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女の道は、かってに用意されていく。

久しぶりの、
日本庭園の茶室に行った。
誰もいない茶室は、
冷房が効きすぎて寒い。
少し温度を下げてくださいますか?
と言うと、
丁寧な対応で和む。



氷が浮かんだ、
みどり色の泡だった
いれたての抹茶と
季節の和菓子を前に、
庭園のサルスベリを眺める。



この大好きな席に座ったら、
何を書こうか、
朝いろいろ考えた。
いざ座ると、
何も想い浮かばない。
伝えたいことなど、ない。



見事な蓮の花。
ざーっと流れる滝のおと。
日の光に輝く鮮やかな、
色とりどりの緑。
セミの鳴き声。
厨房のスタッフの笑い声。



なんて豊かなんだろう。
今、ここで、
観ること、
味わうこと、
聴こえること、
触ること、
体感することが
いまの私の全てなのだとしたら。



過去も、
未来も、
数々の問題も、
不安も、
全てが幻だとしたら。


私はいつも、
(きもちがいいこと)
を選択して生きている。



朝、出かけるとき
靴下とスニーカーをはいたが、
窮屈できもち悪くて
すぐに裸足になって
サンダルを履いた。
足が一瞬で解放されて
きもちが良くなった。



車から降りて、
この庭園まで裸足で歩いた。
芝生や土が
ひんやりと気持ちよくて
広い空と涼しい風に
こころが踊った。
お化粧をいっさいしないで、
すっぴんとメガネで
日光を浴びながら歩いた。
カフェの席を特等席にした。


日常の、
小さなきもちいい!を
迷いなく選択すると
大きな問題が起きたときにも
なめらかに、
いつのまにか
すべてが整い始めて、



予想をはるかに超えた、
大きな恩恵を
うけとる道が開く。



女の人生には、
(気持ちいいこと)を
選択できないときが
たくさんある。



わたしもそうだ。
思いがけない哀しみ、
不快さ、苦しみ、心配ごとが
絶えることがない。



でも、ふとわかるときがくる。
不快なことをうけとめる器ができて、
愛して委ねる境地になったその先には、



本当のわたしを見つけて、
とでもいうような顔をした
豊潤の漆黒の女神が
奥の院で
ひっそりと
待っていることを。



冷房を切った茶室が
少し蒸し暑くなってきた時、
お客さんが入ってきて
スタッフがまた冷房をつけた。
肌が、きもちよく呼吸をはじめた。


オーダーして気持ちよくなる道と、
オーダーしなくても
きもちがいい環境が
かってに用意されていく道。



どちらでもいいけど、
女であり、
わがままであり、
めんどくさがりやの私は、



わたしにとっての
最高最上が
自然と用意されていく、
パーフェクトな道!
の割合が大きいほうがいいな、
と思う。












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