女遊びは芸の肥やしか

先日とある大物芸能人がコカイン所持で逮捕された。それを受け舛添要一のツイッターが話題になっていたので勝手に紹介したい。

品行方正な芸人に魅力はない。ピエール瀧、新井浩文、勝新太郎。芸人はマージナルマンである。だから、常人に不可能な創造ができる。面白くもないエンタメは定義矛盾だ。品行方正でもやぶな医者は要らない。芸人も同じ。道徳が支配する国に芸術や文化は育たない。勿論犯罪を称賛しているのではない。

— 舛添要一 (@MasuzoeYoichi) March 13, 2019

これについて様々な意見が飛び出していた。

アホか！

その通り！

誰々はこう言ってる・・・

通報します

など、その議論自体が白熱するエンターテイメントになりうる題材なわけだが、そこから派生して「女遊びは芸の肥やしかどうか」という議論が展開していた。

今回はそのことについて考えてみたい。舛添要一のツイッターを肯定するわけでもないし、否定するわけでもない。あくまでも「女遊びは芸の肥やし」について考えてみるだけです。

さて「女遊びは芸の肥やし」を言い換えてみると、

「セックスをすると面白い人間になれる」という意味になる。

こうなると、そんなわけないよね！と、怒る人間が必ずいる。やりまくってるくだらない人間だっているはずだし、童貞の面白人間もたくさんいるはずなのだ。

しかし、セックスをさらに言い換えてみるとどうだろう。

セックスとは一人では絶対にできない行為である。私ぐらいのレベルになると一人でセックスができるようになるのだが、それはセックスの捉え方の問題の話になるで、ここでは語らない。一般的にセックスは複数人で行うものだ。つまり、常に相手の反応を感じながら進行する。つまり漫才やコント、演劇や音楽などに等しく、オーディエンスを盛り上げることが課せられているライブであると言えないだろうか。

ここに人間が面白くなる要素がある。

先にも述べたが、もちろん童貞でも面白いものはたくさん作れる。童貞が長ければ長いほど、面白い人間になれるという人もいる。またそれはそれで改めて解題すべきことではあるが、少なくとも誰かを喜ばすということが自分の喜びに還元できる人間にとっては、セックスは学びの場になりうるのではないだろうか。

さて、さらに「女遊びは芸の肥やし」を「不道徳、不倫理、失敗、悪癖、貧乏でも生きる術がある」と無理やり言い換えてみる。

ここで「士農工商」を取り出す。誰もが知ってる武家時代の階級観念だ。

なぜ、商人や職人よりも農民の方が上なのか？という疑問を小学生の頃先生にぶつけたところ

「農民たちに、商人や職人達より自分たちの方が位が上なんだ！と自覚させやる気を出させるためなんだよ、ウンコさん」

と、言われたことがある（ちなみにウンコさんは小学生の時のあだ名だ）。

この真意については調べてないので、先生が言っていた程度のことで留めておきたいのだが、農民が辛い過酷な生活を強いられていたことの裏返しであるというこの説は妙に納得できるのだ。

「世の中金じゃない！」と言いながらやりがい搾取される底辺クリエイターの自分と全く同じだ。

金はないが、発想力がある！

人脈はないが、一人でやれる技術がある！

農民だし貧乏だし年貢の締め付けきついけど、職人や商人より上やで！

こうやって上手く生きることのできないならず者達は（農民がならず者かはさておき）、自己を奮い立たせる言葉や考え方が必要であり、実際は、金も人脈もない自分に直面する辛さを、生きるために必死でごまかしている。

これと同じく「女遊びは芸の肥やし」もまた、女癖が悪い人間達に与えられた生きるためのお為ごかしであるとは言えまいか。

そもそも芸人というのは（出た！そもそも論）、上手く生きられない人間に与えられたセーフティーネットだ。与太者達の集いである。そんな彼らに「上手に生きろ」というは、豚に木に登れ！猪木にしゃくれるな！toshiにバリトンボイスを響かせろ！と言うのと同じぐらい愚かしいことで、そもそも上手く生きられないのだ。つまり彼らに「上手く生きろ」というのはすなわち「面白いことをしろ！」というのに他ならず、薬も女もやめられるのならそもそも上手に生きている。

そんな彼らから「女遊びは芸の肥やし」を＜時代が違う＞と言う卑怯さで取り上げてしまっていいのだろうか。

品行方正な人間で、面白いことをやれる人間はたくさんいるというロジックで、それ以外を死に追い詰めていいのだろうか？繰り返すが、品行方正でない自分を必死で肯定するために芸事にのめり込むその情熱やモチベーションをとりあげていいのか。

小人プロレスが差別だと廃止され、小人に輝く場所を与えないように、ちょっとしたことで（程度の差はあるが）異口同音必要以上に見誤った者たちを攻撃していいのだろうか。

さて、いつものようにちょっとした言いがかりになってきたのでそろそろやめますが最後に。

超一流芸人の立川談志も上岡龍太郎も桂文枝も「女遊びは芸の肥やし」を否定している。そんなわけないという。彼らが言うならそんなわけないに決まっている。でも、彼らは弱さと戦ってきた勇者である。彼らは絶対にもてる。だからこそ、その言葉に威力を持つ。もてて、頑張って断って、時に誘惑に乗り失敗してきたからこそ、自分に対して厳しいまなざしを持っている。なによりすごい芸があるからこそ、その言葉が光り輝くのだ！！！

・・・いや知らないよ。知らないけれど、モテない人間が「女遊びは芸の肥やしだとかまじふざけるな」って言っても、ほんならあんた美女が裸で抱いてくれって言ってきたら断れるのか？って思いません？