2022年10月の記事一覧
フミオ劇場 18話『愛犬ポロの演技』
恋の逃避行からほどなく、フミオは子供のいない久美子のために子犬を飼う。職場にも連れてくほどの可愛いがりようだった。
県内の最高気温がまた更新されたと、地元アナウンサーの悲痛な声が、カーラジオから聞こえている。連日の暑さにうんざりしていた和彦はフーとため息をつき、平置きの従業員スペースに車を停めた。
炎天下には意味がないと思いつつ、派手な色のサンシェードをフロントガラスに張る。顔と首には
フミオ劇場 19話 『フミオ。母との最後の別れと独り暴れ』
フミオの母孝江、享年91歳。最後の数年間は病院と施設を出たり入ったりだったが15年以上前なら、大往生だ。告別式は子供とその家族、孫、曾孫たちに見送られた。
孝江の晩年、介護から入院の世話まで寄り添っていたのは、フミオの弟夫婦である由紀男と純子である。
そんな二人にとって、孝江の告別式は最後のおつとめだ。厳かに送り出してあげたいという願いで準備を進めてきた。
しかしながら案の定。