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お金2.0(著者:佐藤航陽)

「資本主義」を革命的に書き換える「お金2.0」とは何か。2.0のサービスは、概念そのものを作り出そうとするものが多いので、既存の金融知識が豊富な人ほど理解に苦しみます。その典型がビットコインです。あまりにも既存社会の常識とは違うので「今の経済」のメインストリームにいる人たちにとっては懐疑や不安の対象になりやすいといった特徴もあります。そして、それこそが全く新しいパラダイムであることの証でもあります。本書ではまずお金や経済の仕組みから、テクノロジーの進化によって生まれた「新しい経済」のカタチ、最後に私たちの生活がいかに変わるか、の順番に解体していきます。(Amazon内容紹介)

仮想通貨・フィンテック・シェアリングエコノミー等々、現在、お金に変わる資本やサービスが次々と生み出されている。その為であろうか、まだまだ実体としてのお金は強い影響力を保ち続けているとはいえ、近年その相対的な価値は徐々に力を持ち得なくなっているように見える。

本書は、そんな流動性の激しい時代で、そもそもお金とは一体何か…テクノロジーはお金をどのように変えていくのか…お金に変わる価値とは一体何か…といった、お金の未来と新しい経済のカタチを私たちに掲示してくれる。そして、そんな著書の項目の中でも、「資本主義」から「価値主義」という新たな価値体系への変換の提唱は大変興味深い。

これは、限界を露呈し始めた資本主義に変わる社会から、お金などの資本に変換される前の”価値”を中心としたら社会(いわゆる価値主義)に世界が変わっていくというものだ。ここでいう価値とは、経済的な実用性、人間の精神にとっての効用、例えば、興奮・好意・共感といった、社会全体にとってポジティブな普遍性を持つ全てのものである。

今後、AIなどのテクノロジーが急速に発達していくと、大半の労働は価値を失っていく可能性があり、そうなると大半の人が失業してしまうことになる。その時、生活するための必要最低限の生活コストを国民全員に支給するため、ベーシックインカムを導入する仕組みが整えられていく可能性も十分に考えられる。しかし、そうした保障によって働かなくても生きていけるという状態を全員が享受できるようになってしまった場合、お金を稼ぐ能力は今ほど重要でなくなってくる。そして、そうした状況に直面した時、非実体的な”価値”こそが、お金に変わる大きな価値となり、私たちの社会を大きく変えるだろうと述べる。

お金の将来について考えてみたい方は、是非一度読んでみてはどうだろうか。



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