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グーニーズのような休日

https://kinro.ntv.co.jp/lineup/20210611
より画像引用


いつも入っていた土日のバイトが政府の休業要請によりめっきり無くなってしまった。
インドアな性格も相まってずっと自宅でスマホやテレビだけの生活を送っていると、ふと鏡に映った自分の顔つきが幼くなっている。
それは何も危険に晒されず家と親に守られすぎた人間の顔つきだった。 

違和感のあるその顔を気持ち悪く感じて調べてみると、やはり陽の光を浴びないのは良くない様で抑揚のない生活スタイルがそのまま顔に出ていた。

余談だが一人暮らしを始めた友人が異性からモテ始めていた。それも自立して生きてるという強い精神が顔やオーラに出てるのだと思う。



そんなわけで今日散歩をした。

愉快な散歩だった。ほぼ旅。

家を出て目的もないまま「大豆田とわ子と三人の元夫」のサントラをイヤホンで聴きながら隣の住宅街の方を歩いて行く。
道行く車や通行人に見られてる意識を持つだけでも顔つきは変わるかなと思っているとすぐに目的が見つかった。

「引っ越す前に住んでた家を見に行こう」

4歳まで住んでた家がこの辺なので古い記憶をたどりながら探してみたが、なかなか見つからなかった。
ボロ家だったからリフォームされたと思うと切なくなったと同時に目的がなくなってしまったのでそのまま隣の住宅街の方まで歩いてみる。
家から数百メートルしか離れてないのに自分の住んでない場所から目に入る景色はどれも新鮮で旅に出ているようだった。


庭や建物の造りがエキゾチックな様式の家、原宿のパンケーキ屋を彷彿とさせるビビッドカラーの家、バスケのゴールネットがそのまま家の外壁に取り付けられた家。
自宅から10分歩くだけでこんな風景が観られるのかと感動。さらに「大豆田とわ子」のサントラがどの風景にもマッチして、ますます散歩が楽しくなってきた。
去年、東京旅行で行った三鷹市の静かで小洒落た雰囲気に似ていると感じたので自分は今、三鷹に来たのだと思い込みながらしばらく歩いてみた。

晴天の下、時折BBQの香りが漂う住宅街を歩いて行くと公園に差し掛かり子供達のはしゃぐ声が聞こえた。
それと同時に電柱の上のカラスも声を荒げていたが気にせず通りすがろうとした瞬間、ふと後ろを振り返ると先程のカラスが羽を広げながらもう自分の背中の手前まで迫っていた。
目が合った、逃げなきゃ。
幸いすぐ飛んでいったが子供達に滑稽な姿を見せてしまった。優雅な休日にお洒落な散歩をしているつもりだったのに。
この出来事をメモしている間もまだ心臓はドクドクと高鳴り続けていた。何故襲われた?他の住宅街からの侵入者とでも思われたのか。

後にニュースで知ったが今の時期は雛を守るためカラスは攻撃的になるらしい。

それにしてもアドレナリンが収まらない。だが久しぶりにこんな恐怖体験を味わった。これはこれで悪くない。
たとえ絶叫系のアトラクションに乗ったり、ホラー映画を見たとしても、ここまで交感神経に訴えなかったはずだ。本気で命の危険を感じたのだから。
ちょっとは顔つきもマシになっただろう。
でも近くでカラスが鳴くたび、「俺をマーキングしているのか」とずっと不安な気持ちになってはいた。

一時間程、散歩を楽しんだので家路につく間、昨日金曜ロードショーで見た映画「グーニーズ」のことを思い出していた。
「グーニーズ」は少年達が悪党や危険をすり抜けて財宝を探し出す王道の冒険映画だ。自分はこの映画を見ている時、冒険している少年達が羨ましかった。
こんな刺激的な冒険をしたいと心から思った。だが少年と言える歳じゃない。冒険は諦めていた自分だったが、隣の住宅街を歩いたりカラスに追われるだけで、あっという間に冒険心を宿すことができた。財宝は特に無いが、この記事が書けただけでも良い報酬だ。

自宅に到着。1時間半程の散歩だったが新しい趣味を見つけることができたし、いつか旅行に行きたい気持ちも生まれた。大成功の休日にできた。

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