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TUGUMI(著者:吉本ばなな)

病弱で生意気な美少女つぐみ。彼女と姉妹のように育った海辺の小さな町に帰省した私は、まだ淡い夜の始まりに、つぐみとともにふるさとの最後のひと夏を過ごす少年に出会った――。少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらないきらめきを描く、切なく透明な物語。
(Amazon内容紹介)

”TSUGUMI”は、主人公・まりあの親友の名前である。彼女は病弱であるにも関わらず、生意気で肝が据わっており、その傍若無人な振る舞いは、家族や主人公、周りの者たちを困らせる。ただ、不思議な事に、そんな言動を取る彼女を読んでいて嫌いになる事はなかった。それは、つぐみの言動が一人の少女の強烈な個性を表すものであり、前を向いて生きていく為の原動力になっていると感じられたからだろう。

本作は、海辺を舞台に少年少女たちの人生を描いた物語でもあるが、作者が紡ぎ出す詩のような美しい世界感は、読者が少年少女に過ごした懐かしい思い出を想起させてくれるだろう。毎年夏になると思わず読み返したくなってしまう本であった。


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