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人間に偉いもクソもない

「〜できてえらいね」「〜でえらいね」「〜しないとえらい子になれないよ」
昔から違和感を感じる言い方だった。
えらいことが全て。
良いことをすればえらくなれて、悪いことをすればえらくない。
どう頑張っても理解できなかった。



人類みんなバカでクズで最低で汚い



テスト前の風景。
「あー俺バカだからさ、これとか分かんねえわ」
「お前は良いよな頭良くて」

だから何なんだよ。

将来的に考えてみた時。
同じ学年の数百人いる中で、東京大学に受かる人間が何人居る?
ハーバードは?
マサチューセッツ工科大は?

片手で数えるほどいれば良い方。
1人も居ない可能性だって決してゼロじゃない。寧ろその可能性の方が高い。
それなのに「バカ」かそうじゃないかで争うのか?

東大に受かった人間が仮に10人居たとして(絶対あり得ないけど)、その中で本当に充実した生活を送れるのは何人?

「この人がいないと人類は生きていけなかった」
そんな風に言われる人間は居るのか?

この世界にある全ての文化、歴史、言語、全て諸々ひっくるめて10だとして、その中の1を完璧に知り尽くしている人間が世界に何人いる?
1人いれば良い方。
多分今までの人類史で、1人居るか居ないか。

きっとそんな所だろ。

だからつまり、人間は揃いも揃ってバカしかいない。
全員アホでクズでケチで最低で、どんなに綺麗事を並べ上げたとして結局は全員汚れ塗れで気色悪い。

その辺のカマキリとかに聞いてみたら良いんだ。
「生きる意味って何だ」

「繁殖と食事かな」
彼らにはその2種類しかすることがない。
愛のあるセックスも、美味しい料理の食べ比べも、心洗われる音楽も、別世界の旅立ちである文学も、遠くの誰かと繋がるインターネットも、そんなものはどこにも存在していない。
彼らには決して相容れない、丁度ねじれの位置にある直線でしかない。

そんなたかが直線に振り回されているのは、誰でもない僕達人間だ。


どいつもこいつも、そして何より自分も、揃いも揃ってバカしかいない。
たかが100年前後の人生に振り回される。
たかが2人しかいない親に振り回される。
たかが9年間の義務教育に振り回される。

ただ同い年の人間が集められただけなのに。
その何の意味もなさない集約的な輪に入れないと言うだけで涙が溢れ、自尊心を無くし、己を肯定する事を忘れる。

理由もなく死にたいと願い、この家庭に産まれたことを心から嘆き、自傷行為と自慰に逃げるしかない。

何が楽しくて生きてるんだ。

自分の馬鹿さ加減にも虫唾が走る。
僕が「生きる意味を」とか言ってる間に、地球のどこかでは意味もなく殺されて死んでいく人達が確かに居る。
「愛されたい」と嘆く間にも、誰にも愛されず己を忘れ、他人を傷つけ暴走する子供たちも居る。

自分の幸福加減を次第に見失い、不幸だったか幸福だったかもやがて忘れ、「自分なんか」と咽び泣きながら生きていく。

何度も首吊りと服薬に手を出しながら、確実に死ねるはずの飛び降りや入水には手を出さない。
なんて意気地なしで卑怯なんだ。

人生で唯一、死ぬほど愛して死ぬほど恨んだ彼女に。
言われた言葉が蘇る。

「あんたに誰も期待してないし生きてる価値なんかない」

もういっそ殺してくれ。


結局、この小さな世界で何かを求めて足掻いても無駄足に過ぎない。
毎日毎日、小さな蟻1匹の働きにすら及ばない、生産性なんかこれっぽっちもない人生に蓋をして、どうにかこうにか隠しながら生きていくしか残されていない。

それでもなお生きていたいと願うのは、備え付けの本能か、はたまた醜く歪められた嘆きか。

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