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第二話 衛生管理者の資格って必要?

熱い思いを持って、ベンチャー企業で働く人たち。
縁の下の力持ちである人事の方々がこのような人たちを支えている。
ベンチャー企業に入社2年目の江川千里の産業医採用への挑戦は続く、、、

このシリーズを初めて読む方はこちらからご覧ください。


「まずは衛生管理者の資格を…これって誰に取ってもらえばいいんだろう。探せば社内に誰か資格を持ってる人がいたりしないかな…?」

 千里は、先日社労士とのミーティングで突如判明した<衛生委員者の資格取得>と<産業医の採用>にかかりきりになっていた。

 おそらくプロジェクトになんらかの進展があったのだろう、このところ社内の技術者たちは楽しそうな盛り上がりを見せている。こんなタイミングで社長に新人採用を一時ストップしてくださいなんて言えない。

この調子だと間違いなく3ヶ月後には従業員が50名を超える。つまり、正真正銘それがタイムリミットなのだ。

 効率よく。最近ではそれが千里の座右の銘になりつつある。調べ物も申請も最短で行わなければ。なんで一日は24時間しかないの。そんな理不尽な文句まで出てくる始末だった。

 省ける手間があるなら極力省きたい。千里はSlackというビジネスチャットツールで社内に衛生管理者がいないかを聞いてみた。

多くは望まない。一人でいい。見つかれば勝ったも同然。そんな気持ちで祈ったが、色好い返信はどこからもなかった。

「レアな資格なのかしらね…」

 衛生管理者や産業医という資格を、千里は今まで聞いたことがない。もっとメジャーな職業だったら普段から注視していたかもしれないのにと、愚痴っぽいことを思ってしまった。

 後日、全体のミーティングで改めて聞いてみるも、該当者がいないことが改めて判明し、改めて肩を落とすだけに終わる。

 こうなったら誰かに衛生管理者の資格を取得してもらうしかない。
 気を取り直して衛生管理者について調べてみたら、次のようなことがわかった。

・衛生管理者には第一種衛生管理者と第二種衛生管理者がある(第一種免許は有害業務を含む全業種で対応可能だが、第二種免許では対応できない業種がある)
・衛生管理者は従業員の数で必要人数が変わる(200人以下は1名、500人以下は2名。以降、最大6人まで増えていく)
・選任事由が発生した日から14日以内に衛生管理者を置かなかった場合、50万円以下の罰金が課される
・試験は毎月1~8回開催される(地域によって異なる)

「これでいくと、情報通信業であるうちの場合は、第二種衛生管理者が一人いればいいわけね。で、受験資格者は?」

下記のいずれかを満たすこと
・大学または高等専門学校(短大を含む)を卒業し、労働衛生の実務経験が1年以上ある者
・高等学校を卒業し、労働衛生の実務経験が3年以上ある者
・労働衛生の実務経験が10年以上ある者

「受験資格は問題ないわね。出題範囲は、関係法令、労働衛生、労働生理の三範囲。合格率は55%~70%か…」

 これはそれなりに勉強しないといけないかもしれない。しかも一人だけに頼ると万が一不合格だったときのリスクが大きい。

「一人は私として…あと何人か一緒に受けてくれる人が欲しいな」
 迷っている時間はない。千里は社内に募集をかけることに決めた。

■次回予告

決して高いとは言えない合格率を前に、万一自分が不合格になった時のために、共に資格を取ってくれる人の募集をかける千里。同時に免許試験受験申請についても調べていく。<第三話へ進む>



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