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さきみコラム②:慣れ親しんだものを手放す勇気

日々の相談で実感する「アンラーニング」の難しさ

みなさま、こんにちは。VCラボのさきみです。
メンタルヘルス問題の相談、キャリアの相談、新しい環境への適応支援のオンボーディング相談、管理職のマネジメントを進化させるVC面談…、日々どの相談においても実感するのは、「慣れ親しんだものを手放すことの難しさ」、「アンラーニング」の難しさです。

キャリアの自律やリスキリングなど、生涯にわたって新たなことを自ら身に着けることが求められている中、「アンラーニング」も注目されています。アンラーニングの直訳は「学習棄却」ですが、「捨てる」という印象が強くなるため、「学びほぐし」という言われ方もします。
これまでの経験によって築き上げた価値観や身に着けたスキルを、現状に合わせて取捨選択し、さらなる成長や進化のために新たな知識やスキルを身に着けるという学びの修正をさします。

アンラーニングを阻むもの

実は、適応力を兼ね備えている「ヒト」は、進学、就職、異動など、環境の変化に合わせてアンラーニングをしています。
しかし、いわゆる画一的ともいえる昭和のような時代と違い、令和の今は価値観が多様化し、それだけ環境もヒトも多様化しているため、アンラーニングの機会が増え、学びの修正度合いも高まっているといえるかもしれません。

この学びの修正において大きなハードルとなるのが、「慣れ親しんだ」という感覚です。

皆さんは「慣れ親しんだ」ものにどのような感覚を持たれるでしょうか。
多くの方は「安心感」をいだくのではないかと思います。ライナスの毛布、スポーツ選手のルーティーンのようなものですね。
その慣れ親しんだものは、単に接触回数の多さによる気楽さがあるだけでなく、少なからずご自身に何らかのメリットをもたらした成功体験が紐づいているために、安心感がもたらされています。特にキャリアを積んできた中堅以上の社員や管理職など有能な人ほど、成功体験が積み重なっているため、それを手放すことの難易度があがります。


未来に目を向けた内省が勇気をくれる

ここで、「手放す勇気」を後押しするものは、内省です。過去に焦点を当てた反省よりも、現状や未来と照らし合わせた省察的な内省が新たな一歩を踏み出す力を支えてくれます。「過去にうまくいったから」ではなく、過去にうまくいった経験を積み重ねた「今・未来」の自分や組織にとって必要なことか否かを見極めることが重要です。

顧客に寄り添い試行錯誤して得られた「過去の」最善策に固執するのではなく、試行錯誤して方策を導き出せた経験を再認識して、「今」や「未来」の顧客に寄り添って試行錯誤し、新たな最善策を見出していく、それこそが、成長や進化につながります。

お気に入りの洋服が今の自分に似合うのか、よく省察・内省をして、整理をすると、今の自分に似合う新たなお気に入りの服が見つかるのと似ているかもしれません。

お気に入りを客観的に見つめなおして、手放す…、なかなか勇気のいることです。
私たちVCラボでは、一人でも多く方が勇気を出して、より望ましい未来を見出すお手伝いを続けてきます。


手放しすぎた…?

■さきみのプロフィール
ビジョン・クラフティング研究所 シニアコンサルタント
臨床心理士・公認心理師・1級キャリアコンサルティング技能士
 
 
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VCラボ ホームページ:https://vc-labo.jp/