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目覚めてみれば全身ぐっしょりと寝汗

昨日の夜は数時間ごとに夢を見ては目が覚めた。
ただひたすら走り続ける妖怪の夢も見た。
どこかの田舎のシンポジウムに登壇者として招かれて、地元の青年とこれからの地方のあり方について語り合う夢も見た。

朝、目覚めてみれば全身ぐっしょりと寝汗。
昨夜横になってから12時間が経っていた。

ゼットンに追いかけられる夢を見て寝汗をかいたのが11/7。
そこから僕はずっと体調がよくないのかもしれない。

***

そういえば、3日ほど毎日悪夢にうなされて、寝汗をかいたことがある。
東京から愛媛に移住したその日からだ。
もう23年も昔のことになる。

愛媛には村おこしプロジェクトの立ち上げメンバーとして移住したため、村から村営住宅をあてがわれた。
かつて鉱夫たちが暮らした鉱山住宅だ。
いかにも何かいわくがありそうな古い住宅だった。

引越の荷物は少なく、2Fの2部屋はがらんどうのようだった。
寝室として日当たりのよい方の部屋をとりあえず選び、ふとんを敷いた。

朝、凄まじいまでの寝汗で起きた。
別に風邪をひいていたわけではない。
寝具も東京で使っていたものだから慣れたものだ。

翌朝、また寝汗をかいた。
何かおかしいなと思った。
思い当たるふしがないからだ。

翌朝、また寝汗をかいた。
さすがにこうなると、その寝室を疑わざるを得なくなった。
夜しか異常は起きず、その部屋は夜しか入らなかったからだ。

日中、徹底的に部屋の掃除をした。
畳をあげて防虫シートを敷き詰め、押入の中も入念に磨き上げた。
そして押入の上の戸袋も綺麗にしようと手を入れたとき、発見した。

お札だった。

瞬時に脳裏にこんな新聞の見出しが踊り、ひぃーっ!と手を引っ込めた。
「愛媛の鉱山で一家惨殺」

戸袋に家を守る神様を祀るという習俗など知らなかった僕は、この部屋で昔恐ろしい事件が起きて、それを鎮めるためのお札と思ったのだ。
と同時に、毎夜原因不明の寝汗に苦しめられた理由も分かった気がした。

戸袋に向かって手を合わせ、一心不乱にナンマイダーと称え続けた。
信心深くない僕はこういう時に読むべきお経というものを持ち合わせておらず、途中からナンミョーホーレンソウーと言っていたかもしれない。

翌朝、寝汗はついにかかなかった。
心のこもったお経のおかげだったか、防虫シートのおかげだったか、今となっては神仏のみぞ知る。

(2022/11/18記)

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