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「幻想郷世界 II」こぼれ話 (17)

続きです。前回はこちら。

第1回から読まれる方はこちら。

※ 記事の特性上、同一動画へのタイムスタンプを用いたリンクが複数貼られます。あらかじめご了承ください。


第5楽章「FINALE」(続)

#93 メイガスナイト / #94 春の氷精

第2部が始まります。
「メイガスナイト」は大好きなので、いろいろとピーキーな作り込みをして、暴れてもらいました。
全体的なイメージの根底として、白鷺ゆっきー氏の「交響的劇伴『霧雨の魔女、魔理沙』」が挙げられます。このアレンジも大好きなんですよ。もっと再生されろ。

さて、冒頭(62:14~)は弦楽器のハーモニクスとコル・レーニョ、それからハープのビスビリャンドと、特殊奏法マシマシで組んでいます。神秘的かつ怪しい雰囲気を出すための工夫ですね。

そのあとは、バルトーク・ピチカートで楔を打ち込みながら、引き続きのコル・レーニョと、木撥のティンパニ、銅鑼のロールで悪魔的なクレッシェンドを演出します。

このへんはいろいろな参考文献を組み合わせています。
背景のハーモニクスは、マーラーの交響曲第1番から。

コル・レーニョは、ベルリオーズの「幻想交響曲」から。

ハープのビスビリャンドは、ホルストの「惑星」より「海王星」から。

そしてコル・レーニョと、木撥のティンパニ、銅鑼のロールの組み合わせは、同じくホルストの「惑星」より「火星」から。

後半は対比的に、オーソドックスなオーケストレーションです。b-mollへの転調後(63:35~)からは「春の氷精」が組み合わさって、お祭りのような賑やかさになります。


#95 憑坐は夢と現の間に ~ Necro-Fantasia / #96 ゴーストリード

「ゆかゆゆ」です。選曲がエキセントリックですが、それしか残っていなかったので仕方ない。
「憑坐は夢と現の間に」は、「ネクロファンタジア」がクリシェ進行にリハーモナイズされてだいぶ昏くなっているので、アレンジもそれに合わせています。

前半部の一度盛り上がる部分(64:21~)は、初期版だと打楽器が大人しかったのですが、

ちょっと物足りなかったので、完成版では小太鼓と大太鼓に煽ってもらっています。

後半部(64:46~)については、過去作の「ネクロファンタジア」のアレンジを再利用しています。ここにさらに、途中(65:09~)から「ゴーストリード」が加わります。


#97 秘匿されたフォーシーズンズ

隠岐奈その1。このあたりは駆け抜ける速度重視という感じで、あまり複雑なことをやらず、単純なオーケストレーションにしています。

冒頭(65:32~)の、低音が全音階的に駆け下りたり駆け上ったりするのは、チャイコフスキーっぽいですよね。

ラストの「秘神マターラ」につながる直前の小節は、偶成和音の混ざり込みで、コード解析すると結構面倒なことになっているのですが(F#m/C# → E#dim → D#dim/F# → E#m/G# → C#aug7/E# → G#7(b9))、ここはうまいこと落とし込むのに苦労しました。
変遷が残っているので、中間ファイルを並べてみます。まずは初期版。

休符がなく、4ビートで流れ込むパターンですね。もうちょい「キメ」が欲しいなあ、というところ。

シンバルが8ビートになってます。さすがにうるさい(笑)

リズムパターンは完成版と同じになりました。ただ、低音が完全に上昇音形なのがストレート過ぎるのと、3拍目の「キメ」の和音がきれいすぎるのがちょっと、という感じ。

これでほぼ完成なのですが、3拍目がC#7/E#になっているのが普通というか、おもしろみがないというか。とにかくそこだけ引っかかってしまったので、G#をAに替えて謎和音を生成したのが、完成版(66:24~)です。


次回は隠岐奈その2から!


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