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「幻想郷世界 II」こぼれ話 (8)

続きです。前回はこちら。

第1回から読まれる方はこちら。

※ 記事の特性上、同一動画へのタイムスタンプを用いたリンクが複数貼られます。あらかじめご了承ください。


第2楽章「PRESTO」(続)

#42 幻想郷の二ッ岩

ここは聴けば分かりますが、ベートーヴェンの交響曲第5番から拝借しました。敢えてメロディに覆いかぶさるくらいのバランスにして、変わり種という感じを出しています。


#43 小さな欲望の星空

こちらは伴奏型に、モーツァルトの交響曲40番から引用した音形を使用しています。

伴奏型は、手癖で書くと同じような形になってしまいがちなので、意識的にバリエーションを出すようにしています。
30曲も短いスパンで繋げると、どうしてもネタが尽きてくるので、終わりの方はクラシック曲からの引用が多くなってきていますね。

ラストの部分の金管の下りモーションも、チャイコフスキーの交響曲第5番ないし第6番から着想を得ています。


#44 幻想浄瑠璃

ホルンのゲシュトップと弦楽器の刻みの組み合わせは、けっこう破滅的な音が出ます。
前曲の後半の高いところから転落して低いところで唸って、次はまた高いところに上がっていくっていう感じで、このあたりは高低差が激しくなっていますね。


#45 ロマンチック逃飛行

メロディは高いところで歌っていますが、ベースが低音でうごめいているのが不穏な感じ。この低音の動きは、チャイコフスキーの交響曲第6番からのアイディアですね。

対旋律は例によって、4小節遅れでの追っかけです。


#46 聖徳太子のペガサス ~ Dark Pegasus

トリは前作に対応する形で、速そうなキャラということでのチョイス。けっこうカッコよく書けたと思います。

この曲で苦労したのはラストなのですが、とりあえず前の部分からコメントすると、イントロで入ってくるバストロンボーンとティンパニ(両手)のユニゾンが最高

シロフォンはめちゃくちゃやっているようで、なるべく右手と左手で交互に叩けるように音符をいじっています。いちおう、ね。
あと、小太鼓のリズムは全体的に凝っています。普通のリズムで叩かせるとあんまりおもしろくなかったので。

中間部から主部に戻る部分の金管は、初期版ではこれまたチャイコフスキーの下りモーションを参考にする形で組んだのですが、

イマイチ決まらなかったので、完成版(21:11~)ではもう少しおとなしい形になりました。

さて、ラストです。まずは初期版から。

とりあえず前半から持ってきたものの調を変えて、打楽器を少し足したって感じですね。骨子はできているのですが、2楽章の最後をキメるような派手さが全然足りない。

というわけで、次。

小太鼓が入りました。これがさきほど述べた、整然としすぎててあんまりおもしろくないバージョンですね。
休みなくずーっと鳴ってるのも、まあちょっと飽きちゃいますよね。

その次がこれ。前半はだいぶ迷走している感じですねえ。
後半については、音を抑える部分の小太鼓が抜けて、そのあとのシロフォンが延びたので、メリハリがつきました。

ここまで来ると、だいぶ終わりが見えてきています。さらにこのあと数回、細かい音符の調整をしたり、大太鼓の音作りをしたりして、できあがったのが完成版(21:18~)ですね。
リズムを刻んだり、メロディの輪郭を強調したり、テンションを煽ったり。打楽器の役目は幅が広いです。


次回は3楽章に入ります!


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