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食べて生きる人たち(連載)

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人は『食』で創られる。スペインの歴史を手繰り、人と共に動いてきた食文化を通し、人々の食べて生きる姿に触れる。命を繋ぐ鍵を探すスペインの旅の千夜一夜物語。
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記事一覧

美味しいものは、やっぱり美味しい

【さんちゃご!!】  イベリア半島の最北西部ガリシア地方に位置するサンティアゴ・デ・コン…

harco
2年前
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記憶あそび

【ブルーチーズは本当に苦手だったのか】  それにしても肉と豆の煮込み《ファバダ》のパワー…

harco
2年前
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ファバダの向こうに家族がいた

【リンゴ酒サービスは鮮やかに】  サンタンデールを出た車の車窓から見えていたカンタブリア…

harco
2年前
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何もないのに全部ある

 カンタブリア地方の小さな海辺の町サンタンデール。ここからスペイン・イギリス間を結ぶフェ…

harco
2年前
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珍味って本当に美味しいのかという謎

【鰻の稚魚のアヒージョに教わったこと】  海沿いのサン・セバスティアンから西へ約100キロ…

harco
2年前
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ピンチョスに刺され、タパスに蓋される

パステルな味  サン・セバスティアンの海辺に立つ。目の前に広がるビスケー湾の色。明らかに…

harco
2年前
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どうして市場に座布団があるんだ?

チャ・コ・リ🤩  パンプロナから北上するバスが、山中の朝露に冴えた緑の中を通り抜ける。四方八方に牛が放牧されている様子に、まるで絵画の中に入り込んでしまったような感覚に陥る。視界に入る家屋の数よりも牛の数のほうが圧倒的に多い。  フランスと国境を分け合うバスクの大地。バスが傾斜を何度も上がったり下がったりを繰り返し、ようやく、イサベル2世が避暑地に訪れたというサン・セバスティアンの町が見えてくる。  バスク地方の人々は独立気質が強いことで有名で、彼らは21世紀の今でも

牛追い祭の町で腑に落ちる

 牛追いが行われる日の朝。真っ白いシャツと長ズボン、赤いスカーフを身につけ男たちが、緊張…

harco
2年前
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頭で食べますか?身体で食べますか?

 サンティアゴ巡礼路のフランス側からピレネー山脈を越えてスペインに入るルートで、スペイン…

harco
2年前
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ワインの里deデート

公道の脇を埋めていた野菜畑が、気が付くと一面が枯れ木だらけになっている。どういうことだと…

harco
2年前
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生ハムは手で摘まんでペロンと

【儚く消えゆく生ハム】 「そりゃ、生ハムでしょ」 時刻は朝11時半を回っている。朝食のアル…

harco
2年前
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スペインにも、あの白い恋人たちが?

スペイン版「ロミオとジュリエット」として知られる「テルエルの恋人達」の伝説の舞台である小…

harco
2年前
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あぁ、カタブツで愛しきオタンコ茄子

【冬の定番料理ガスパチョ】 シウダー・レアルからアルバセテへと今度は東へ向かう。車での移…

harco
2年前
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ガチャスとピストと海馬の贈り物

スペインの土地は、本当に表情豊かで分かりやすい。同じ内陸部カスティージャの乾いた大地であっても、よく見ると東西南北で少しずつ表情が異なる。トレドからさらに南下する。痩せ馬ロシナンテに跨った永遠の騎士ドン・キホーテの舞台となったシウダー・レアル周辺の景色も例外ではない。 車の窓から、茶色と緑色のトーンのパッチワーク作品のような畑が、なだらかな傾斜の沿いながら広がっているのが見える。壁が剥がれ落ち、ところどころ赤茶けたレンガ肌を見せる古家屋が、その場所だけが時間を無視しているか