見出し画像

東京駅を起点として589キロ340メートル

一昨日、出張から帰ってきた。
東京から神戸。

神戸駅には、あぁはるばる東京から旅したなと実感できるものがある。
線路脇にたたずむ距離標、通称キロポストだ。
出張帰りに撮影してきた。

画像1

神戸駅のホームから見える場所に設置されているこのキロポストは、神戸駅が東京駅を起点として589キロ340メートルの位置にあり、東海道本線の終点かつ山陽本線の起点であることを語る。
手前の枕木にも左は「東海道」、右は「山陽」と書いてある。
ちなみに山陽本線はここから534キロ400メートル先の門司駅まで続く。

いろんな東海道、両端を挙げてみるとこんなことになる。

・律令以来の旧東海道は畿内(近畿)から常陸国(現・茨城県)まで
・江戸時代の東海道は江戸(日本橋)から京(三条大橋)まで
・新東海道ともいうべき国道1号は東京(日本橋)から大阪(梅田)まで
・鉄道(在来線)の東海道は東京から神戸まで
・東海道新幹線は東京から大阪(新大阪)まで

後にできた新幹線に引きずられ、在来線の東海道本線も大阪までと思っている人が多いようだが、実は神戸までなのだ。
昭和初期を代表するSLの超特急〈燕〉も東京―神戸を9時間で結んだ。

日本初の鉄道と誉れも高い新橋(現・汐留)―横浜(現・桜木町)に遅れること2年、明治7年に神戸駅は誕生し、大阪との間で運転を開始した。
今の駅舎は、壁材はリニューアルで現代のものに変わっているが、造りは昭和5年築の駅舎のままで、コンコースはこんなに風格がある。

画像2(©東灘ジャーナル)

終着駅ということで、天皇、皇后、皇太子夫妻しか使うことのできない貴賓室もあったが、今は玉座が撤去され、飲食店の一部になっている。

画像5(©神戸新聞)

そのまま残す方法はなかったのかと残念に思うが、床やシャンデリア、大理石の暖炉などはそのまま残っていて、そこだけ明らかに雰囲気が違う。
この貴賓室跡を指定して予約する客も多いというから、まぁいっか。

画像4

長い時を経て神戸駅は、神戸の玄関口の座を三ノ宮駅に譲り、すっかりひっそり…のはずだったが、近くの〈神戸アンパンマンこどもミュージアム〉の玄関口として近年再び賑わっている。

でもこのレトロな駅舎をたっぷり見た後で目を静かに閉じると、アンパンマン! ばいきんまん! と叫ぶ子供たちの喧噪でさえも、明治の雑踏に聞こえてくるから不思議だ。

(2021/7/6記)

サポートなどいただけるとは思っていませんが、万一したくてたまらなくなった場合は遠慮なさらずぜひどうぞ!