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無秩序な群れが集う、東の果ての地から。④

ムーさん

かつて同じ職場で働いていたムーさんって男がいまして。幼い頃から福祉が身近にある環境で育ち、大学で福祉を学んできた福祉のエリートみたいな奴です。…いや悪魔か。
一緒に働いた期間はそんなに長くは無いのですが、奴が転職した後も交友が続いていました。

RUN伴2019

そんなムーさんからRUN伴ってイベントが9月に江戸川区でやるから手伝ってと誘われました。2019年夏のことです。
RUN伴とは認知症啓発のランニングイベントで、参加者はオレンジ色(認知症の啓発カラー)のシャツを着て各チームが襷を繋げて行く。
割と歴史は長く、有名なイベントなんですが、当時の自分は全く知りませんでした。

「走るのは嫌だけどイベントを手伝うだけなら…」と承諾したんですがね。「チームエントリーしたから」と気付いたら走らされる事になっていました。更に代表者に自分の名前が書いてある…手伝うだけって言ったよな?
まぁエントリーしちまったんなら仕方ない。
…チームの名簿を見ると一緒に走るチームの人達、知らない名前だらけ。
えっ?会ったことも無い人達と走るの俺?

チームふないち・烏合の衆

そんな感じで話がトントン拍子で勝手に進んで行きました。で「チーム名何にする?」と聞かれまして。他のチームは企業等からの参加が多く、そのまま会社名を使っているか、「オレンジ○○」みたいな名前が多かったです。自分達もチームにオレンジとか付けても良かったんですが、他のチームと同じような名前はダサいと謎の反骨精神を発揮。

「寄せ集めの集団だし…烏合の衆で良くね?」
「走るコースが船堀と一之江か。ふないちって付けるか」

こんな感じのノリと勢いと反骨精神で、チーム名は「チームふないち・烏合の衆」と決まりました。

襷を繋ぐ

で当日。「チームふないち・烏合の衆」の集合場所に行くと既に何名か集まっていました。誰が誰だかわからないので、円陣を組み、挨拶。

若年性認知症本人や家族もメンバーにいるとムーさんからは聞いていましたが、「貴方が認知症の方ですか?」なんて聞けるはずもなく。

何となく全員の顔と名前を覚えたとこで別チームから襷を引き受け、スタートしました。

チームふないち・烏合の衆

初対面同士。どーなることかと思いましたが、結果として楽しかった。

隣で走ってる人が何処の誰なのか、認知症の方なのか。そんな事はどーでも良く、「次のチームに襷を届ける」という目的の為に皆で走る。走ってるうちに緊張も解けていき会話も弾む。走ってる内に人数が増えていく(あの人達は結局誰だったんだろ…)
そして襷を渡した時、達成感を強く感じたことを覚えています。

無秩序な群れ

RUN伴後も皆でご飯を食べたり交友が続いていました。楽しかった経験をすると、仲間意識とか団結力って強くなるもんなんですかね。

で皆「地域を何とかしたい」「認知症になっても自分らしく生きたい」等、「何かしたい」と考えていて。立場や職種はバラバラだけど、皆生活の中で地域に思う事が多々あったんでしょうね。

なら【病気や疾患があっても楽しく生きる】ことを目的に団体作るか!…てなノリでTEAM-UGOUが結成されました。2020年2月の事です。

仕事じゃなく有志だからこそ、臨機応変に活動出来る。やりたい事が出来る。この活動を「誰かの為にやっている」とドヤ顔で言うつもりはありません。「誰かの為」であり、「自分の為」でもあります。自分が楽しんでやるから、プライベートな時間を使っても苦じゃ無いんでしょうね。

元々ボランティアとか全くやってこなかったし、興味もありませんでした。自発的に動いた記憶も無いですが、気付けばボランティア団体を立ち上げてることになるとは…。周囲に巻き込まれる形で此処まで来た感じですね。

この文章を読んでる方は「何かしたい」とか「団体を立ち上げたい」、「認知症の人達に何かしたい」と考えている方が多いんでしょうかね?そんな熱意と意識が高い方々に、偉そうに言える事は無いです。まぁアドバイスするとするならば
「自分自身が楽しいと思えない活動は長続きしない」
「周りの力に巻き込まれるのも悪くない」
って事位ですかねぇ。

誰かのために、そして自分のために。そんな活動を続けていければ良いなぁと思っております。

だいぶ長くなっちゃいましたね。ではまた逢いましょう。

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