リュックを背負って遠足に行ったら見つけたものがある
世界ではまだまだコロナウィルスの威力は衰えず、人々が新しい生活のスタイルへの変換を強いられています。
現在、従来のように自由に外で食事をしたりすることは出来きませんが、サイクリングやトレッキングといった野外でのアクティビティに対する制限は比較的に緩めです。
「山に行こう!」
そう仲間から連絡があったのが土曜日の朝。最愛の母親を先週亡くしたばかりの友人、兄がコロナ感染で入院中の友人も一緒です。リュックの中にいろんな物を詰め込んで、翌朝、大人たちは遠足に出かけたのでした。
◇◇
バレンシア市内から北西に向かって車で約一時間の場所にあるロルギージャが本日のスタート地。
地図も見てみましょう。
地図左側の貯水池から繋がる右手の湿地に沿って緑の部分を歩いていきます。このルートは貯水池側と、チュリージャ村側のどちらからでもトレッキングが可能です。
バレンシア市内に流れ込むトゥーリア川の水が、この堰堤で塞き止められています。
早速、何層にもなった岩肌が、何万年もかけて大地が開いていった自然の力を見せつけます。
目を凝らすと垂直に聳え立つ岩壁を自力で攀じ登っている人たちがいました。ロッククライミングを楽しむ人たちです。
直ぐ右手には水が流れ、水圧で削り取られた岩山の隙間を歩いていきます。
春になると、この辺りにも沢山の山花が咲き誇ります。
決して豪華で美しい花ではありませんが、誰の手に係ることなく毎年、必ず花をつける凛とした芯の強さを感じるのです。
このルートの目玉でもある二本ある釣り橋うち大きい方は全長21メートル。水面からの高さが15メートルもあります。最初に橋が架けられたのは50年代だそう。
左右の岩肌がパズルピースのようにピッタリと一致するのがよく分かります。
結構、揺れるので小さなお子さんは怖がるかもしれません。
岩壁に沿った小さな石の階段を登ります。
息を飲みました。そこには自然が生きていました。
激流ではないのに岩を割って流れる水と、清々しく真っ直ぐに差し込む太陽の光。
一見、当たり前に見える目の前の自然が、気が遠くなるほどの時間を超えてきたのだと思い知らされます。誰に命じられるのでもなく、ただそこに生き続ける雄大な自然の営み。
遠くに見える山々が、小さなことには気にしないでいいよと語りかけます。
少し道が広くなった場所の脇に、子どものように腰を下ろして腹ごしらえ。
真横で野生のローズマリーが微笑んでいました。
美しい紅葉や日本の懐かしい風景の写真を見るたびに、郷愁をくすぐられます。日本にいる両親にも会いたい気持ちが募ります。日本に帰りたくないというと嘘になります。
けれど、自分で選んだ場所なのです。小さな種のようにふわりと風に吹かれて辿り着いた大地。この場所こそが、私が生きるべき場所。
この地にしっかりと根を張って生きる。自分に与えられた物を素直に受け取って生きていきたいと思うのです。
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