企業ミュージアムの世界
Virtualionの五十里です。
博物館、美術館といえば「国立〇〇」「〇〇県立」という名前がついていることが多いものです。しかし日本には、自治体以外が運営するミュージアムも多数あります。その一例が「企業ミュージアム」です。トヨタ産業技術記念館や花王ミュージアムが有名です。
私も小学校のときに「カワサキワールド」に行って、とてもワクワクしたのを覚えています。他にも関西だと「カップヌードルミュージアム 大阪池田」や「東映太秦映画村」が有名です(そうです、映画村はミュージアムなんです)。
東京だけでも、企業ミュージアムは92館もあるそうです。なぜたくさん企業ミュージアムがあるのでしょうか? 企業ミュージアムを専門にした研究をされている高柳直弥先生*を参考にすると、その機能は①コミュニケーションの場、②技術・文化的遺産の保全、③観光資源に大別できます。①は社内向け、社外向けとさらに分割可能です。
時系列的に考えると、動機となるのは①と②です。こうしてみると、企業ミュージアムは「企業の物語を発信するために存在する」と言えそうです。物語を蓄積し、届ける媒体として、ミュージアムというツールを利用しているのです。
つい先日ロイヤルホストのパンケーキを「不合格」としたテレビ番組が炎上していました。
テレビ番組に対してのこのような反発は、ロイヤルホストが顧客と持続可能な関係を結んでいることの証拠です。その背後にあるのは、「商品開発や社員教育へのたゆまぬ努力」といった物語を共有しているという事実です。レストランは消費活動を行う場が商品(とその歴史)体験する空間と一致する興味深い例ですね。こうしてみるとレストランは博物館であるともいえるのではないでしょうか??? (いやいや、少々理屈をこねすぎました)。
ともかく、企業が自らと、その市場にまつわる物語を発信することで、顧客(および社員)と単なる「買う、買われる」を超えた、人類の文化を作り上げるパートナーとしての関係を結ぶことができると私は考えています。このような観点を持つことは、持続可能な市場を得る上で不可欠な発想です。
Virtualionは、「だれでもミュージアムが簡単に作れる」ソフトウェアの開発を通して、企業と社会のより良い関係を支援したいと思っています。
*企業博物館・企業ミュージアムの役割と効果及びその可能性 2022.08.09
https://corporatemuseum.tanseisha.co.jp/column/%E4%BC%81%E6%A5%AD%E5%8D%9A%E7%89%A9%E9%A4%A8%E3%83%BB%E4%BC%81%E6%A5%AD%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%BD%B9%E5%89%B2%E3%81%A8%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E5%8F%8A%E3%81%B3/