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「末人」になるな。【本要約】

「神は死んだ」という言葉で有名なニーチェ
ニーチェは、1844~1900年に生きた哲学者。

そんなニーチェは
「人生の意味なんて存在しない。」という哲学を展開した。
一体、どういうことなのか。それを紐解いていこう。

今回の一冊は

「最強!のニーチェ入門」

こんな人におすすめ

  • ニーチェの哲学について知りたい人

  • 夢や目標がなく、人生を無駄に過ごしてしまっていると感じている人

実存哲学

哲学には、2種類の概念がある。
それは、「実存哲学」「本質哲学」である。

昔から伝わってきた哲学が、「本質哲学」である。
本質哲学は、その名の通り、本質を考える哲学になっている。
本質とは、意味や価値感のことだと思ってくれていい。

ニーチェの生まれる以前では、
人生の意味とか幸福の意味とか考える哲学、つまりは本質哲学が多く、
それが絶対的な真理であると考えられてきた。

「実存哲学」はその本質哲学に対抗するために生まれた哲学である。
「実存」とは、「現実存在」のことで、今存在しているものに目を向けた哲学になっている。

ニーチェの哲学はこれに値する。
本質哲学が当たり前の時代に、逆光した哲学を提唱したからこそ
ニーチェは偉大な哲学者として名を残すことになったのである。

不幸になるのは人生の意味を設定しているから

人が不幸になる原因として、「背後世界」の存在がある。

「背後世界」とは、
自分たちが勝手に作り上げている価値観のことである。
例えば、現代に置き換えてみると、
「20代で結婚したほうが良い」
「年収はこのくらいないとだめだ」
「もっと痩せないといけない」
などといったものが挙げられる。

これは、いわば
この世界に、絶対的な価値観なんて存在しないのに
勝手に世間などから刷り込まれた価値観を盲目的に信じ込んでしまっているということだ。

勝手に自分の目の前に高いハードルを置いて、
「飛び越えられない。ああ、私はなんて不幸なのだろう。」
と想像しているようなものだ。

だが、私たち人間がなぜそんなことをしてしまうのかというと、
絶対的な価値観があれば、人生に意味があると思えるからだ。

例えば、
私の人生の意味は、
「素敵な人に出会って家庭を持ち生涯幸せに暮らすことだ。」
そうすれば、人はその目的を達成するために、行動することができる。

だが、それを達成できなかったら、どうだろう。
別にそんな価値観なんてどこにも存在していないのに、
世の中に絶望することになる。

そう、人生に意味なんてないのだ。
人がこうあるべきとかそういう価値観なんて、
知らない誰かが考えて、適当に広まっただけに過ぎない。

この考えは、様々な価値観に縛られた現代の我々にとても刺さる内容になっていると思う。

神は死んだ。とは?

絶対的な真理があると信じられてきた背景には、
神の存在が挙げられる。

神は、我々を作った存在であり、
だからこそ我々には、神から与えられた使命があるのだ。
と昔から信じられてきた。

ユダヤ教ができたのも、
迫害を受けてきた人々が、
「このつらい人生に必ず意味がある」
「生まれてきた意味は必ずあるはずだ。」

と自分の人生を肯定できるような都合の良い神を生み出したにすぎない。

だが、時代が進み、
科学が進歩していくにつれて、
「どうやら我々人間は、神が作ったわけではなさそうだ。」
ということに気づき始める。

有名な言葉
「神は死んだ。」には続きがある。

「神は死んだ。神は死んだままだ。我々が神を殺したのだ。

この言葉のできた背景が分かったと思う。

「末人」が増える

科学や文明の発達によって、
神は私たちに殺されたわけだが
そうすると、当時の人々には、急に生きる意味がなくなることになる。

そして、こうなった結果、
「末人」なるものが増えるだろうとニーチェは予想した。

「末人」とは、
「夢や目標もなく、ひたすら暇をつぶして生きていくだけの人間」
のことである。

まさに、ほとんどの現代人のことである。
毎日仕事が終わった後、スマホでSNSやゲームなどをして一日を終える。
そして、その繰り返し。

ニーチェは、現代人の未来を予言していたことになる。

目指すべき「超人」

ニーチェが、「ツァラトゥストラはかく語りき」という本を出版したのは、
そんな「末人」を救うためだった。

ここで「永劫回帰」という最強最悪のニヒリズム(虚無)世界の話が出てくるが、説明が長くなるので、ぜひ調べてみてほしい。

簡単にいうと、無限ループの世界のことである。
ループするから生きている喜びが一切ない。

終わりがないループの世界での喜びは、過去や未来には存在しない。
だって、過去や未来を考えても、
どうせループするのだから意味がないのだ。

そんな最強最悪な世界であっても、
絶望しないで済む方法は何かをニーチェは解いている。
それは、「今、この瞬間を強く肯定して生きる事」である。

現代社会に置き換えると
基本的に現代人は、過去や未来に振り回されて生きている。
例えば、明日の仕事のことや昔あった嫌なこと。
私たちが生きている「今この瞬間」のことを忘れてしまっている。

ニーチェは
「ありもしない非現実なモノに振り回されて生きるのはやめよう。
今生きていることを実感するべきだ。」

ということを最悪な世界を例にして教えてくれたことになる。

「今この瞬間を肯定できる人物」のことを
「超人」
とニーチェは定義した。

現代人は、みな超人になれ。
というのが最終的なニーチェのありがたいお言葉である。

超人になる一歩目

超人になれと言われても、今からすぐになれるわけがない。

まずは、今生きている実感をするために、
3分ほど自分の体に集中してみてほしい。
いわゆる瞑想のことだ。

これが、超人になるための第一歩目だ。

感想

ニーチェの哲学が、現代に広がっている理由が分かりました。
けれども、完全に理解するのは時間がかかりそうです。

ここから学べる教訓は、
できるだけ「末人」になってしまわないようにして、
そして、少しでも「超人」に近づくべきだと感じました。

何度も読み直したい一冊だと感じました。

To Do

1.瞑想を1日3分から

2.今に生きるという意識を持つ






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