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J2第18節 ジュビロ磐田戦 レビュー

天皇杯では敗れたものの、リーグ戦では7戦負けなしの甲府。
同じく7戦負けなしの3位磐田に挑む一戦となる。
伊藤監督が5月の月間最優秀監督を受賞した勢いを6月も維持したい。

1.スタメン

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甲府
6試合連続で同じスタメンとなった。
ベンチは前節から1人変更。
天皇杯で得点を決めたバイヤが3試合ぶりにメンバー入りした。

磐田
前節と同じスタメン。
ベンチには今野と大森が共に2試合ぶりの復帰。
新外国人のファビアンゴンザレスはベンチ外となった。

2.安易

立ち上がりは甲府陣内でプレーが多くなる。
前線にシンプルにロングボールを入れる磐田に対し、ブロックを敷きスペースを消す甲府。

3分に試合の行方を決めるプレーが生まれる。

磐田が前線にシンプルに入れたロングボールに対し、新井がルキアンと並走しながらバックパスを送るが短くなったところをルキアンに拾われるとメンデスが後ろから倒し一発退場となった。
いわゆる「DOGSO」に該当する反則となった。
以下の4つの要件を満たすと「DOGSO」に該当し、レッドカードの対象となる。

①全体的なプレーの方向
②反則とゴールとの距離
③守備側競技者の位置と数
④ボールをキープできる、またはコントロール出来る可能性

ルキアンはゴール方向に向かっており(①)、ゴールを直接狙える距離にあり(②)、甲府の選手がカバーできる位置にはおらず(③)、ボールをコントロールできる状況にあった(④)ことで要件を全て満たしていた。
ルール改正もあり、一発退場となることから時間や展開によっては失点やむなしという判断も必要かもしれない。

むしろ試合開始早々のプレーでアウトサイドキックでのバックパスの判断が安易だったのではないか。
天皇杯で試合終盤に連続失点から逆転負けを許した後の試合の入りでイージーなミスから劣勢に立つのでは負けたことから得たものはあったのか?

試合後の伊藤彰監督のコメントより。

『オーガナイズを変えました。5-3-1で守備、4-4-1で攻撃、アンカーを作りながらダイヤモンドで形を変えながら。』

一時的に4バックで凌ぐ甲府だが、10分に長谷川に代えて山本を投入する。
配置を変え、531でブロックを敷き、我慢する展開の試合となる。

だが、15分に早くも決壊する。

CKからこぼれ球を拾った大津が右足を振り抜きゴールネットを揺らす。
一人少ないことで手薄になったところを突かれた。
警戒していたセットプレーで一人少ない中で先制を許す苦しい展開となる。

試合後の大津祐樹選手のコメントより。

『あのシュートの形なのですが、本当に普段から服部コーチとトレーニングしている部分だったので、練習通りというか、普段からトレーニングしてもらっていたおかげで点が取れたなと感じています。』

試合後の山田陸選手のコメントより。

『仕方がない退場だったと思うので、チーム全体で前向きに捉えてやっていた。去年、セットプレーからやられているので注意しようと話していたが、(取られて)責任を感じています。』

失点後に甲府はボールを保持する時間が増えていくが、1人少ないこともあり厚みのある攻めは見せられない。
リラが収めようと奮闘は見せるが、サポートが少なく収めきれない。

一方の磐田は関口や浦上の背後へのランニングで甲府のDFラインの背後に起点を作っていく。

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一人多い磐田が背後へのランニングを見せるのに対し、甲府は磐田DFの前で足元で受けるだけで磐田守備陣に恐さを与えられない。

飲水タイムを経て背後へ飛び出す回数は増えるが、効果的な攻撃には繋がらない。
磐田も引いて構える甲府に対し、ボールは持つが危険な攻撃はできない。
浦上と関口の背後は突けるが、それ以外は甲府のブロックの前でボールを持つだけに終始する。

磐田が無理をしなくなったこともあり、危険な場面は作られないが磐田が試合をコントロールする形で前半を終える。
アラート感を高く持って試合に入れたのか?
ルキアンにスピードがあることはわかっていたはずであり、不用意なプレーではなかったか?
天皇杯での敗戦は別のメンバーが出ていたから関係ないのか?
長いシーズン失敗は必ずあり、上手くいかないこともある。
だが、そこで学ばなければ成長はしていかない。

3.反撃

甲府は後半からリラと野津田に代えて三平と中村を投入する。
後半も集中力を欠いて試合に入る甲府。
キックオフのボールを受けた新井のパスが山本に合わず。

後半も前半とは変わらない構図で試合が進む。
ブロックを敷き構える甲府とボールを保持し、甲府陣内でプレーする磐田。
甲府も磐田陣内に攻めていくこともできるが、クロスやシュートで攻撃を完結させられない。

62分には磐田に決定機。

FKのこぼれ球から遠藤が再度クロスを入れると大井のヘディングシュートはわずかにゴールから外れる。

63分には磐田が一気に3人交代する。
伊藤、大津、山田に代わって山本義道、大森、藤川を投入する。
3人ともそのままのポジションに入った。

磐田陣内でプレーする時間も増えていく甲府だが、決定的な場面は作れず飲水タイムに入る。

71分に磐田のミスを突き、中村がミドルを放つ。

磐田の運動量が落ちてきたこともあり、甲府は徐々にシュートまで持っていける展開を作れるようになっていく。

76分に磐田は大井に代えて今野を投入。
この交代で磐田はDFライン3人の内2人を変更することとなった。

試合後の鈴木政一監督のコメントより。

『1人は怪我というか少し違和感があったので代えたのと、もう1人に関してはパスのタイミングや色々なところで少し精度が、コンビネーションも含めてあまり良い感じではなかったので代えました。』

甲府も直後に泉澤に代えて鳥海を投入する。
鳥海の投入で攻勢を強めていく。

磐田が自陣に引いて守ることで甲府が押し込む展開を作るが、前線にターゲットがいないことでゴール前までは迫るが得点に繋がりそうな場面は作れない。

すると83分に甲府に決定機。

前からプレスを掛けボールを奪うと右サイドを崩し、中村のラストパスを受けた山田がシュートを放つも三浦が防ぐ。

試合後の三浦龍輝選手のコメントより。

『前線の選手からDFラインまで凄く頑張ってくれていて、ピンチの数も打たれるシュートの数も少ないので、その少ないシュートを僕がいかに確実に止めるかというのを常に意識しています。』

今節最大の決定機を作るが三浦が立ち塞がった。

流れや雰囲気が甲府に出てくる中、86分に新井に代えてバイヤを投入する。

87分にはCKから甲府にチャンス。

バイヤからのボールに関口が合わせるがゴールの上へと外れてしまう。

88分には磐田がルキアンに代えて小川を投入する。

アディショナルタイムには磐田にも決定機が訪れるが岡西が防ぐ。
セットプレーでは岡西を前線に上げて得点を狙うが追いつくことはできず、完封負けとなった。

試合後の伊藤彰監督のコメントより。

『選手には素晴らしい評価を与えたい。全員最後まで勝利を手繰り寄せるために戦ってくれた。最後まで諦めずに戦ってくれた選手は尊敬に値する。』

試合を通して1人少ないながらも最後はゴールまであと一歩まで迫った。
諦めなかった姿勢を次に繋げたい。

試合後の鈴木政一監督のコメントより。

『今日のゲームに関しては、本当に選手たちが最後まで粘り強く頑張ったことで勝点3を取れた、ということのみです。前半のゲーム内容を受けて突破の部分に関して話をした中で、ボールを動かして最後突破、というのがなかなかできなくなってしまいました。そこには何か原因があるので、しっかり改善して、次の試合ではもっと良いゲームができるようにしたいと思います。』

一方の磐田も苦しい試合となった。
1人多い試合ながらゴールに迫る回数は多くなく、終盤には失点の危機も迎えた。
DFラインの交代もあるなど勝ったものの苦しい展開となった。
粘り強く我慢できたことが勝利の要因であり、5戦連続完封に繋がった。

磐田相手に組織的に崩された場面はなく、一人少ないながらも堅い守備を見せた。
耐える展開の中で磐田が先に足が止まりだし、反撃に出ることもできたが得点にまでは至らなかった。
だが、一人少ない中で反撃を見せゴールに迫ったことはポジティブな要素である。

4.MOM

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三浦龍輝
1人多い展開で早い時間に先制したことで楽な試合になると思われたが、甲府の粘りの前に徐々に押し込まれる試合となった。
セットプレーやワンチャンスに賭ける甲府に対し、ハイボールの安定感に加え、決定的なシュートを止める等5試合連続完封勝利に貢献した。

5.あとがき

立ち上がりのワンプレーが勝敗を分けた。
天皇杯の敗戦はなんだったのか?
試合に出てない人には関係ないのか?
上位3連戦で得た勝ち点はわずかに2。
これでは上位を追いかけていけない。
京都戦のGKとの一対一、新潟戦の2失点目、今節の退場に繋がったバックパスと毎節試合の結果を分けるミスを犯している。
アラートとは何か?
もう一度立ち返らなくては上位の背中が遠ざかるばかりだ。

このような負けは嘆きたいことも多くなり、書く気力もなかなか湧いてこない。
試合に負けることは当然あり、試合の中でミスも出るものである。
天皇杯で敗れ、再スタートの一戦でたった3分で試合が決まってしまったことが残念でならない。
だが終わったことは取り返せない。
1人少なくとも諦めずゴールに迫った勢いやパワーを次節以降に繋げていきたい。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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