製作所は30億円を投じて中国・江蘇省蘇州の工事を増設し、高付加価値製品の製造を行う予定。
1千万円以上する質量分析計でがんなどの病気に関わる成分を調べることができる装置だ。
現在は低価格の装置を生産している同工場で今後は高価格帯品まで一貫生産の体制を作る。

島津の売上の内2割は中国で、同社は中国を重要市場に位置付ける。
29年3月期には売上を2倍にしたいと意気込む。
コロナ収束以降、日本の医療機器関連メーカーは中国での生産を強化する動きが相次いでいる。
中国政府が要求する「医療機器の国産化方針」に加え、現地メーカーとの競争も激しくなっているという。
キャノンではCTの現地生産を開始。
今後はMRIの生産も検討しているという。
オリンパスは内視鏡部品の生産のため工場を蘇州に新設する。

中国政府は15年に発表した「中国製造2025」で医療関連を重点分野に掲げた。
国産の医療機器を調達するよう地方政府に通知したのだ。
それにより各地方の大型病院などでは輸入機器の導入に制限する動きが広がっている。
外資系企業は政府の中国生産を求める動きとして受け止めている。

中国の市場は25年には2倍(20年比)に拡大すると予想されているため、中国生産を急がざるを得ない状況だ。

欧米の医療機器大手は10年ごろから現地生産化に取り組んでおり、今では現地技術者を確保しソフト開発に生かすまでになっている。
ここで懸念されるのが技術流出だ。
高速鉄道では2000年台に外資系企業の技術を中国勢が取り込み、アジアなどでシェアを伸ばした。
島津では部品は日本で生産し、中国で組み立てるなどして対策を取るという。
現在の規制では可能だが、今後は輸入部品の比率指定など規制が導入される場合もあるという。
今後は規制対応と市場取り込みのバランスを探る舵取りが続きそうだ。


感想

医療に重点を置くことになったのはとても嬉しいことだ。
それゆえに市場が拡大するのは当然だろう。
国産でなければ入札にも参加できないとは驚きだった。
とはいえ内資系企業に限定できないのは技術力への自信のなさが透けて見える。
そうなると技術の流出は懸念事項として真っ先にあがるだろう。
対策しながらの生産は中国政府の規制に大きく振り回されてしまう。
対応力が試される。

どの企業も技術力の流出には注意をしていると思う。
それは自社・建設業でも同じことが言える。
お客さんによっては流出と思ってなくて流出させてしまうこともしばしば。
技術は生命線の一つでもあるだけには、慎重に扱うべきだと思う。

建設業の中で空調や換気というのは労働安全に直結しており、日本の規制によって大きく変わる。
有機溶剤というものは身近でいうと塗料(スプレー缶など)があり、それらも使用者が吸わないように空気の流れを作らなくてはならない。
それらにはすでに規制があるが、来年春から更に厳しくなる。
また規制の対象品目も増える。
こちらとしては市場が拡大されることを予想しているが使用者側としては大変だと思う。
何かを変えると何かは変わる。
それが全ていい方向にはいかないことの方が多い。
規制の変更には柔軟に、慎重に対応していきたいものだと思った。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?