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鼻の痛みは増したようにも思えた

このところ、鼻が痛い。
正確には左の鼻の辺り一帯。
洟をかんだり顔を洗ったりして手が当たるとえらく痛む。

で、耳鼻科に行った。
朝イチ! 誰もいない! 失業者の特権! やっほい!
と息せき切って駆け込み、初診ですと受付で告げたら、
――すみません、先生が体調崩して1週間お休みなんです。
予想外の答えにうろたえ、外に出る。

うへぇ。
開業医をウイルスが直撃するとはこういうことか。
ニュースでよく見る、病床が足りないとか医療従事者の欠勤が相次いでという中継映像はたいてい大きな病院で、それも本当に大変そうだなと思って見ていたが、一人でやっている開業医だとそんな実情を訴えることもできず、ただ閉めるしかない。
僕みたいな新患だけでなく、日々そこに通っていた患者さえも診ることができないというのは、町医者としての心中、察するにあまりある。

といって僕の鼻の痛みが行儀よく状況を飲み込んで収まるわけではない。
むしろ1週間は事態が好転しない、あるいは悪化する可能性もあると分かると、鼻の痛みは増したようにも思えた。
しかし、近くの耳鼻科はここしかないから、我慢するしかない。
そう説明すると鼻は、1週間ならなんとかがんばると苦しい表情を浮かべながらも頷いてくれた。

こうなったらうまいものを食べるしかない。

冷蔵庫にアルゼンチン赤エビがあった。
正月になるとやたらスーパーの鮮魚コーナーに並び、ズワイガニと赤さ競べのエビカニ合戦を繰り広げる例のエビだ。

なにせ安い。
エビといえば大正エビ、車エビ、というのは今は昔の話になり、すっかりタイガー、バナメイに置き換わってしまったが、結構高い。
それに比べると、アルゼンチン赤エビのなんと安いことか。
にもかかわらず、甘エビのように生食にしてよし、車エビのように焼いてよし、煮てよし、揚げてよし、という万能選手なのだ。

よし、せっかくだから刺身で食べよう!
そう思ってパッケージを見ると「半額」のシール。
泣く泣く生食をあきらめ、串を打ってグリルで焼いた。

しっとりザクザクの身が、焦げた殻の香ばしさをまとって…
うーん、うまいぃぃ。

2割引きの豚で作った八宝菜とともに、安上がりの夕食。

(2023/1/18記)

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