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フリーランスエンジニアへの道 | 未経験者が知っておくべき実情と生き残るための最低限の要素【コラム】

エンジニアとしてのキャリアを考える中で、フリーランスという選択肢が気になっていませんか?そのようなフリーランスエンジニア未経験な方のために、その実情や転身する前に知っておきたいポイントを解説します。

1.フリーランスエンジニアの実情は?

2024年の下半期は、転職市場の中では「売り手市場」という評価です。
エンジニアの需要が、DX推進に必要なデジタル人材確保の目的や、企業における人手不足の影響により上昇しています。

他方で、クラウドソーシングサービスの拡大、家庭の事情など多様な理由でフリーランスを選択する方も年々増加しています。

スキルアップ研究所のアンケート調査によるフリーランス転身後の生活の変化について、調査結果として下記のような興味深い回答が出ています。

〇調査回答サマリーの一部
・生活水準が「変わらない」「悪化した」が過半数
・収入の多様化や貯金で不安定な収入のリスクを講じている
9割以上がフリーランスへの転身に満足している

参考1:スキルアップ研究所 | フリーランス転身後の生活の変化に関する実態調査

生活水準に関しては、「変わらない」「悪化した」と感じる人が過半数を占めており、フリーランスになることで直面する収入の不安定さが課題となっています。

しかし、収入の多様化や貯金を通じて、このリスクに対処している人が多いこともわかります。つまり、フリーランスエンジニアとして成功するためには、経済的なリスク管理が重要であると言えます。

他方で、異なる企業の調査データでは少し違った回答が見受けられます。
Relanceによるインターネット調査では、先述のアンケート調査とは少し違った回答が出ていました。興味深い調査結果とともに合わせて紹介します。

〇調査回答サマリーの一部
・フリーランスエンジニアの平均年商(収入)は約632万円
・フリーランスエンジニアになって59.5%の方が収入が上がっている
・今後の働き方として、約32.7%の方が専業フリーランスのまま働きたい、
 40.1%の方が直近もしくは将来的に正社員を希望している

参考2:relance.jp |【2024年版】フリーランスエンジニア白書1000人に聞いた!フリーランスエンジニアの実態調査-2024年3月-

スキルアップ研究所の調査では、フリーランスエンジニアの多くが生活水準の「変わらない」または「悪化した」と回答。一方、Relanceの調査では、フリーランスエンジニアの平均年商が約632万円に達し、59.5%が収入が上がったとしています。

この違いは、調査対象や方法、地域や業種の違いに起因する可能性が考えられます。収入の上昇は必ずしも生活水準の向上を意味せず、経済的不安定さや支出の増加が影響を与えることも考えられるでしょう。

次に、満足度に関する違いです。スキルアップ研究所では、9割以上のフリーランスエンジニアが転身に満足していると回答していますが、Relanceの調査では、32.7%が専業フリーランスを継続したいと答え、40.1%が将来的に正社員を希望しています。

フリーランスとしての満足度が高くても、社会的な安定性や福利厚生を求め、将来的には正社員としての安定したポジションを望む方も多いようです。

2.フリーランスが増えた背景には何が?

出展1:ランサーズ株式会社 |「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」

ランサーズ株式会社のフリーランス実態調査では、2021年1月のコロナ拡大後からリモートワークの進展とともにフリーランスの人口が増加しています。

他方で、総務省統計局 | 令和4年就業構造基本調査による2022年時点のフリーランスの数は、本業フリーランスの数が209万人(有業者に占める割合は3.1%)と報告しています。フリーランスが増加した要因には主に下記の理由が挙げられます。

(1) ワークライフバランスの重視
自分のライフスタイルに合わせて働くことを重視する人が増えており、フリーランスとしての働き方が注目されています。特に家庭の事情や個人的な趣味、他のビジネス活動との両立を希望する人にとって、フリーランスは魅力的な選択肢となっています。

(2) 企業の副業解禁の影響

副業がある者の数の推移(2007ー2022年)|出展:総務省統計局
出典2:総務省統計局 | 令和4年就業構造基本調査

2018年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を初めて公表しました。このガイドラインでは、副業・兼業が働く人々のスキルアップやキャリア形成に寄与することが強調されています。

このガイドラインの発表を期に、多くの企業が副業を解禁し、副業を始めた方が上記の画像のとおり2017年から2022年にかけて増加しました。副業での成功をバネにして専業のフリーランスとして働き始める方もいます。

(3) フリーランス向けサービスの充実
リモートワークの普及とともに副業・フリーランス向けエージェントやクラウドソーシングサイトの認知度が高まりました。これをきっかけに、サービス利用者の増加、サービス内容の充実がフリーランス転向に寄与していると考えられます。

これらの要因により、フリーランスエンジニアの増加が進んでいます。

3.フリーランスエンジニアとして生き残るための最低限の要素

フリーランスエンジニアとして働くことは、自由なライフスタイルと高い収入を求めるエンジニアにとって魅力的な選択肢です。しかし、自由と引き換えに得られるものと失うものがあります。次は、フリーランスエンジニアになる前に、長く続けていく上で必要な要素を紹介します。

(1) 自己評価と適性の確認
フリーランスエンジニアになるためには、自己評価が重要です。自分のスキル、性格、ワークスタイルを客観的に見つめ、フリーランスとしての適性を確認すること。

■自己評価のための質問例
・「自分は自己管理ができる方か?」
・「常に新しい技術を取り入れるべく勉強し続ける姿勢があるか?」
・「プロジェクトごとに柔軟に対応できるか?」
・「クライアントとのコミュニケーションが得意か?」
・「不安定収入に対し、資産運用プランの計画をたてられるか?」
など

(2) 自己ブランディングとマーケティング
自分のスキルや経験を効果的にアピールするために、自己ブランディングが重要です。ポートフォリオサイト(個人のWeb サイト、Qiita、LinkedInなど)やSNSを活用して、自分のプロジェクトや実績を公開し、クライアントに対して実力や信頼性を示すことが求められます。

(3) ネットワーキングとコミュニケーションスキル
フリーランスエンジニアは、クライアントや他のフリーランスと協力することが多いため、ネットワーキングスキルとコミュニケーションスキルが重要です。業界イベントやオンラインコミュニティに参加し、関係を築くことで、プロジェクトの機会や情報交換できる仲間を広げることができます。

フリーランスエンジニアとしての道が自分に向いているかどうかのひとつの判断材料として、これらのポイントを参考にしてみて下さい。

まとめ

2024年の転職市場はエンジニアの「売り手市場」となっており、デジタル人材の需要が増加しています。クラウドソーシングの拡大や個人的な理由でフリーランスを選ぶ人も増えており、収入の多様化と経済的リスク管理が重要です。

■生き残るための最低限の要素
・自分のスキルや性格、ワークスタイルを客観的に見つめること。
・ポートフォリオサイトやSNSを活用して実績をアピールすること。
・業界イベントやオンラインコミュニティで関係を築くこと。

フリーランスとしての道は、短距離走ではなくマラソンです。短期的に収入を増やせ成功できるものではなく、長期的な険しい道のりであらゆる面での努力が必要です。






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