見出し画像

(大人の)熱海の暮らし方 ~雑草とのお付き合い


新緑が目に眩しい季節ですね。
我が家の、庭(ともまだ言い難い、敷地。狭い。)も、砂利がまばらにひいてあるはずなのに、なぜか緑が目につくようになってきまして。

緑の正体は、ええ、雑草ですとも。
植えた覚えのない草が。元気に。もりもりと育っているのだ。
駐車スペースなんて、手前はクローバーの黄緑、奥はドクダミの濃い緑できれいなグラデーション。まったくもって不本意。

***

都内のマンションで、ベランダにハーブのプランターを置いては、わー、ミントとバジルの芽が出たよー、葉っぱが大きくなったよー、わっ、枯れてる、と一喜一憂していた日々が懐かしい。
なんて可愛い直径1mの世界だったんだろう。

手をかけていない雑草の方が、元気にすこやかにのびのびと育つというのは、事実なんだな。ただし、自由過ぎて手に負えないというのも。手をかけたからといって、思い通りに育つとは限らないところも。

***

さて、雑草を意識しだしてから、他の家の様子も目に入るようになった。
わかったのは、雑草は、手入れの行き届いていないアピールになっているということ。

例えていうなら、はげかけたネイルがそのまま、とか。
白髪の、染めてないところと染めたところの境界がくっきりしている、とか。
サンダルなのに、ペディキュアをしてない、とか。あ、これはわたしの友人のお洒落番長の持論なのだけど。

要するに、やろうと思ってたんだから、お願い指摘しないで、ってやつ。
まずいな、我が家。

しかも、遊びに来た父が、「こりゃ、大変だな。」と一言。抜くにしても、砂利をまくにしても、かなり手間がかかるな、と。
「まあ、冬になれば勝手に枯れるから、ほっとくっていう人もいるけどね。」とのこと。しかし、なんで雑草に詳しいのだ、父。

元気いっぱいの雑草の皆さん


ともあれ、抜くことにする。夫が。

さすがに見ているだけでは申し訳ないので、わたしも助っ人となるべく、道具を購入。
バリカン。これでバリバリ刈るぞ、と思ったのだけど、ある程度の長さがないと刈れないことが判明。

ちなみにわたしは虫が大嫌いで、這う虫を見ると3分寿命が縮むという体質なので本当はやりたくないのだけど、もはやそんなことをいってられない。
元々の近眼と乱視に加えて老眼も入って、世の中がはっきり見えない今日この頃なので、虫に焦点を合わさないことで、虫など最初からいないこととする、という術を習得しつつあるのが幸い。

自分がガーデニンググッズを買う日がくるとは。

***

立ったりしゃがんだり、草を抜きながら気づいた。
これはいい運動になっているに違いない!
足腰も腕も疲れるもの。
見事に引き締まったからだを手に入れた暁には、雑草抜きダイエットとしてまとめよう、上梓しよう、一儲けしよう。
ああ、妄想の花は華麗に咲く。


腰を伸ばしたり、アーとかウーとか唸りながら、抜いた草の山を見て考えた。
ひょっとしたら、この中には食べられる植物も混ざっているんじゃないだろうか。先住の方の残したものが。

Google先生に聞いてみる。写真ですぐに教えてくれる親切で身近な先生。

「ヤブガラシ」日本でよくみる雑草。
一言目が雑草…。この雑草に絡まれると覆われた植物に日光が当たらなくなり枯れてしまうので「ヤブガラシ」。
放っておくと、たちまちはびこり厄介者になるので「ビンボウカヅラ」ともいうそう。

なんだか悲しい答え。やはり抜こう。

ヤブガラシ。辛子じゃなくて、枯らしの方


いくつか聞いてみたが、食べて美味しそうなものには辿り着かなった。
ついでに木についても聞いてみた。

「ネズミモチ」姿や葉はモチノキに似ていて、紫黒色に熟した果実がネズミの糞を連想させる。

名前の付け方よ!

早く実が見てみたいところ


雑草のみならず、キノコまで生えていた。
鉢には小指ほどのキノコ。Google先生に聞いたところ、最初に出てきたのはなんとマジックマッシュルーム。

慌てて、友人のキノコ博士に聞いてみると「マジックマッシュルームではないな~」とのこと。そうだよね。もう、Google先生ったら、驚かせるんだから~。

マジックマッシュルームもどき⁉︎


手のひらくらいの大きさのキノコも生えていた。こちらはハラタケ科の何かではないかとの、キノコ博士のお見立て。やはり食用ではないとのこと。
まあ、食用と言われても、食べる勇気はないけれど。

食べられそうな見かけではある


***

夢中で草を抜いていると、葉の個性や花にも気づく。

雑草なのに可愛い花なんて咲かせて、コンニャロと思っていたんだけど、雑草にも雑草の人生(草生?)があるんだよね、とふっとわたしの中に牧野先生のやさしさが目を覚ます瞬間が訪れた。訪れてしまった。

仕方ない。
雑草の良さを活かしてみるか。
生け花で。

古流の生け花経験あり〼

ちょっと楽しかった。
ひょっとしたら、ブーケのようにもできるかもしれない。そのままドライフラワーになったらかわいいぞ。
ペンペン草さえ、ドライフラワーとして売られている時代だ。なんでもありなのだ。

そう思うと花材の宝庫にも見えて、かなり愛着がわいてきた。

妄想はとめどなく膨らむ。
雑草アーティストってどうだろう、と夫に言うと「戯言はやめて。基本的に雑草は抜く方向で」だって。
まあ、そうだよね。



というわけで、雑草との付き合いは始まったばかり。これから、ストレスのない付き合い方を探していくしかないな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?