見出し画像

もういいって。分かったって。

とある動画編集の無料講座があったので、思い立って参加した。

スクール的なものは実にご無沙汰だったので、日が近づいてくるにつれ、面倒くさいなぁ、なんで申し込んだかなぁとブツブツ。
申込時には、8名限定の枠にギリギリ滑り込み、ラッキー!とさえ思っていたのに。

講座の難易度はどんなものだろうか。
不安をよそに、パソコンが並んだ無機質な部屋に通される。
8名は老若男女さまざまだったが、中には動画編集はおろかPCの操作すらおぼつかない人もいる。

20年ほど前、趣味で動画編集をしていたことがある。
当時、それ用に超ハイスペックなPCを持っていて、ソフトもプロ仕様のAdobe Premiereを使っていた。
今回の講座も同じソフトだったから、操作はほぼ分かる。

しかし懸念したとおり、講座の内容は初心者向けだった。
3分ほどの素材が4本与えられ、それらを自由に切り貼りして1分半の動画を作りましょう、というもの。
BGMもフリー素材の中から合うものを自分で選んでね、と。

90分のスクールだったが、20分ほどでできてしまった。
他の受講生は悪戦苦闘し、講師が個別に教えて回っている。
手持ち無沙汰になったので、ここは徹底的に凝ってやろうと、BGMのかぶせ方、テロップの置き方などさまざまに工夫を重ねた。
映像をスムーズに繋ぐ「クロスディゾルブ」と呼ばれる効果も入れた。

クロスディゾルブってこういうの

「はい、手を止めてください」
え? もう? 全集中しているとあっという間だった。
他の受講生も、個人レッスンを受けてどうにか作れたようだ。

「では先生が作ったものを元に、これから解説していきます」
講師の解説をぼんやりと聞いていると、ある言葉に耳が反応した。
「…ディゾルブですが…」
お! 来た来た! 応用編の解説始まったな?
講師の次の言葉を待った。

…クロスディゾルブですが、これ使わないでいいです。
使うと一気に素人の作品みたいになりますから注意してください。
よく披露宴でプロに頼まず、親戚に撮影頼む人がいますが、仕上がったビデオを見るともうコテコテにクロスディゾルブ使ってるんですね。
テレビの番組思い出してください。
ほとんどのカットがただ繋げただけになってるでしょ?
そういうものなんです。
使うと逆にうっとうしい。
どうしても使いたければ、1時間の作品で1回くらいにして…

もういいって。
分かったって。

(2022/9/26記)

チップなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!