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「生きることって」ー人生は私に期待している

1.過去の辛い経験を抱えていても生きる意味

過去に苦難や困難を経験してきました。

親から十分な愛情を感じられなかったと感じることはあります。

また、辛い経験から心身の傷を抱えて生きてきました。

満たされない感情が苦痛を引き起こすこともあります。

これらの経験をどのように受け止め、どのように乗り越えるかが、人生の質に大きな影響を及ぼします。

この記事では、ヴィクトール・フランクルの著作やNHKの番組(YouTube)を引用して、過去の辛い経験を乗り越え、生きる意味を見つける方法について考察します。

過去に満たされなかった辛い経験が私を苦しめているのか、その変えられない過去をどうすればよいのか。

過去に囚われずに、生きるにはどうすればよいのか。

そういった問いを提起します。

2.海の岩礁に例えられる過去の辛い経験

⚫︎NHKからの引用

【ヴィクトール・フランクル】
第3回・人生はあなたに期待している”『夜と霧」著者ナチス収容所を生き抜いた精神科医が説く空虚感を克服するためのコペルニクス的発想の転換とは?こころの時代NHK 2024年 6月17日

人がなぜ内向きになり、自分自身にのみ焦点を当ててしまうのか、フランクルが注目したのは、フロイトの影響を受けた当時の精神分析の方法でした。

フロイトによって提唱された精神分析の手法は、個人の過去を探り、そこに潜む問題の根源を明らかにしようとするものです。

フランクルはそれを 海の岩礁に例えています。

引き潮になると、海水に沈んで隠れていた岩が姿を現します。

人の心では心が満をされていないときに過去のつらく悲しい出来事がよみがえってくるのです。

しかしフランクルは、過去に縛られるのではなく見方の転換が大事だと説きました。

引用 こころの時代INHK 2024年6月17日

◎講師の勝田茅生(日本ロゴセラピスト協会会長)さんは以下のように話しています。

満たされない気持ちでいるという、そういう現象があるんだって、それはいったいどこから来ているんだろうって考え始めるんですね。

虫眼鏡を持って、岩礁を調べに行くわけね。

何が起こったかって、過去にある種縛られてしまうっていうこと。

そこで、どんなに自分は嫌な思いをしたかって、いろいろ調べる。
調べれば調べるほど、嫌な気持ちになる気持ちは沈んでいく。

岩場は消えないんだけど、それがあることが気にならなくなる。

いつもそれに自分を縛りつけていなくてすむということなんです。

だけど 本当を言えば、もっとまったく別の次元で、何か「意味」のあるようなことをやって自信をつけるとか、「あれをやってあげてよかったな」って思いが満たされる気持ちになる。

そのことによって潮が満ちてくると、そうすると 過去にどんなことがあったとしても、それは現実の問題としてはそんなに大きな障害にはならないということ、実際にあるんですよね。

引用 こころの時代INHK 2024年6月17日

3.人生から期待されることに応えていく姿勢

⚫︎フランクルの本からの引用

ヴィクトール・E・フランクル
『夜と霧』

『ここで必要なのは、生きる意味についての問いを百八十度方向転換することだ。わたしたちが生きることからなにを期待するのではなく、むしろひたすら、生きることが私たちからなにを期待しているのかが問題なのだ。』1)

『このふたりの男たちは、・・・「生きていることにもうなんにも期待がもてない」と、・・・しかしこのふたりには、生きることは彼らからなにかを期待している。生きていれば、未来に彼らを待っている。ということを伝えることに成功した。・・・このひとりひとりの人間にそなわっているかけがえのなさは、意識されたとたん、人間が生きるこということ、生きつづけるということにたいして担っている責任の重さを、そっくりと、まざまざと気づかせる。・・・まさに、自分が「なぜ」存在するかを知っているので、ほとんどあらゆる「どのように」にも耐えられるのだ。』2)

⚫︎NHKからの引用
◎講師の勝田茅生(日本ロゴセラピスト協会会長)さんは、フランクルの言葉について、以下のように話しています。

人間は積極的に自分の方から、求めていかなくちゃならない。

向こうから棚からぼた餅みたいに幸運が落ちてくるわけじゃなくて、自分の方から、人生を作っていかなくちゃならない。

視野を広げていくということ、それから自分が中心にあるんじゃないという見方。

そう考えると私は人生から、何を期待できるだろうかということよりも私は人生の要請に対して、どういう答えを出すことができるだろうとそっちの方が重要なんだ。

引用 こころの時代INHK 2024年6月17日

4.引用から感じたこと

生きる意味を見失った絶望的な時期に、心療内科の先生からこんな言葉をいただきました。

「今の苦しみの原因は、過去に起きたものなのでしょうか?」

先生は答えてくれました。
「過去がどうであれ、あの出来事があったから今がこうなっているというのは意味がない。大切なのは、これからあなたがどう生きたいかだ。」

そう教えてくれました。

辛い過去の出来事は、心が満たされない時に浮かんでくるものです。

わざわざその過去を掘り返す必要はなく、自信を取り戻し、自分の強みを生かして生きていくことで、結果として過去を覆い隠すことなく、それに囚われなくなるのです。

フランクルの言葉と私の経験は一致していました。

5.最後に

人生に対する期待を問うのではなく、人生が私たちに何を求めているかを問うことは、受動的な生き方ではなく、能動的な生き方です。

フランクルの「生きていれば未来に待っている何かがある。生きることは私からなにかを期待している。」

その要請にどう応えるか、私の責任を果たしたいと思いました。

そして、人に対して何かをすることに対して、勝田さんはこのように言っています。

自分よりも他人の方が大切だということなんじゃなくて、自分自身もやっぱり、誰かのひとつであって 一個であって、自分自身も大切にすることも大事でその中で、みんな同じように大切なもの。

引用 こころの時代INHK 2024年6月17日

私は誰かにとって大切な存在であり、必要とされていることを実感しました。例え、誰も思い浮かばなかったとしても、私は誰かの大切な一人なんだと思います。

人はかけがえのない、大切な存在であり、その事実を欠く者は一人としていません。

このように、今回学びを得ることができました。

人生があなたに期待しているものに、どのように応えますか?


次回、「生きることって」3️⃣を予定しています。

「生きることって」-生きた事実は永遠にの記事はこちらです。


参考文献
1)ヴィクトール・E・フランクル著 池田香代子訳 『夜と霧 新版』みすず書房 129頁 2023年
2)同上 133、134頁

ここまで読んでいただきありがとうございました。

私が目指しているのは孤立のない共生社会の実現です。

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