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フランスでダウンロード形式のプログラムが広がっている件

コンサートに行くもう一つの楽しみは、プログラムかもしれません。その日に聴いた演奏家や音楽の思い出をあとあとまで残しておくには絶好のアイテム。感想を記して、あとで思い返すのも良いでしょう。

ところが、コロナ禍以降、この習慣が変わってきています。フランスでは、小さなコンサートでプログラムがないことは時々ありました。しかし最近は、大きな劇場でもプログラムを印刷しない場合が増えています。

シャンゼリゼ劇場、シャルパンティエの『メデ』配役表

上はシャンゼリゼ劇場での、コンサート形式のオペラのプログラム。同劇場では、複数回にわたって公演されるオペラやバレエなどは、今まで通り、ある程度厚みのある冊子を販売していますが、ワンショットのコンサートや、コンサート形式のオペラは、QRコードで読み取ってダウンロードするという方式に切り替えています。

オペラ・コミック劇場では、再演の場合、以前印刷したプログラムの元版の、出演者のページだけを差し替えたものを、やはりQRコードで読み取れるようにしています。下は最近上演された『町人貴族』の「プログラム」です。QRコードの上に2020年のプログラムであることが記載されています。

オペラ・コミック劇場、モリエール&リュリ『町人貴族』配役表

演目や曲名と出演者を記したこのような一枚ものの配役表は、プログラムを買わない人のために、ずっと以前からあります。劇場によって、ホールの各入口のそばに置いてあって自分で取ったり、席に着くときに案内係りからもらったりします。最近はそこにQRコードが記載されているのです。

コロナ禍に続いて、ウクライナでの戦争によるエネルギーや物質の高騰で、支出を大幅に制限しなければならない状況を受けての策であると同時に、最近とくに注目されているエコロジーの視点からのアプローチでもあります。紙やインクの使用を抑えて二酸化炭素排出量を制限しようというアプローチです。

今後はおそらく、この方式がさらに広がると考えられます。

トップ写真 シャンゼリゼ劇場 © Théâtre des Champs-Elysées

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