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墓場までちゃんと持っていくとしよう

親が昔8ミリフィルムに撮りためた、生後間もなくや小学生の頃の運動会の様子を、DVDに焼いてくれた。
映像の劣化は激しく、まるで戦前の記録映画を見ているかのようだが、まぎれもない自分がそこに映っていて、しばし時間を忘れて見入った。

昔は、個人の動画記録は8ミリフィルムが定番だった。
BDやらDVD、VHSなんかよりうんともっと前の話だ。

中学の総合学習の時間に8ミリフィルムでクレイアニメを制作した。
クレイアニメとは、「ピングー」に代表されるような、粘土を少しずつ変形・移動させてコマ撮りして作るアニメだ。
わずか3秒の静止シーンを作る場合でも、18コマで1秒なので54回もシャッターをカチカチせねばならない。

しかも、いつでも撮影内容を確認できるビデオと違って、すべて撮り終えて写真屋で現像しなければ確認ができないから、NGの部分は後で撮り直して、フィルムをハサミで切って繋ぐ。
半年かけてようやく完成し、文化祭で上映して好評を博したが、作品は美術教室に置いたまま卒業し、手元にないのが残念でならない。

幼少期の貴重な映像を残してくれた親には、ただただ感謝しかない。
上映しても見入ってくれる観客は自分一人だけだけど、これは決して美術教室に置き去りなんかせず、墓場までちゃんと持っていくとしよう。

(2019/1/24記)

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