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ジャン・チャクムルを見守り続けて・・・

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トルコの若きピアニスト、ジャン・チャクムル(Can Çakmur)の存在を知って以来、第10回浜松国際ピアノコンクール(2018)での優勝を経てさらに成長を続ける彼を応援していま…
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記事一覧

ジャン・チャクムルMilliyet紙インタビュー:「芸術は社会的な活動であり続けるべき」

本日はトルコの大衆紙Milliyet日曜版(2023年5月28日付)に掲載されたジャン・チャクムル君の最新インタビューをご紹介します。 質問の趣旨から、5月19日のアタテュルク記念日および青年とスポーツの日の直前に行われたと推測される本インタビューですが、同時にトルコでは5月14日に大統領選挙および統一地方選挙が実施され、またその結果により同28日に大統領選挙の決選投票が行われることが決定、このような政治的空気を背景に、チャクムル君としては珍しい政治的メッセージを含むイン

ジャン・チャクムル「芸術からの投影」最新インタビュー(2023年4月)―新シリーズ《シューベルト+》始動!

トルコ語の文字媒体に掲載されたジャン・チャクムル君のインタビューとしては、ほぼ1年振りになるでしょうか。このたび、芸術に関する総合的なポータルサイト「芸術からの投影」編集主幹シェフィッキ・カフラマンカプタン(Şefik KAHRAMANKAPTAN)氏によるインタビューが2023年4月24日付で同サイトに掲載されたので、遅ればせながらこの場でご紹介します。 インタビュー本文でも語られているように、2028年のシューベルト没後200年に向けたジャン・チャクムル君とBISレコー

ジャン・チャクムル最新インタビュー(2022年3月)―「心から来るものは、心へと届くべき」―

本日ご紹介するのは、「シューベルトの後を追うピアノの天才、ジャン・チャクムル」というタイトル*1で文化芸術関連のトルコのデジタル新聞LİTROS SANAT紙に掲載されたジャン・チャクムル君の最新インタビュー(2022年3月16日付公開)からの抜粋です*2。 ---------*---------*---------*---------*---------*--------*-------- 一日にピアノに割く時間はどれくらいですか? 気の向くままにピアノに向かったり、

ジャン・チャクムル『アンダンテ』誌インタビュー「敏感、謙虚でナイーブな音楽家―ジャン・チャクムル」

TRTラジオ3をはじめとし、様々なメディアで音楽番組の企画・プレゼンターとして経験豊富なアイシェ・ヤワシュ(Ayşe Yavaş)氏 が『アンダンテ』誌のために行ったジャン・チャクムル君のインタビュー(2021年12月31日付)を本日はご紹介します。 彼女はそのインタビューの最初にこのような感想を述べています。彼と会話をしている時、自分がまるで一人の哲学者と話をしているかのような感覚を覚えずにはいられなかったと。 それでは私たちも早速、彼との会話の中に入っていきましょう。

ジャン・チャクムル最新インタビュー(2021年12月)―アルバムの収録は音楽人生の一時期を切り取った写真のようなもの

トルコ南部アンタルヤ市において開かれた第21回アンタルヤ国際ピアノフェスティバル(会期:2021年12月11~24日)でのジャン・チャクムル君のコンサートが2021年12月22日、無事に終了しました。当コンサートの模様はアンタルヤ広域市のYouTubeチャンネルで視聴することが可能です。 さて本日ご紹介するのは、本ピアノフェスティバルを前にイエニ・ビルリック(Yeni Birlik)紙によって行われたチャクムル君の最新インタビュー(2021年12月22日付公開)です。 (※

ジャン・チャクムル最新インタビュー(3) コンサート生活と教育者としての生活を両立する道を探して

ソーシャルメディアも定期的に利用している音楽家でらっしゃいます。あなたにとってソーシャルメディアは、一ピアニストの視点からどのような利益と、もしあるなら不利益を生むでしょう? ソーシャルメディアは告知のために必要な程度に利用しています。時折シェアしているYouTubeチャンネルと、よりまとまった形で利用しているTwitterアカウントがあります。Facebookのアカウントはごくまれに利用しています。それ以外のソーシャルメディアのアカウントは持っていません。シェアする際は、

ジャン・チャクムル最新インタビュー(2) 後進の育成は自分にとって最大の夢のひとつ

このファイル(インタビュー「素晴らしき若者たち」シリーズ)がカバーする範囲で出会った音楽家たちの中には、コンクールは実のところ音楽家の成長にマイナスの影響を及ぼしており、自分たちを競走馬に変えさせていると言った人たちもいました。あなたの考えもそうですか?コンクールに参加することを拒みながら、国際的な規模で名の知られた音楽家/ピアニストになることは可能でしょうか? 実際のところ、このコンクールというものの大きな危険性です。私たちは頭の中で大抵、賞を成功に、脱落を不成功にしばし

ジャン・チャクムル最新インタビュー(1) “芸術家は常に思想家であらねばならない”

現在、3枚目のアルバム(*1)を鋭意準備中のジャン・チャクムル君に対して行われた最新インタビュー(2021年5月21日公開)を本日はご紹介します。メネキシェ・トクヤイ(Menekşe Tokyay)氏がトルコの若き音楽家たちの内面に迫るインタビューシリーズ「素晴らしき若者たち」ファイルNo.62からの全訳です。 ---------*---------*---------*---------*---------*--------*-------- 音楽との出会い、現在ヨーロ

ジャン・チャクムル「サバフ」紙インタビュー(2) インスピレーションの源

- 自分のスタイルを説明していただけますか?(クラシック音楽の内外で) 自分が糧とした音楽家や音楽の種類には誰が、どんなものがありますか? 解釈者というのは、演奏する作品の言語やスタイルに敏感かつ協調的であらねばなりません。ステージの上で、理想的な条件の下で、音楽家は唯一の人間としてではなく、音楽が肉体を手に入れた状態としてそこにあるべきです。真のインスピレーションというのは、まさにこの露と消えてなくなる感覚ではないかと思います。私にとって最大のインスピレーションの源はお

ジャン・チャクムル「サバフ」紙インタビュー(1) 正しい道を歩んでいる証

2021年1月20日付で発表されたICMA(国際クラシック音楽賞)Young Artist of the Year(年間最優秀若手アーティスト賞)受賞*1 を受け、トルコ国内のメディアによるジャン・チャクムル君へのインタビューが続いています。 本日ご紹介するのは、2021年2月7日付でトルコの大手新聞サバフ(Sabah)紙に掲載されたインタビューです。過去に行われたインタビューの内容と重複する質問も中にはありますが、削除はせず全文を訳して掲載いたします。 --------

ジャン・チャクムル「芸術からの投影」インタビュー (2) 3枚目のアルバムは20世紀音楽

- 3枚目のアルバムのレコーディングですが、新しい日程は決まりましたか?シューベルトのどの作品が入るのでしょう? パンデミックのせいでレコーディングが3度延期され、2度はスタジオの変更を余儀なくされましたが、ようやく5月に実現できそうな見通しです。今回はプログラムにシューベルトはありません。その計画は11月に中止になったので、延期することに決めました。なぜなら元々スタンバイしている別のプログラムがあったからです。 そのプログラムは次の通りです。エネスクのピアノ・ソナタ第3

ジャン・チャクムル「芸術からの投影」インタビュー (1) パンデミック下での自己成長

芸術に関する総合的なポータルサイト「芸術からの投影」編集主幹シェフィッキ・カフラマンカプタン(Şefik KAHRAMANKAPTAN)氏によるジャン・チャクムル君のインタビューが2021年2月6日付で同サイトに掲載されました。 新型コロナウイルスの世界的流行により昨年の5、6月および11月から今年1月までに予定されていた日本公演がすべて延期か中止されたなか、コロナ流行下でのこれまでの活動状況、特に3rdアルバム収録や来日の予定など、ファンにとって得難い最新情報をこうしてタ

Wikipedia日本語版「ジャン・チャクムル」に掲載できなかったエピソード集

   先月(2021年1月)、Wikipedia日本語版に「ジャン・チャクムル」の記事を新規に執筆した。  ツイッターで私のアカウントをフォローしてくださっている方はよくご存知だと思うが、私はここ2年ほど、トルコ出身の若手ピアニスト、ジャン・チャクムル君のサポートを続けている関係で、トルコ語で報道された新聞や雑誌の記事が目に留まるたびに記事に目を通し、紹介する価値があると判断したものについては、極力、日本語に訳してツイッター上で紹介してきた。特に2015年以降に公開された

コロナの時代の音楽家—ジャン・チャクムルTVインタビューから (3)

Q: 音楽家の孤独について話したところで隔離の話に戻りますが、大変に予定の詰まったコンサートツアーがありましたね。ところが今は、私たち全員が何か月も家に籠っています。そこで気になるのですが、この隔離の日々はあなたにどう影響しましたか? A: この隔離期間の結果として、現時点で8月末まで全てのコンサートが、残っているものもまだありますが、ほとんど全てのコンサートが中止となりました。おそらくコンサート生活が元の状態に戻るには、かなり長くかかるでしょう。当然ながらこのことは、現