自衛隊で培ったリーダーシップを更に社会で活かすために(no.27)
プロフィール
西田 千尋さん
現職:縄文アソシエイツ株式会社 コンサルタント、Woman In Public Section代表
自衛隊在職時最終役職:航空自衛隊2等空佐
経歴
ーー本日はお忙しい中、退職予定自衛官、元自衛官のキャリアを考えるインタビューにご対応いただきありがとうございます。まず、西田さんの経歴を教えていただけますか。
西田さん:防衛大学校人文社会学部42期、女子3期の卒業です。航空自衛隊に入隊し、厚生幹部として、隊員・家族の福利厚生に係る制度設計や航空自衛隊初の託児施設の開設、そして総務・人事業務に従事しました。
また、入間基地赴任時には、業務隊長として、80名の隊員のマネジメント経験もあります。その他、在職中は職務上、外部の人たちと仕事する機会も多く、2015年に「ハンサムウーマン」という公安系に特化した女性キャリアの底上げを目的とする組織を立ち上げ、2017年には、その公務員バージョンである「霞ヶ関女子」を立ち上げ、それら2つの組織を「Woman In Public Section」(以下、Wips)に統合し、その代表もしています。
累計イベント参加者数約1,600人の実績を有してきましたが、その後官公庁の横の連携や、知の共有ができていないことへの疑問、その課題解決から「官民連携ラボ」という越境の場を2018年に立ち上げて、その組織運営にも関わっていました。
そうした活動を踏まえ、外側から自衛隊や公務員のキャリア支援をしていきたいという強い思いから、自分ができうる自衛隊の職務について、任務完遂の気持ちとともに、2020年に2等空佐で退官。
良き意図のリーダーと理念ある組織との橋渡しとなるべく、縄文アソシエイツ株式会社というエグゼクティブサーチファームで、いわゆるヘッドハンティングの企業へ転職し、企業の成長と個人のキャリアアップのお手伝いをしています。
防衛大学校女子学生3期生で学んだ組織の面白さ
ーー組織内外で活躍されていますね。そんな西田さんが防衛大学校へ入学された背景と在職時の職務内容を教えていただけますでしょうか。
西田さん:私、高知県出身なのですが、祖父が地方創生へ積極的に関わっている人だったんです。そのため大学受験の際には、将来的には人のためになるような仕事をしていきたいなと漠然と考えていました。そのため、防衛大学校は国防の観点から人の役に立てるため、推薦受験し、早々に合格が決まりました。
防衛大学校の女子の推薦枠は、すごい倍率が高く、合格したことは当時18歳の私にとってはとっても嬉しくて。ただ合格が決まったものの、もう一つ私立大学を受験し、そこも合格が決まっておりどちらがいいのか決め悩んでいました。
大学の性格は大きく変わるものの、両方とも興味関心がある大学、学科だったため、悩んだ末、手相があたると有名な同級生がおり、相談に行きました。結果、「先に決まった大学に行った方が良い」との一言。先に決まっていたのが防衛大学校でしたので、その後押しもあり行こうと思いました。
ーーなんと、最終的な決定は占いだったんですね。
西田さん:もちろん、それだけでもないですよ。当時、防衛大学校の女子受け入れは、私の期で3期生でした。私の期から1期生までで、防衛大学校始まって以来の初の女子学生がいる環境だったんですね。そうした状況で新たに作られる文化への魅力も感じていました。
ただ、大学校も試行錯誤で女子学生を受け入れているところもあり、もともとの完全なる男性文化に慣れていくのは思った以上に胆力が必要でした。
体力的なものもありますが、体力は、高校時代は強豪校でテニスをかなりやっていて自信はありました。それよりも自分の意図しない環境やギャップへ自分を溶け込ませることが大変でしたね。
たとえば、防衛大学校は、4つ大隊が編成されているんです。大隊とは、クラスみたいなものです。当時、2~4大隊は女子学生が編入されていましたが、私が入学した時から2年生までは、1大隊へは女子がいませんでした。
そうすると、1大隊の男子学生が後輩にもかかわらず、校内で会っても敬礼をしないんです。
ーー校内で上級者へ敬礼しないと、欠礼になりますよね。
西田さん:後から聞くと、1大隊の先輩が後輩へ女子へは敬礼しないようにと指導していたとのこと。そんなところでも、女性がこの組織に馴染むことの難しさや、抵抗みたいなもを感じていましたね。
その後、1大隊に女子が入ったことによって全員が敬礼するようになって。どういった組織でも始まりは抵抗勢力があって、ちょっとしたきっかけや文化の融合で円滑な組織へと改善していくんだな、組織っておもしろいもんだと逆に経験になりました。
最初は難しくても、女性活躍に使命感を持って活動していくことは自分の使命とも感じましたね。
自衛隊在職中に社会との接点作りや交流をしてWips創設
ーー大変だったと思いますが、捉え方が非常にポジティブです。
西田さん:そうですね。もともとがポジティブ思考だと思います。また、航空自衛隊へ配属されてからの職務内容は、厚生幹部でした。厚生幹部は、隊員・家族の福利厚生に係る制度設計が主の業務です。たとえば、給養といって隊員の食事を作る部隊があります。
そこでは、極めてシンプル。美味しいものを作った、気の利いた支援をする。そうすると部隊や隊員からけ「ありがとう」と言ってもらえる。やったことへのフィードバックが得られる良い職種だと思います。
初級幹部の頃は限られていましたが、佐官になってからは、業務上で外部との交流が増えてきて、官民交流だけでなく、官官交流の少なさも課題感を持っていました。
話をするとそのように感じている人たちも多くおり、同じ課題感をもった人たちで集まろうということで始まったのが、「Wips」です。Wipsとは、Woman In Public Service 公務員女子の会という意味です。最初は活動に価値があるのか不安でしたが、継続をしていくことで賛同する人が増えてきました。
意外だったのが、公務員だけでなく、公務員を応援する外の人たちからのサポートも多く、「Wipsだったら講演してもいいよ」と良いレスポンスが多かったです。そうした支援や熱量でこの活動を継続しています。
ーー業務以外にそうした活動をすることは大変じゃないですか?
西田さん:たしかに防衛省の業務も企画や調整業務等かなり仕事は多かったです。ただ、自分の生き方として、組織外のメンバーと接点を持ったり、作ったりすることは、発見と学びに繋がり自分にとって大変プラスでした。そのため、Wipsの活動は、良いバランスになって、学ぶことが大変多かったです。
ですので、Wipsの活動は、楽しみと人との繋がりが大好きな私にとって大変だと感じたことはありませんでした。
自衛隊在職中の思い出と経験
ーーなるほど、外の世界との繋がりは重要ですね。自衛隊在職中の思い出・エピソードを教えていただけますか。
西田さん:思い出でいうと、3つほどあります。
続きをご覧になりたい方は、下記にて公開しています!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?