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【声劇台本】クッキーの行方

【クッキーの行方】(くっきーのゆくえ)

【キャプション】
――盛大な両片思い
この想いがいつか届くのか、すれ違い続けるのかはまた未来に…

【詳細】
女2【0:2:0】 #女子サシ #女2 #♀2 #両片思い #GL #百合
性別変更不可/演者選別変更可
※男性キャストが女性として演じる、女性castが男性として演じることは可
上演時間▶10分程度

【ご確認ください】
■一人称変更、語尾のアレンジ、方言:〇
■人数変更:×
■性別変更:〇
■身内ネタ、過度なアドリブ:×
■内容改変、重要な改変:×
■初心者:〇
■その他
>>茶化したり、面白おかしくもてあそぶような行為はお辞め下さい。
>>また、誹謗中傷などはご遠慮ください。
・商用利用は不可。投げ銭のあるアプリ使用可。
※ご使用の際Twitterのメンションなどでお知らせいただけると嬉しく思います(*´ω`)拝聴できる場合は聞きに行きます。

【登場人物】
◆千葉 恵美(チバ エミ)
中学2年生
◇保田 菜々(ヤスダ ナナ)
中学2年生

(M)はモノローグです。

【配役表】
恵美:
菜々:

===============『クッキーの行方』

<<とある日の朝、いつものように二人は家を出る>>

恵美:「行って来ます」
菜々:「行って来まぁ・・・あ!恵美ちゃん!おはよう!」
恵美:「菜々、おはよう。最近朝早いのね」
菜々:「だって早く起きないと、恵美ちゃんが先に行っちゃうんだもん!」(ハグ)
恵美:「もう、私たち中学生なんだから、いつまでも朝からハグはないでしょ…」
菜々:「小学生でも中学生でも変わらないのになぁ(唇を尖らせながらもしぶしぶ離れる)」
恵美:「さすがに中学生で毎朝ハグしてたら恥ずかしいでしょ?道路でハグなんかしてたらご近所さんにもみられるんだし、幼稚園児なら『ほほえましいわねぇ』で済むけどさ。」
菜々:「もう何年も同じことしてるのに恥ずかしいの?幼稚園時代から私たちが仲良い事はこの辺の人、みぃんな知ってるよ?」
恵美:「そういうことじゃないの!…同級生に見られたらどうするのよ」
菜々:「(呟く)別に…見られても私は構わないのに」
恵美:「ん?」
菜々:「なんでもないよ!」

菜々:(M)私は慌てて胸の前でぶんぶんと手を振って否定すると、恵美ちゃんの持っているサブバックをみてとっさに話題を変えた。

菜々:「ねぇねぇ、恵美ちゃんのクラス、今日は調理実習でしょう?」
恵美:「そうなのよ。今日はクッキーを作るの。」
菜々:「いいなぁ」
恵美:「そっちのクラスも先週、なんか作ってたでしょ?」
菜々:「クレープ作ったよ!なんか失敗してホットケーキみたいになっちゃったけどね…」
恵美:「どうやったらクレープがホットケーキになんの?」
菜々:「皐月(さつき)ちゃんがタネいれすぎたんだからしょうがないじゃん。なんか分厚くなっちゃって、トッピングがうまく巻けなかったんだぁ」
恵美:「神田さんのせいにしないの」
菜々:「でも、タネいれたの菜々じゃないもん」
恵美:「(小さいため息)でも、菜々は味見係でしょ?」
菜々:「ち、ちがうよ…デコレーション係だもん…」
恵美:「それで、『うまく巻けなかった』と…大変だったのね」
菜々:「ねぇ、恵美ちゃんのクッキー、誰にあげるの?」
恵美:「何?菜々も欲しいの?」
菜々:「“も”?他にも誰かにあげちゃうの!?」
恵美:「あげちゃうっていうか、クラスの子たちと交換する約束してるから」
菜々:「恵美ちゃんのクッキー、私が全部欲しかったのになぁ」
恵美:「仕方ないでしょ、先に約束したほうが優先」
菜々:「うぅ…そうかもだけどさぁ」
恵美:「はいはい、菜々の分も用意してあげるから」

恵美:(M)菜々から時々向けられるジェラシーが、幼馴染が故の独占欲なのか、はたまた私の抱く感情と同じ気持ちなのか、
恵美:まだ私には諮れなくて(はかれなくて)苦笑いを向けてしまった。

恵美:「菜々の分だって用意してるのに、わかってないなぁ…」

【間】

<<ホームルームの終わった菜々が昇降口に走ってくる>> 
菜々:「あー!恵美ちゃん!待っててくれたの?!」
恵美:「仕方ないでしょ。菜々がクッキー欲しいって言ったんだから…はい、コレ」
菜々:「ありがとう!嬉しい!大事にするね」
恵美:「こないだみたいに大事にしまい込まないでさっさと食べなさいよ?湿気っちゃうじゃない」
菜々:「うう…わかってるよぅ…」
恵美:「おばさんとかにもよかったらあげてよ」
菜々:「んん?え…あ……うん」
恵美:「大事にしまい込むか、一人で食べるかなんだから、もぅ」
菜々:「だって、恵美ちゃんから貰ったクッキーは、大事だもん」
恵美:「なくなったらまたつくってあげるから」
菜々:「ほんと?」
恵美:「なんなら今度菜々の家で一緒に作りましょうよ。そしたらおばさんにも食べてもらえるし、菜々もお菓子作るのうまくなるよ?」
菜々:「私が不器用なの知ってるくせに」
恵美:「菜々は落ち着いてやればなんでもうまくできるよ」
菜々:「そんなこと言ってくれるのは恵美ちゃんだけだよ。いっつも私、どんくさいって言われるから」
恵美:「おっとりした菜々に嫉妬してんのよ。言わせておいてあげなよ」

菜々:「ねぇ、恵美ちゃん…」
恵美:「どうしたの、菜々?早く帰ろうよ?」
菜々:「恵美ちゃんはさ、好きな人とか、いる?」
恵美:「……いるよ?」
菜々:「っ……へぇ…そっか。いるんだ」
恵美:「うん、すごくかわいい子。」
菜々:「すっごく、可愛い子……」
恵美:「なんでそんなこと聞くの?」
菜々:「ううん。なんでもないよ」
恵美:「……その子ね、いつも穏やかで、優しくて、でも時々頑固で、なんだかんだと放っておけないんだ…」
菜々:「… そうなんだ……そっか…」
恵美:「菜々?」
菜々:「ご、ごめんね、変な事聞いて!早く帰ろっか!!」

菜々:(M)好きな人が、いると言われればよかったのか、いないと言われればよかったのか、動揺した私にはわからなかった。
菜々:けれど、恵美ちゃんにばれないように…振り切るように歩き出した。

恵美:「(呟く)ねぇ、早く気付いてよ、私の気持ちに…」

<<お読みいただきありがとうございました。>>
mayu's_story (2020.05.26作成)(2021.2.4 編集)(2023.5.16再編集)

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