見出し画像

『おいしさの裏側には思いがある』 房総食料センター×ヴェルジェ 特別対談 Vol.1




店頭に並ぶ新鮮な野菜や果物。
その一つ一つには、美味しいものをお届けしたいと願い朝早くから畑に出向く農家さんの物語があります。

しかし、農家さんが実際にどんな生活をして、どんな思いで野菜や果物を私たちに届けているのか知っている人はそう多くないのでは...?

ヴェルジェでは、農家さんそれぞれが持つ物語を皆さんに知ってもらいたいという思いから、パートナー農家さんのリアルに迫る新規連載企画をスタートします!

今回は、8月に訪問した農事組合法人 房総食料センターの海老原さんに、川島商品部長と商品部の山元さんとの対談形式でお話しを伺いました。

ヴェルジェと房総食料センターさんがタッグを組んでから15年。
長く時を過ごしてきたパートナーとして、どんな変遷があったのか。
今や類を見ないほどの深い絆で結ばれた、房総食料センターの海老原さんに迫りました。


笑顔でインタビューに応じてくださる
房総食料センターの海老原さん




 「お客さんの反応を確かめられるようになったのは大きな出来事」(海老原)


ーーヴェルジェと房総食料センターのこれまでの歴史を教えていただけますか

海老原:うちのセンターとヴェルジェの付き合いは2008年からかな。
うちの若い世代がヴェルジェの店頭に立って販売したり、逆に今日みたいにヴェルジェの社員さんが畑に来て手伝ってもらったりしたことで、お互いの理解度はすごく上がったな。

そういう交流の場が生まれたことは一緒に仕事をしていく上でよかったし、これからも継続してやっていきたいな


ーー2008年にヴェルジェと組み始めた当初の印象はどうでしたか

海老原:元々、うちの房総センターは他の取引先とあまり多くの付き合いをしてこなかったんだよね。そういうことが下地にあったこともあって、ヴェルジェと組んだ当初も担当した生産者は不安がってた。
でも、やってみるとお互いの関係性も仕事へのやりがいも深まったな


ーーどういった形で関係性は深まっていったんですかね

海老原:2010年あたりから今でもやっている月一での定例会が始まったりしたんだよね。
それと一番最初にやり始めたのはお米なんだよ。



ーーお米からだったんですか!?

海老原:ふさこがね(千葉県独自の品種)をどうやって多くの方に食べてもらえるかなって考えてたら、ヴェルジェと「じゃあ、店頭で試食販売しましょう」って話になったの。
そこからが本格的なスタートだったね。

商品部長:懐かしいね。

海老原:そしたらふさこがねが売れたのよ。
実際に食べてもらうってお客さんからしたらいい体験出し、今までやってなかったから初めての体験を提供できたってこともあったんだろうな。


ふさこがねのおにぎりを試食


ーー海老原さんの中に直接お客さんの反応を確かめたいって思いはずっとあったんですね

海老原:そう、食べてもらった時の反応を見るとモチベーションにもつながるからね。


ーーやっぱり食べてもらうことが喜びなんですね

海老原:もちろん収穫した時も喜びは大きいけど、自分の作ったものを買ってくれた人が美味しいって言ってくれた時が一番嬉しい


ーーでも、農家さんが直接野菜を届けられる機会ってそう多くはないように思います

海老原:確かにそういう機会は少ないよね。
でも、ヴェルジェとお付き合いするようになってからはお客さんの反応を知れる機会が増えていったんだよ。
自分の作ったものがどこで売られていて、どういうお客さんが食べてくれているのか。
それを自分の目で確かめられる場が設けられたのは個人的に大きな出来事だった。


今回は房総さんにトラクターのスペシャルレクチャーをしていただきました




『農家さんの期待に応えたい。その行動の積み重ねが今につながっている』(山元)


ーー商品部長は海老原さんに対して出会った当初はどんな印象を持っていたんでしょう

商品部長:経験豊富な頼りになる方ってところかな。
過去の経験から参考例だったりを教えてもらうことも多かったんだよね。


ーー山元さんは房総さんにはどういった印象をお持ちですか

山元:自分は元々北海道で酪農してたんですけど、生産者と消費者の間で働きたいと思ってヴェルジェに入ったんですね。
入社して最初の頃の研修で訪れたのが房総さんでした。


ヴェルジェ商品部の山元さん 2017年 


ーー房総さんとはそんな早いタイミングで出会っているんですね

山元:そうですね、ハードでした(笑)。

商品部長:朝から晩までご一緒させてもらったからね(笑)。

山元:暑い中休憩しながらやってたんですけど、房総の皆さんはこの暑さの中でいつも仕事をしているんだなって農家さんの凄みを感じられる体験でしたね。

山元さんも参加したヴェルジェファミリー毎年恒例の
新人社員稲刈りイベント / 定例会


ーーその経験が今も生きてるなって感じることは多いんですか

山元:農家さんがどういう働き方をしているかを知れたのは大きかったですね。
それに私たちが農家さんと一緒に何かをやる時って農家さんから試されていると思ってるんですよ。
ヴェルジェのメンバーは忍耐強いメンバーが多いからいいけど、もしへたれてたら信頼関係は築けないじゃないですか。
農家さんの期待に応えたいっていう一つ一つの行動の積み重ねが自分の経験値でもあり、房総さんとヴェルジェの今の関係性につながっているなって思います。


ーー海老原さんから見た組んだ当初のヴェルジェの印象はどうでしたか

海老原:実はヴェルジェと組むことを決める時にできたばかりの津田沼店に行ってみたの。
その時に売り場のレイアウトや雰囲気を見てこれだったらいけるなって思ったよね。経験的に見て。

商品部長:海老原さんと知り合う前にも房総の農家さんとお話をさせてもらったんだけど、我々のことを理解してもらえてないこともあって賛成してくれる方もいればそうでない方もいたんだよね。
だから信頼を得られていない方から信頼を得るにはどうすればいいかって考えて、津田沼店をはじめ各店舗で販売方法を模索していたんだよね。


ーーどうやったら信頼を得られるかを試行錯誤する日々が続いていたんですね

商品部長鍵となったのは、お互いの要望をいかに伝えられるかってとこだったの。しっかり相手に伝えることでダメだったところは改善されるようになりどんどん上手くいくようになっていったね。

海老原:それの重要なポイントがあってね。飲みニケーションだよ(笑)。

(一同笑い)


海老原さんの一言に沸き立ちます。
商品部長(左)・海老原さん(中央)・商品部 / 山元さん(右)


ーー飲みニケーションですか…?

海老原:これはね、すごく大事なんだよ(笑)

商品部長:盃交わしたもんね(笑)。

山元:産地だったりヴェルジェのお店の近くでも飲みましたよね。

海老原:現場では色々あるけど、飲みニケーションをすることで関係が縮まり同じ意識を持つようになっていったんだよね。
相手に対する意識が変わったっていうのが一番大きいんじゃないかな。
商品部長が言ったように最初は斜に構えてた生産者もいたけど、時間が経つにつれてヴェルジェが研修きているよって言ったら段々喜ぶようになったの。そうした信頼の積み重ねが実績になっていくわけ。
売上もどんどん上がっていったからね。


ーー実績が出るようになったのはお互いの理解度が深まったことが大きかったんですね

商品部長:お互いの思いがつながっていったのはすごく大きいな。

海老原:信頼関係ができあがったのが一番の要因かな。


ーー逆に15年の歴史の中で経験した困難はどんなところだったのでしょうか

海老原:この仕事はお天気次第だからね。何年か前に台風で大きな被害を食らったり。


ーーその時はどんなことが起きたんですか

海老原:台風の影響で塩害を食らっちゃってさ、野菜がダメになった時があったの。

商品部長:2019年かな。

海老原:大根なんか上の部分が塩でやられちゃって。そうなったら野菜は廃棄するしかないんだけど、下の部分は大丈夫だからって、ヴェルジェが訳あり商品って形で販売してくれたんだよ。そういう機転が効いた対応に助かったな


ーーヴェルジェが農家さんの緊急時に対応する際、意識的に取り組んでいることはあるんですか

商品部長:農家さんが大変な時はヴェルジェにできることがあるなら応援してあげようって気持ちでいる。
まずは農家さんとコミュニケーションを取ってお互いの最善策を考えているよ。


ーーこういう時に何でも言い合える関係性が効いてくるんですね

海老原:まずね、ヴェルジェは被害が出た時に必ず来てくれるんだよ。
実際に現場を見た上で何ができるかを考えてくれるんだよね。
そういった行動は生産者からすると助かるし、また頑張ろうって思えるきっかけにもなるよね。

商品部長:やっぱり直接コミュニケーションを取ることが大事だからね。
会って話すことで湧き上がってくるアイデアや伝えていかなきゃいけない農家さんの思いを知れるから


2019年 解体ボランティア


商品部長も参加しました




信頼関係の鍵は「飲みニケーション」


ーー今お互いに対しての要望ってあったりするんですか

海老原:出てきた要望は月一の定例会の中で伝えて解決するようにしてる。
前月の実績の報告をお互いしあって、次に向けた話し合いができているからあれはいい時間になっているな。

ーー積み重ねが実績につながっているんですね

海老原信頼関係があるからデータも全部曝け出しているんだもん。
逆にヴェルジェ側も必要であることを伝えたら包み隠さず全部出してくれるから。そういうお付き合いが続いているね。

商品部長:そうだね、全部公開しちゃってる(笑)。

海老原:珍しいよ、こういった関係性は。


ーーそれは他の取引先ともしていることなんですか

海老原:それがね、してないんだよ。ヴェルジェだけなんだよね(笑)。
もちろん付き合いが長いとこもあるんだけど、なかなかそこまでいかないんだよね。


ーーそこまでの関係性になったのってやはり...

海老原飲みニケーションだよ(笑)。

山元:研修で畑に訪問するのも大事なことだと思うけど、お酒の力も借りてもう一歩踏み込んでみることで、研修の出来事がより深く味わえる感覚があるんですよね。
こうしたらもっといいかもね、みたいな次につながる話も出てくるし。
その時は冗談半分で言ってるかもしれないけど、ふとした時に出た言葉が後々につながってくるんですよね。


飲みニケーションを通して得られたお互いの信頼感。


ーーやっぱり飲みニケーションは偉大だ...

海老原:すごく大事だよ(笑)。

山元:みんなお酒は好きですしね。
お酒が好きなのもあるけど、やっぱりその場でお互いの素性を見せ合えるっていうのが一番かな。本当に裸同士の付き合いって感じなんだよね。

商品部長:昔ながらのやり方ではあるけどね(笑)。

海老原:表面的にはさ、今のオンラインで話し合うスタイルも使って、売り場だったり変えてはいるけど本質的なところは昔から変わらず、お互いの本音を伝え合うスタイルなんだよな。


ーーお酒を飲んでいる時に印象に残っていることなどありますか

海老原:やっぱり一番は本音を伝えられるっていうことが大きいよね。

山元:無礼講ではないですけど、目上の方とも肩組んじゃったりとか、ちょっと調子乗っちゃうこともありますからね(笑)。

海老原:嬉しいよね、そうして近づいて来てくれるのは。ヴェルジェのメンバーはみんな若いからさ、俺からしたら息子みたいなもんだから余計嬉しいよね。
来てくれたヴェルジェの子たちの成長した姿を見たり、聞いた時はすごく頼もしいし嬉しいんだよな。


ーー関係性が深まった今だからこそお互いコミュニケーションを取るときに意識していることってあったりしますか

海老原逆に意識していないからいいんじゃないの?
商品部長とだって何かあったらすぐに電話だったりで連絡を取れるから。

商品部長:気づいたら連絡しちゃってるね(笑)。


ーーなるほど、ビジネスライクな部分がないからこそ速さが生まれるんだ

山元:農産物だから早さが大事なんですよね。房総さんとの関係性は風通しがいいから商品をいい状態でお客さんに届けられることも大きいですね。


写真越しから仲の良さが伺えます




『鮮度や美味しさの裏側に海老原さんの思いがある』(山元)


ーー房総さんとヴェルジェで組んでてよかったなって思うことってありますか

海老原:ヴェルジェ自体も大きくなってきてるよね。
新店ができていったり成長する過程に携われているのはよかったって思う時かもな


ーーヴェルジェとは15年の歴史があるわけですもんね

商品部長:コミュニケーションが深まっていく中で、自分たちの声を形にしてもらったり、そうして作ってもらったものをお客様に販売して喜んでもらえた時は嬉しさが倍増するよね。

海老原:商品開発もよかったな。枝豆を氷詰めしましょうって話になったの。収穫したものを当日のうちに氷詰めしてヴェルジェに送るわけ。
そしたら鮮度が全然違うじゃない。
それは産直ならではだし、ヴェルジェと房総だからできたことじゃないかな。


ーー実際に商品開発にもつながっているんだ

山元:やっぱり、新しいことをするってなると作業工数やコストの問題も出てくるんですよね。
色んな課題を解決できるのはお互いの信頼関係があるからなんだろうなって思います。

商品部長:枝豆も始める前は問題だらけだったけど、実際に売り始めてみたらすごく売れるんだよ。鮮度が違うんだもん。


ーー今後房総食料センターとヴェルジェでこういうことをやっていきたいなっていうのはあったりしますか

海老原:さらに進んでいくってなると商品作りになるんじゃないかな。


ーー例えばどんなものを想定されていますか

海老原:例えば今やってることにムキねぎがあるの。
一つの袋に3本を結束させて販売するんだけど、それって生産者からすると手間なんだよ。やり始める当初はお客さんの反応も分からないし、最初はどうなんだろなって思ったけど、やってみたら売れたんだよな。

山元:今や大ヒット商品ですね。

商品部長:我々も最初は抵抗があったんだけど、新しい売り方だってことでチャレンジしたらお客さんからも好評をいただくものになったね。

海老原:さっきの枝豆の話もそうだけど、今後もお客さんにどうやったら喜んでもらえるかを考えながら、新しい商品を作っていくべきだと思うし、それがお互いのメリットにもなると思うな。

商品部長:まだまだ宝は眠っているだろうから、これまでの固定概念を取っ払って新しい売り方でお客さんに喜んでもらえる商品を作っていきたいよね。


談笑をしながらもお互いに次なるアイデアを探っています


ーーそういった新しい取り組みをしていく中でも変わらずある海老原さんのこだわりはどういったところにあるんでしょうか

海老原:安心安全はもちろんとして、やっぱりお客さんに喜んでもらうことを考えて野菜を育てていることかな。
喜んでもらうために、美味しいを求めることに尽きると思う。その美味しいの一言が私の原動力になっているからね。
何より美味しさの裏側には思いがあるからね。


ーー房総さんの野菜の魅力は

商品部長:やっぱり一番は美味しさだよね。お客さんも美味しいって言ってくれるしね。

山元:持ちがいいんですよ。鮮度がいいから長い時間置いておいても腐らない。鮮度や美味しさの裏側に海老原さんの思いがあるんだと思います。


ーー最後にお客様に対して一言いただけますか

海老原:房総の野菜は思いが詰まった野菜だと思ってます。
色んなものを詰め込んだ野菜をぜひ味わって欲しいですね。


房総食料センターの稲ポーズ( V )




ーー編集後記ーー

タッグを組んで15年。互いに信頼関係を積み重ねてきた房総食料センターとヴェルジェ。
信頼を深める鍵となったのが、「飲みニケーション」というところに互いがいかに信頼しあっているかが垣間見えたそんな時間でした。

何より実際に房総食料センターに伺ってみると、仕事終わりにお茶やデザートのサービスをしていただけるなど手厚いおもてなしが…!
農作物を育てることだけでなく、日常から相手のことを思いやっていらっしゃるからこそ、野菜の味も格別なんだなと感じました。

またお邪魔します!



ヴェルジェについて


●公式サイト

●X
🔗https://twitter.com/Verger_official

●Instagram
🔗https://www.instagram.com/verger_to_you

●公式LINE
🔗https://line.me/R/ti/p/@nio6030u?from=page&accountId=nio6030u

●YouTubu
🔗https://www.youtube.com/@user-gs7ip5oi3b

●Facebook
🔗https://www.facebook.com/verger.co.jp


(取材・編集:遠藤伶、写真:新井友馨)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?