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J2第24節 ジュビロ磐田戦 プレビュー

中断明け初戦の相手は2位ジュビロ磐田。
3週間ぶりの一戦は絶対に負けられない一戦となる。
連勝を伸ばし、勝ち点差5で追いかける昇格圏磐田との差を縮めたい。

1.前回対戦

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第18節にアウェイのヤマハスタジアムで行われた一戦は開始早々メンデスの退場により、数値不利となった甲府が完封負けを喫した。
試合内容については以下のレビューをご覧ください。

2.対戦成績

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今シーズンの対戦を含めて22度の対戦を経てきた。
甲府から見て2勝8分12敗と半数以上で負けを喫している苦手な相手となる。

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ホームでは1勝5分3敗と負け越してはいるものの、アウェイほど悪い成績とはなっていない。

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ここ10試合で見ると4分6敗と1度も勝利を挙げていない。
最後の勝利も2013年まで遡る。

3.前節

甲府

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中断明け前の一戦は栃木相手に苦しい試合となったが、前半立ち上がりの得点を守りきり白星を挙げた。
試合内容は以下のレビューをご覧ください。

磐田

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12試合負けなしの磐田に対し、9試合負けなしで5連勝中の山形の一戦。
磐田は前節山口戦からスタメンを一人変更。
中川に代えて小川大貴を起用した。
立ち上がりにいきなり試合が動く。
中原が右サイドを抜け出し、クロスを上げると林が合わせ30秒経たずに先制に成功する。
得点が入って以降は山形がテンポ良くボールを動かすのに対し、磐田はボールを奪い取れない。
一方でボールを保持すると遠藤を中心に山形のプレスを回避し、前進を図っていく。
11分には山本康裕がミドルシュートを放つが、ポストに阻まれる。
個の力でチャンスは作ったが、その後も山形のハイテンポなボールの動かしに後手を踏む時間が続く。
山形のプレスを回避するとスピードアップしてゴール前までボールを運べることはあるが、決定的な形まで作れない。
30分過ぎになると山形がペースを落とし、自陣でブロックを敷いて守る時間を増やす。
それにより磐田が山形ゴールに迫っていくが、山形守備陣の集中力は高くシュートが枠に飛ばない。
37分には山形に追加点が入る。
GKからの繋ぎで磐田の中盤から前の選手を食いつかせるとボランチの脇を使い前進する。
サイドへボールを運ぶと林のポストプレーを起点に右サイド裏を崩し、中原が内に切り込み左足を振り抜き2点目を奪う。
磐田はサイドを起点にした攻撃で山形ゴールに迫る形を増やしていくが、得点は挙げられず前半を終える。
後半は立ち上がりから共にペナルティエリアまで侵入していく形を作る。
すると53分に磐田が1点を返す。
山本康裕が左サイドからクロスを上げ、大津がシュートを放つとビクトルが防いだこぼれ球にルキアンが詰める。
60分にはルキアンがセンターサークル付近からロングシュートを放つが、惜しくも枠を外れる。
得点を機に磐田が押していく展開となるが、山形は選手交代で流れを引き戻しにかかる。
國分と林に代えて岡崎と木戸を投入する。
山形が前半ほどの強度を持ってプレーできないこともあり、選手交代でも磐田ペースの展開を変えることはできない。
追いつきたい磐田は68分に山田大記に代えて小川航基を投入する。
勢いが止まらない磐田は再三ゴール前にボールを入れていくが、精度が伴わず山形を脅かすまでには至らない。
78分に山形は中原と山田拓巳に代えて堀米と吉田を投入する。
堀米は怪我からの復帰戦となった。
82分には磐田が松本に代えて大森を投入する。
勢いを持って押し込む磐田に対して耐える山形という構図で試合が進んでいく。
86分にも磐田が選手交代を行う。
遠藤と大津に代え、鹿沼とファビアンゴンザレスを投入し得点を取りに行く。
93分に山形は山田康太に代えてルリーニャを投入する。
攻め続けた磐田だが、得点が遠く追いつくことはできなかった。
磐田にとっては13試合ぶりの敗戦となった。

4.今季成績

両チーム比較

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12勝7分4敗で5位の甲府と15勝3分5敗で2位磐田。
ホームで勝ち点を稼いでる甲府に対し、磐田はホームに比べるとアウェイで勝ち点を落としている。
失点はホームに比べて少なくなっており、アウェイでは堅いチームとなっている。

甲府
直近5試合成績

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負けなしで4連勝と好調を維持して中断期間に入った。
中断明けも勢いを持続させたい。

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飛び抜けたものは無いがバランスの良い成績となっている。
目立つのはコーナーキックの数であり、数が多いだけでなく得点にも繋げている。

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セットプレーからの得点の多さがリーグで4番目の得点数に繋がっている。
序盤はセットプレー以外からの得点が少なかったが、徐々にバランス良く点が取れるようになってきたことも得点数が増えた要因である。

磐田
直近5試合成績

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無敗を続けていたが、中断前2試合は共に勝てず。
中断を経て勢いを取り戻したい。

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一方の磐田は多くの項目でリーグ上位の数値を出している。
特に目立つのは攻撃面。
得点数、シュート数、パス数、30mライン侵入回数、ペナルティエリア侵入回数とトップ3に入っており相手を圧倒していることが伺える。

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攻撃面が目立つ一方で守備面は良くない数値も出ている。
被シュート数、被チャンス構築率は低くなっているが失点数、被シュート決定率は高くなっている。
チャンスを与えず、シュートも打たれてはいないが少ない機会が失点に繋がってしまっている。

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得点はセットプレーからとクロスからが多くなっている。
サイドから入ってくるボールには強みを発揮しているが、失点もクロスからが多くなっている。
データからはサイドの攻防が鍵を握っていることがわかる。

5.予想スタメン

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甲府
練習の情報もあまりないため予想は難しいが、中断期間中に離脱者も多く戻った。
中断前と違い、競争が生まれているだけに入れ換えも考えられるが、4連勝中のメンバーを継続して採用することを予想した。

磐田
中断前は伊藤洋輝の移籍と森岡の怪我による離脱の穴の大きさを感じさせた。
穴を埋めるべく横浜F・マリノスから加わった伊藤槇人を加え戦力を強化させている。
森岡の怪我の具合がわからないが、復帰はできないと予想しCBには新加入の伊藤槇人と山本義道の起用を予想した。
他のメンバーは好調を支えたメンバーが中心となるのではないか。

6.注目選手

甲府

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メンデス
前回対戦時と前節から続けて同じ選手を注目選手に挙げることを避けてきたが、今節もメンデスを選んだ。
前回対戦時、開始4分に一発退場となり苦しい試合となってしまっただけにやり返したい思いは強いだろう。
対面のルキアンとのバトルだけでなく、今シーズンは攻撃でも貢献度が高いだけに攻守両面でチームに勝ち点をもたらす働きに期待したい。

磐田

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ルキアン
J1でも通用していたタレントだが、決定力に課題を抱えていた。
今シーズンは決定力の向上を図り、ここまで得点ランキングトップに立っている。
身体能力の高さは昨シーズンも今シーズンも直接対戦で見せつけられている。
昇格に向けてルキアンの得点量産は不可欠だが、中断明け初戦から幸先の良いスタートをきりたい。

7.展望

磐田は7試合連続完封勝利で一気に昇格圏を捉えたが、中断明け前3試合連続で2失点と好調を支えた守備が崩れて中断期間に入った。
特に21節新潟戦を最後に伊藤洋輝が移籍して以降、連勝が止まり2戦勝ちなしとなっている。
昇格に向けて戦力強化を図り、横浜F・マリノスから伊藤槙人と高野遼を加え、守備陣を補強。
前線にも清水エスパルスから金子翔太を加え、選手層に厚みをもたらした。
一方の甲府は金井と中山の移籍が決まった一方で新たな選手獲得は無かった。
だが、前半戦を欠場した須貝の復帰は補強となる。
勝てば勝ち点差は2に縮まる一方、敗れれば8に広がってしまう。
勝たなくてはいけない一戦というよりは負けてはならない一戦である。
共に守備の意識を高く保っての一戦となることが予想され、手堅い試合となるのではないか。

磐田は攻守共に前への意識が高いチームである。
攻撃ではボールを大事にするチームであり、遠藤を中心にポゼッションがベースとなる。
近い距離感で人が入れ替わり立ち替わりでポジションを変えながらボールを動かしゴールに迫っていく。
ボールを素早く動かしていくことがベースとはなるが、ルキアンをシンプルに使う形を含め多彩な攻撃を見せる。
磐田の最大の武器はタレント力にあり、個人の能力を最大限活かしていく。
前への意識が高く空いたスペースを見つけ、前向きに選手が飛び出してくることで攻撃に厚みをもたらす。 
自由にポジションを変えながら飛び込んでくるため、捕まえにくく即興性が高いため読みにくい攻撃となる。

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ミラーゲームとなり、対面の相手がハッキリとするはずが自由にポジションを入れ替えてくるため人に食いつきすぎると空いたスペースに別の選手が飛び込んでくるため、空いたスペースへのスライドを徹底し隙を与えないことが必要となる。
特にサイドではWBが縦にスライドし、ボールホルダーにプレスを掛けていくことが多い甲府にとってはWBの背後を突かれることからのズレを警戒したい。

ビルドアップでは足元での繋ぎが多く、ドリブルでボールを運ぶことやターンして前進することが少ないため、ハイプレスを掛けることでボールの前進を妨げたい。
特に左CBに予想した伊藤は右利きの選手であるため、伊藤サイドへ追い込み伊藤に左足で蹴らせるように持ち込みルキアンへのロングボールの精度を下げさせたい。

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狭いスペースでボールを扱う技術に長けており、引いてブロックを敷いて構えていても崩してくる力を持っているため、前線から規制を掛けハイプレスでボールを奪いにいきたい。
だが、前線にはルキアンがおりシンプルにロングボールを入れても起点となり時間を作ってくるため、ルキアンを狙って蹴れる状況を与えずロングボールの精度を下げさせるために先程触れたように誘導して蹴らせたい。
また、磐田に蹴らせる状況を作りそのボールに対し複数人でルキアンを囲むように守りたい。
一対一でルキアンに走られる形を作られると前半戦での対戦時のような状況になりかねないので、複数人でチャレンジ&カバーを徹底しルキアンに精度の高いボールが入らないように前線からのプレスをサボらず続けたい。

結果的に新井のパスが精度を欠き、ルキアンに一対一の状況を許してしまったが磐田のロングボールに対してチャレンジ&カバーの状況は作れていた。
このように数的優位を作って対応し、ルキアンを前線で孤立させることで磐田に多彩な攻撃を仕掛けさせないようにしたい。

相手のボール保持に対しては人を捕まえに出てくる磐田。
ボールホルダーに対し直線的に出てくるためプレスの強度は高い一方で、前線から規制を掛けて連動したプレスとはならないことが多く一つ剥がすと後方にはスペースができる。
甲府は可変し、ボールを保持していくため磐田は陣形を崩さないと人に嵌め込んでプレスを行えないためギャップが生まれることとなる。
それによりボランチの脇や背後が空くことが多く、甲府の狙いとする「ホール」で起点を作りたい。
ボランチの脇以上に問題となるのがWBの裏。

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サイドに張る選手にはWBが食いつき対応するため、その背後が空きサイドを崩される場面が見られる。

WBの松本が前方の選手に食いついたことで背後を突かれ、失点に繋がった。

この場面も松本の背後を突かれた場面。
CBの山本と大井の間に大きなスペースがあるのがわかる。
人を基準に守るため、スライドする意識が薄く一つ剥がすとチャンスとなる。
磐田は6試合連続で完封勝利を収めていた時期があったが、このようなスペースを伊藤洋輝と森岡が個の力で埋めていたことが大きかった。
共に怪我や移籍で欠いて続けての複数失点での未勝利は偶然ではないだろう。

この場面は甲府としてもイメージしやすいだろう。
ボランチ脇で鳥海がボールを受け、WBの背後へ関口が抜け出す。
意識的にこういう形を作っていきたい。

磐田に対してはボールを保持できるかが鍵となる。
敵陣でボールを持つことで前線のルキアンを孤立させることにも繋がる。
ルキアンを孤立させ、磐田のウィークポイントをいかに突いていけるか。
個々の能力はJ1でも力を発揮できる選手を揃えており、強力すぎる武器を持っている一方でわかりやすい欠点も併せ持っているチームなだけに相手の良さを消し悪い部分を目立たせる試合としたい。

8.あとがき

オリンピックで盛り上がった中断期間も終わり、再開の時を迎えたJリーグ。
いきなり勝負の試合から再開となる。
4連勝して中断に入ったことで勢いは失われてしまったが、離脱者も戻り上位に位置するチームを追いかける態勢は整った。
前半戦での対戦の悔しさを晴らしたい。

磐田は無敗を継続して中断前最後の試合に望んだが、敗戦を喫して中断期間に入った。
失った勢いを取り戻すべく補強を慣行し、チーム力を高めた。
J1への復帰に向けて弾みをつける一戦としたい。
磐田に新たに加わった高野遼、山梨出身の鈴木政一監督の凱旋も楽しみとなる。

今シーズン最後まで書き抜くことを決めました。
また、Twitterも再開したのでそちらにも書いたものを載せていきます。

https://mobile.twitter.com/Y5vfk03

今後もよろしくお願いします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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