大人が本気の秘密を持つとこうなる

新年早々、秘密を持った大人に2人も遭遇してしまった。


私の夫は誰にもバレないように、小説を書き始めたらしい。今まで誰にも言わずに小さくメモをして、それが溜まりに溜まったところで簡単なノートパソコンを買い、今はぱちぱち、ただひたすら書いている。それが、彼が年をまたいでやったことだ。彼の七連休がぱちぱち音に消えてゆく。


そして弟は、会社には全く内緒にしている大きな秘密があるのだそうだ。家族の中でもわたしだけが知らされていると自負している。夏ぐらいからやたらとヨドバシやアマゾンから宅配が多いな、何を部屋に溜め込んでいるのやら、と思っていたらこれだ。


俺、株主トレーダーになる!それってなんかのCMみたいだが、そう断言していた。会社にも友達にも、みんなに内緒で勉強を着々と進めている、とのことだ。何年前からやってたの、と聞くと2013年から!なんとまあ。


よく本とか持ち歩いてたでしょ。図書館にも勉強に行ってたし。変だと思わなかった?と聞かれ、そんなの微塵も気づかなかったよ!というと


俺は、世間を欺いてやるつもりさ。大人の俺が本気で秘密を持つとこういうことになるんだ。


といっていた。そういえば、弟は小学生の時によくこういう話し方をしていた。出来損ないのスパイみたいな。なるほど、世間を欺いて勉強する二十七歳!すばらしいじゃないですか。


応援してるよ。というと、教材が高いだの、結構難しいだのぼやき始める。まあ、簡単だったらみんな仕事辞めて株を買うわな。


やめときなはれ。


なんて言えない。世間を欺くという使命を背に負って、頑張っているじゃないか。何を欺いて、どうしたいのかまったく不明だけれど、私は応援したいと思う。どうぞ、がんばってくれ。


という気持ちで、コンビニの肉まんとオレンジ色のモンスターを奢った。うれしそうにしていた。


追記

彼はその後、着々と夢を歩み進めて、2024年よりフリーランスになりました。素晴らしい。

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