見出し画像

ベジタブルテック創業ストーリー

ベジタブルテック株式会社は、2024/7/7に創業9年を迎えます。創業者の岩崎真宏と宇土善之が創業の思いを語りました(インタビュアー:小林)。

岩崎 真宏(Iwasaki Masahiro) 
代表取締役CEO/共同創業
医学博士、管理栄養士、臨床検査技師
一般社団法人 日本栄養コンシェルジュ協会 代表理事
宇土 善之(Udo Yoshiyuki) 
COO/共同創業
技術経営修士(MOT) 柔道整復師、鍼灸師

ベジタブルテック株式会社の創業経緯

宇土「会社を立ち上げたのは、2015年の7月7日です。」

岩崎「もう9年前になりますね。」

宇土「もともと僕は広島の治療院で患者さんに施術をしていると、同じような筋肉量や骨格の人でも、痛みが出る人と出ない人の違いがあることに気づきました。
また、治療をしても治療効果が全く違い、運動指導をしても体に変化が出ないことがあります。
その際に食生活をヒアリングしたところ、例えば、コンビニ弁当中心の生活を送っているなど、特徴的な食生活を送っている人が「治療をしても効果が出にくい傾向になる」ということが分かってきました。」

治療の効果が高まり、野菜の可能性に気づく

宇土「もしかしたら、「野菜不足が原因なんじゃないか?」「野菜ってそもそももっと大事なものなのではないか?」という思いから、広島県の農家さんを回って、有機野菜を仕入れて患者さんに提供してみました。
最初はトマト、小松菜、エゴマなど、有機野菜のみを販売する「小さな八百屋さん」のようなことをしていました。野菜を購入していただいた患者さんの血糖値を始めとする血液検査の数値が変わって、痛みも劇的に減る人が増えました。
このような経験から、施術と運動に、栄養でのアプローチを重ねないといけないのではないかという考えになりました。」

栄養は、目標達成をサポートする力になる

岩崎「同じころ、僕は関西の病院で、生活習慣病の食事療法を行う管理栄養士として働きながら、医学研究者として分子医学的な研究を行い、人体の仕組みと食事の栄養の関わりについて学んでいました。
驚いたことに、食事内容を変えるだけで治療効果が高まるだけでなく、今まで効かなかった薬が効くようになることも発見しました。
病気のようにすでに細胞状態に不具合が出た状態でも、栄養によって改善するならば、現在健康な人なら病気を予防できるのは当然!
それが成長期の子供なら、アスリートなら、と、栄養は様々な人生の目標を達成する力になれると確信しました。」

二人の出会い

宇土「2014年の冬くらいに、岩崎先生と僕は、運動関係のセミナーで出会っていました。」
 
岩崎「同い年ということや、お互い治療に携わる専門家であることもあり、すぐに打ち解けあったのを覚えています。」
 
宇土「そして、2015年3月ごろに再開した際に、「もっと手軽に野菜を摂る方法がないか?」と相談をしたところ、ちょうど岩崎先生も野菜加工品の開発を検討していました。」
 
岩崎「野菜はヘルシーと誰もが知っていて、科学的にも多くの良い働きが報告されているにも関わらず、野菜を食べることは日常生活ではなかなか難しいと臨床現場から感じていました。
栄養指導でどれだけ説得しても、多くの患者さんの意見は「わかっている。でも手間」でした。そこで、野菜摂取の手間を減らすには加工することだと思いました。」

手軽に栄養をとれる野菜商品を開発したい。会社を設立


 宇土「そんなタイミングだったため、僕が知り合っていた広島県の農家さんたちと、岩崎先生の栄養学としての知識をミックスさせて新しい製品を作ろう、というところから商品開発が始まりました。」
 
岩崎「そして、会社を設立しました。」
 
宇土「2人の再会から2カ月くらいで設立に至りましたね(笑)。」
 
岩崎「毎日電話やSkypeで話していましたね(笑)。僕は病院を退職して起業という道へ。両親も友人も応援してくれたのが嬉しかったです。」

商品開発物語~粉野菜ができるまで~

宇土「商品開発ではたくさん失敗してきました。広島の神石高原町の農家さんに協力してもらいつつ、岩崎先生と一緒に工場で野菜ジュースや野菜ふりかけの開発をしていました。
その時、なんと野菜ジュースの開発中に爆発してしまったのです。
天然のものにこだわって、保存料を入れないで開発してみたのですが、野菜が発酵してしまったんですね(笑)。
この経験から、「野菜って発酵するよね」「腐ったりするよね」ということで、別の開発手段を探しました。」

農家・柳渕さんとのご縁

真ん中が柳淵さん。宮城県登米市で農家をされています。

岩崎「どうすれば野菜摂取の手間を減らせるか?だけでなく、どう加工すれば、衛生的にも栄養的にも安心な野菜加工品ができるのかという、新たな課題でした。
そんなとき、お世話になっているスポーツ関係の専門学校の方が、「ちょうど農業高校を開校するんだけど、そこに面白い農家さんがいるから紹介したい」と言ってくださいました。
その農家さんが柳渕さんでした。柳渕さんの農業への情熱と愛情に、僕は感動しました。大阪のお好み焼き屋さんで語り合い、柳渕さんは“農業は宇宙だ”とお話しされ、僕は“栄養は宇宙”だと話し、意気投合しました。」
 
宇土「農家さんと管理栄養士が、熱い想いでつながった瞬間でした。
このとき、ただの健康食品会社でも食品販売会社でもない、農業や健康に紐づいた、社会課題を解決するスケールの大きな社会貢献企業にしようと決意しました。」
 
岩崎「柳渕さんはアイデア豊富で、発明家のような方だと思いました。
野菜を乾燥したら腐らなくなるはず、ということから野菜を乾燥させて粉末にする手法を開発しました。確かに水分が媒体となって、栄養を分解してしまう微生物や酵素が野菜を傷めてしまうので、これだ!と思いました。」

独自技術「オールフィト濃縮乾燥法」

宇土「柳渕さんは、大変苦労されて野菜の栄養を損なわないように粉末にする技術を確立され、特許技術として認められました。そのテクノロジーと岩崎先生の栄養学をかけ合わせ、『オールフィト濃縮乾燥法』という手段で、野菜パウダーに付加価値をつける工程を積み重ねていきました。」

野菜の栄養をほぼ壊さずにパウダー化

宇土「通常の野菜パウダーと同じように見えるのですが、全く別物です。
野菜パウダーの代表例として青汁パウダーがありますが、多くの商品の野菜は、パウダー化する工程の中で、栄養素や香りなどが失われてしまいます。
 
岩崎「『オールフィト濃縮乾燥法』では、特許技術により栄養素をほぼ壊すことなく、野菜を丸ごとパウダー化することができるので、成分分析をしても「栄養素がしっかりと含有されている」ということがわかります。
他の野菜パウダーと比較した場合、同じ品種で同じグラム数でも、ビタミンやミネラルの値で10倍〜40倍の違いが出ます。そのため、強い抗酸化作用などが期待できます。
また、パウダー化しても野菜本来の香りが残っているため、購入前にカプセルを開けて香りを嗅いでいただくことで、「野菜そのままですね!」とビックリされて購入される方が非常に多いです。野菜の成分を飛ばさずに、しっかり丸ごと濃縮したパウダーとなっているのです。」

「体の調子がよくなった!」お客様の喜びの声


 宇土「お客様からは、とてもポジティブな感想をたくさんいただいています。ご意見として多かったのは「二日酔いしなくなった」「肌や体の調子が良くなった」「便通が良くなった」というものでした。」
 
岩崎「野菜に含まれる栄養成分は、身体のコンディションを整えるものが大変豊富で食物繊維が多いことが、そういった体感に影響していると思います。」
 
宇土「特に、定期的に摂取してくださっている方から、喜びの声をいただくことが多いですね。「二日酔いしなくなった」というのは、本当に多くの方から聞きますし、飲酒量が多い傾向のある男性から感想をいただくことも多いです。」
 
岩崎「開発前は、そのような声を聞くことは予想していなかったので、嬉しい誤算でした。野菜に含まれている食物繊維は、アルコールの吸収を抑えてくれますし、野菜そのものが持っている抗酸化作用や肝機能を働かせる作用、脳を守る作用があるのは、科学的に証明されているので、今となってはそのような声を多数聞くことができるのは納得できます。」

二人の得意分野による相乗効果

宇土「岩崎先生は、関西の病院で糖尿病や肝臓・膵臓・血液のご病気の方への臨床的なサポートをしていましたし、研究者としても糖尿病を中心にいくつも栄養学的な論文を執筆し、学会などでも活躍されてきた方です。
たまに「この食材はXXに良い」という、一つの研究の結論をもとに食材を売り出そうとする商品がありますが、科学的な証明としては根拠が薄いことがあります。
しかし、岩崎先生はおびただしい量の論文を読み、精査し、それに基づいて商品開発に尽力しています。繰り返しますが、1つや2つの論文で出しているような情報ではないので、情報の正確さがあり、それに基づくことが大事だと思っているのです。」
 
岩崎「宇土さんは、治療家として、何店舗も治療院を展開してきた元総院長ですから(笑)お客様の声を聴くのがとても上手です。様々なヒアリング結果を元に、2人で試行錯誤して解決策を考え、それを形にしています
例えば、定期的に買い続けていただているお客様を中心に、「なぜ気に入っていただいているのか?」「どのような体感があるのか?」「どうすれば、もっと良い商品になると思う?」など、数十人ものユーザーインタビューを行ってきました。
科学的な証明を大切にしつつ、同時にユーザーの声を大切にすることが大事だと思います。」

フードテック企業としてのベジタブルテック

宇土「最近は、フードテックの分野では、例えば「バッタやコオロギをプロテインにしていく」という流れがあったりします。
「人口増加とともに食糧難に備えよう!」ということで、「供給量や供給効率を上げる側面」に焦点を当てた、一つの考え方かとは思うのです。
ただ、ユーザーインタビューを重視した場合、「コオロギやバッタを食べたいか?」と一般の方に聞いたら、現在はまだ「おいしい野菜を食べたい!」という方が圧倒的に多いと思います。なので、まずは現在のテクノロジーでできることを優先したほうが良いように思います。」

健康だけでなく、食文化の継承にも貢献できる

岩崎「食生活は、国や地域、家族の文化だと思います。それを大きく変えることを迫るのは好ましくないと思っています。
臨床現場でも「食べてはダメ」というフレーズにストレスを感じている患者さんを多く見てきましたし、若い女性がメディア情報から強迫観念で摂食障害になるケースが増えています。
やっぱり美味しいものを食べたいですし、楽しい食卓にしたいものです。食べることや特定の食品を善悪で議論せず、自分を生かすために、動植物の命に感謝して笑顔で食べる文化は美しいと思います。つまり、健康活動を実践しやすく、また食文化の良い部分を後世に残していくことにも、フードテックというものが貢献できると考えています。」

栄養学とテクノロジーを駆使して、人と地球を支える

宇土「僕たちの事業は、“廃棄野菜の減少”に貢献できますし、“個人の野菜摂取量の増加”にも貢献できます。
結果的に、健康寿命の延伸にもダイレクトに貢献したいと考えています。」

ベジタブルテック株式会社
https://vegetabletech.co.jp/