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金沢から帰ってきて考えたこと。

4日から昨日6日の朝まで金沢へ帰っていました。
社会人1年目から10年住んだ金沢は、わたしにとって故郷。
だから帰省です。


去年11月「能登の世界農業遺産」シンポジウム

去年11月に「能登の世界農業遺産」のシンポジウムが和倉温泉であり、
その帰りに立ち寄った金沢で、昔からの知り合いのお店(赤城)が50周年記念の会を1月5日に開催するというので、もともと行く予定になっていたのだった。

元日の大地震を受けて、帰るべきかどうか迷ったが、
赤城さんへ電話をすると、予定通り開催すると言うので、帰ってきました。金沢へ帰るといつも香林坊の街のど真ん中にある雅子さんの家に泊らせてもらう。
雅子さんとも25年以上のつきあいで、金沢の母だ。
現地でも余震が続いていた。
能登と金沢は車で2時間半、離れているとはいえ、
石川じゅうが当然ながら不穏な空気である。

街の中を歩いた限りでは、倒壊や亀裂は見られなかったが、
ニュースでは、郊外の方へ行くと液状化や断水の場所もあるということであった。
街を歩いていると、新潟の救急車や、京都の救護車を見かけた。
全国から石川県へ救助支援に集まっていることが、わかった。

元日の地震の時、雅子さんは、キッチンのテーブルの下に潜り込んで、
過呼吸状態だったそうである。

離れている息子さんが後から駆け付けたが、
不安な日々だったようで、2晩だけだけど泊って話ができてよかった。
能登の避難生活をしている人へは言葉もないが、
金沢市内とはいえ、一人暮らしだとやはり心細い日々だろう。
311を思い出す。
何がどうということではなくても、心が暗いもので覆われる。


SNSなどを見ていると、現地へ一般の人がボランティアへ行くべきでないという投稿が飛び交っている。
県からの通達でも、今の段階では個人では来ないでくださいと発信していた。
道路が寸断されているのだから当然のことだ。

わたしはそういう事情で金沢へは行ったが、能登へは行くものではないと思っていた。
個人にできることは今の段階ではないし、
もちろん実家や親戚があるなら別だが。

フリーのジャーナリストの津田大介さんとか、
元NHKの堀潤さんとかが、すぐに現地へ駆けつけて、様子をXで発信していた。
ジャーナリストにもいろんな種類がいる。
報道というと、有事の現場、災害や事件の現場へ行って報告することが一般的で、ほとんどそればかりのような気がするが、
すぐ現地へ駆けつけるだけが報道ではないとわたしは考える。

もっと長期的なスタンスで物を見るとか、別の角度から見ることも必要じゃないかと思う。


というわけで
わたしは、時々ジャーナリストを名乗って農業新聞などに書いているが、
じゃないほうのジャーナリスト」だ。
金沢へ行っても能登へは行かない。

なんかそのことについてのもやもやがずっとまとまらなくて
頭の中の整理ができなかった。

いつも世界農業遺産を一緒に回っているK田カメラマンが、能登へ行っていると連絡があった。

24年1月1日掲載能登の里山里海と春蘭の里


元旦号に載せたばかりの「春蘭の里」
多田さんのお父さんと連絡がとれて、
一家は無事で近くの避難所にいるとのことであった。ともかく少し安心。


春蘭の里の古民家の中


ただ、この写真の囲炉裏の古民家は住める状態ではないとのこと。
建物が無事かどうか詳しいことはわからないが、無事を祈るばかり。


白米の千枚田が心配だ。どうなっているかという問いが、なぜかわたしのところにやって来た。
わかるわけがないのだが、不思議なもので、
人は質問をされると、答えないといけないような気になって来る。
問われれば答えるのが、反応というものだ。
今は人命が最優先なのだから、棚田が崩れたかどうかは、
現段階の話しではないだろうと思う。
とはいえ、ともかく検索すると、地元新聞での報道が出ていた。
亀裂が入っている、棚田全体を見た限りではわからない、
という中途半端な情報であった。
それよりも、道路が陥没して、通れるどころではないのだ。

人は自分の知りたいことを知りたいのだろう。
遠くの人間が、心配だからと情報を欲しがる。
今はそういう人たちの知りたい欲求を満たすのは二の次だろう。と思った。

みんな何かしらのもどかしさややるせなさを感じて知りたがってる
誰かを責めるわけにはいかない。

居ても立っても居られない、
何かできることはないか、
ボランティアに行きたい、
そういう消費者心理が働いているとき、
どんなマーケットを用意することができるだろう。

春になったら農業ボランティアに行きたいな、
白米千枚田は有名だから人で溢れるだろう、
もっと地味な知られざる棚田や、棚田に限らず農業ボランティアのやりようがあるかもしれない。
春に、田植えができる田んぼに復旧できるだろうか、、

ともかく言えることは、長期戦になるということだ。
すぐに騒ぐひとは、すぐまたいなくなる。

年末に村上春樹さんが、村上ラジオで、小さなやかんと大きなやかんの話をしていた。
すぐに沸くけれどすぐに冷める小さなやかん、
沸くのに時間がかかるけれど、なかなか冷めない大きなやかん。
どちらも大事だという話。
そうかどちらも必要なのか。
早く動くこと、
ゆっくり長く動くこと。

特に出口のないつぶやきだけど、なんとなく心の中におさめておくのもしんどかったので吐き出してみた。


明日から大分の国東半島へ。
クヌギ林とため池の世界農業遺産の取材。

ベジアナあゆみ


写真と文章はあまり関係ありません。

「よふ葉」というお店


ひがし茶屋街「雀」さん
浅野川大橋そば




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