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空調冷媒、欧州規制に対応

要約

世界で代替フロンの規制が高まる可能性がある。
日本のメーカーは省エネ性で市場を広げてきたが、冷媒の環境に与える影響が競争軸になりそうだ。

エアコンには"冷える""温める"仕組みを熱の交換装置として行っている。
冷たい物に風を当てて冷えた空気にする、温かい物に風を当てて温かい空気にする。
要はこれがエアコンの仕組みだ。
その冷たい物・温かい物を作り出しているのが冷媒(冷やす媒体)であり、フロンと呼ばれる冷媒が一般的だ。
しかしこのフロンは大気に放出すると環境に悪影響を及ぼす物質が含まれており、その指標が今後欧州を筆頭に厳しくなる。
厳しくなれば従来の冷媒は使えなくなるのだ。

そこで使われるようになったのが馴染み深いプロパンガス。
火をつける目的以外に冷媒の役目を担おうとしている。
しかし未まで使われなかった理由がある。
それは可燃性。
キッチンで火を起こす媒体であるように、火を起こすのに特化している物質だ。
それゆえ米国や日本では身近な危険性を考慮して使われていなかった。
ところがここにきて人体への直接な影響より環境保全に優先度を置いた欧州が動き出す。
環境配慮を優先してプロパンガスによるエアコンが好調。

パナソニックが先陣を切っているが三菱やダイキンも後に続く。
ボイラー(蒸気発生機)に比べヒートポンプ暖房は省エネになる。
プロパンは可燃性ガスのため、室外機のみで完結するヒートポンプ暖房は導入が進んでいるが、防火性を高めて室内機にも採用する動きがある。
何故なら家庭用エアコンにとFガス規制の対象になる可能性があるからだ。
三菱は気体漏れの検知器などを搭載したエアコンを発売予定。

日本ではプロパンの可燃性を危惧して未だに検討段階ではあるが、グリーン化冷媒を開発するうごきもある。
ダイキンはNEDOの支援を受け、温暖化係数10以下の冷媒かいはを目指す。
AGCは温暖化係数を1以下に抑え、他のガスと混ぜて150程度の物を投入予定。

16年のモントリオール議定書では先進国向けに代替フロンの生産や消費を減らすことが義務づけられた。
中国やインドにも削減を求められる。

29年の基準達成に代替フロンに変わる新冷媒の導入が必要不可欠と言われる中、冷媒を巡る競争が過熱している。


感想

建設業の中でもフロンを取り扱っている私としては直接関わる記事だ。
人がいる空間で空調設備を導入していないところは少ない。
どの家庭にも1台はエアコンがあるこの時代にこのニュースは把握しとかなくてはならないと思う。

今まで日本では冷媒とされるもので可燃性の物質は避けてきた。
単純に危ないからだ。
家庭用エアコンでは事例が多い方ではないが、業務用や工場向けのエアコンでは配管の長さ溶接箇所の多さ故ガス漏れが起きることがある。
そこでプロパンが漏れタバコを吸う拍子に着火したもんなら爆発してしまう。
冷媒にプロパンを使うとなる場合は施工方法も変わるだろうから職人さんの仕事も変わる可能性があるだろう。

今後環境への配慮も重要な要素となるため、どの物質を使用するかというのはどの業界でも見直されることが多くなると思う。
世界が向く方向を見据え、早めに変化に対応する準備を進めていきたいと思う。



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