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ビジョン・クラフティング面談(VC面談)で取り戻す「首尾一貫感覚SOC」ー人生の物語を自ら紡ぐ力ー

皆様、こんにちは。VCラボのさきみです。
前回、VC面談では、管理職の皆様の「答えを急がず、積極的に悩み迷い、実践し続ける」という前向きな力、『ネガティブ・ケイパビリティ』が高まっていることを感じるとお伝えしました。
ここ最近は、さらに、取り戻している力もあると実感するようになってきました。
 
今回は、管理職が『首尾一貫感覚(Sense of Coherence)』を取り戻すご様子を紹介いたします。

自分の人生の物語を自ら紡ぐ力:『首尾一貫感覚(Sense of Coherence)』

まず、この『首尾一貫感覚(Sense of Coherence)』とは、ストレス対処力として有名な力です。アーロン・アントノフスキー博士が、第2次世界大戦下のナチスドイツの強制収容所に収容されるという過酷な経験をしたにも関わらず、その後も良好な健康状態を維持した人々に共通する考え方から見出した概念です。
 
Coherenceとは、筋が通っている・一貫性という意味があり、『首尾一貫感覚(Sense of Coherence)』は、困難や理不尽な事態さえも筋道を通し、納得できる力と表現できるかと思います。人は困難や理不尽な事態に直面すると、多かれ少なかれ、動揺し不安になったり怒りを持ったり緊張したりして、本来の自分が発揮できなくなったり健康が脅かされたりと、その出来事からネガティブな影響を受けてしまいます。
そのときに、以下の図の3つの感覚から構成される『首尾一貫感覚(Sense of Coherence)』を発揮することができれば、望まない出来事さえも自分の人生に取り込み、ネガティブな影響を低減し、彩豊かな人生の物語を自ら紡いでいくことが可能となります。


管理職になることにより広がる守備範囲と困惑

さて、この「困難や理不尽な事態さえも筋道を通し、納得できる力」である『首尾一貫感覚(SOC)』ですが、管理職になる方は、もともと一定程度の高さで備えていると思います。仕事において、さまざまな問題や困難を乗り越えてきたらこそ、管理職という立場になっているからでしょう。
しかし、「名選手は名監督になれない」と言われるように、優秀だと評価されている管理職ほど、特に伸び悩んでいる部下や自分と共通点が少ないと感じる部下への対応に悩まれている印象があります。

「どうして何度言ってもできないんだろう」
「自分でやった方がはやい…」
「どうして自分がこんなことをしなくてはいけないんだ」

このような本音もよく語られます。
このとき、この管理職は、部下への対応において、自分の置かれている状況や今後の展開が見えず、果たして対処できるのかもわからない、こんなことを続けて意味があるのだろうか…と、まさしく首尾一貫感覚を失いかけています。

新たな自分の『首尾一貫感覚(SOC)』とネガティブ・ケイパビリティの相乗効果

VC面談では、管理職の皆様に、ご自分の思いやビジョン、これまでの人生や思い描いている未来などさまざまな物語を安心して語りつくしてもらう場です。
その語りは、前回お伝えした通り、苦痛を伴うネガティブ・ケイパビリティの発揮からスタートしたとしても、次第に前向きなネガティブ・ケイパビリティの発揮に変化していきます。
 
この変化は、『首尾一貫感覚(SOC)』を取り戻す過程にも感じられます。
さまざまな語りにより、これまでの優秀なプレイヤーである「自分」から、
管理職としての「自分」は、部下に対して、部門や組織全体において担う役割が増え、その守備範囲が広がった新たな「自分」がどのような状況に置かれているかを分析し把握可能感が取り戻せる。すると、自ずと具体的な対処が見えてきて処理可能感を取り戻すことにつながる。「わかる・できる」感覚が戻ってくると、管理職として今苦慮していることの意味を見出すことができ、その有意味感が支えとなり、未来を見据えた際の現状理解を深められ、さらなる現在の対応策が見出せるという具合です。


 

管理職としての『首尾一貫感覚(SOC)』が持てると、意識しなくても自らの長所を活かし結果を出すことができ、この成功体験がさらなる『首尾一貫感覚(SOC)』の向上を生じるという好循環が生まれます。また、『首尾一貫感覚(SOC)』が高まると、前向きにネガティブ・ケイパビリティを発揮できるようになり、どのような事態も自らの物語にとって大切な一場面にできるようになっていきます。まさに、自らの人生の物語を自らが紡ぐ、そのような変化をご一緒に体験する場がVC面談といえるかもしれません。

「わかる」「できる」「意味がある」という感覚をもって、「答えを急がず、積極的に悩み迷い、実践し続ける」ことができる、これは、正解が1つではないVUCA時代に最も求められる管理職の力なのではないかと思う今日この頃です。


今年も開花は早いかな…

■さきみのプロフィール
ビジョン・クラフティング研究所 シニアコンサルタント
臨床心理士・公認心理師・1級キャリアコンサルティング技能士
 
 
お問い合わせ先:https://www.jes.ne.jp/form/contact
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