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「幻想郷世界 II」こぼれ話 (18)

続きです。前回はこちら。

第1回から読まれる方はこちら。

※ 記事の特性上、同一動画へのタイムスタンプを用いたリンクが複数貼られます。あらかじめご了承ください。


第5楽章「FINALE」(続)

#98 秘神マターラ ~ Hidden Star in All Seasons

隠岐奈その2。前曲の雰囲気を引き継いで、推進力のある感じで続きます。
最初の部分(66:30~)で出てくる対旋律は、2拍先出しになっています。対旋律のほうが前を走るというのは、珍しいパターンですね。

続く中間部(66:52~)、オールユニゾンのあとに出てくる、フルートのフラッター奏法、グロッケンシュピール、バイオリンのsul ponticello奏法の組み合わせは、過去作の「東方緋想天」のアレンジから引用した、「音楽が壊れたときの音」です。

さらにその雰囲気を引き継いで、息の長い対旋律を入れて煽り立てていきます。かと思うと、突然の急転直下で寸断されて後半部が始まる。だいぶ予測のつかない展開にできたかな、と思います。

その後半部(67:17~)は、4ビートの推進力のある音楽が戻ってきます。
ここでの対旋律は、主役のメロディとリズムを邪魔しないように、音階を主体にした流れるようなものになっています。

クライマックスの部分、初期版では原曲どおり4小節目の頂点音はナチュラルGだったのですが、

ここまで盛り上げといてそれはないでしょう、ということで、半音上げて長調化させました。

ところが、そうなると今度は小節の後半で下がっていくのが収まりが悪い。そこで、上昇に反転させてHまで上げたのが完成版(68:03~)ですね。

この部分には、リズムの重層化を目的として2拍遅れの対旋律が挿入されています。なんとなく反行型っぽいですが、音の並びは和音優先になっていますね。

その後は潮が引くように鎮静化しつつ、怪しい和音に沈んでいきます。最後は弦楽器のトレモロとハープだけが残ります(68:46~)が、ここで全曲中たった一度だけの四分音が登場します。

この音をEにしてEø/Dの和音としても、FにしてGm7/Dの和音としても、何かしっくりこなかったんですよね。そこで試しにその中間の音程を入れてみたら、異質な感じが妙にフィットしてしまって、それで採用になりました。


#99 エレクトリックヘリテージ

ラス前。大トリの道中曲になるのは前作と一緒ですが、今回は主題が共通なので、予告編的な感じになっています。

主題部(69:51~)ではメロディが1小節ごとに木管の中で受け継がれていて、パッチワーク的なつくりになっています。

99曲も繋げてくると、もう普通のことをやっていても面白みがなくなってしまうので、どうやって新鮮さを出すか、みたいなことに苦心していますね。

最終曲に入る直前(70:34~)にものすごく不協和度の高い和音がやってくる、というのも前作と共通ですが、今回は変な半音階のうねうねが入っていますね。こういうの好き。


次回はいよいよ100曲目!


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